Articles

僕がイギリスの大学を選んだ理由。留学先の決め方は?


僕は2021年にイギリスのKing’s College London(キングスカレッジロンドン)に進学し、2024年の8月に卒業することができました。生まれてからずっと日本で育ってきた僕は、高校で国際バカロレアコースを履修し始めたあたりで海外の大学に進学することを意識し始めました。今回の連載では、自分がキングスカレッジに進学することに決めた経緯とそこでの経験とを照らし合わせて、イギリス留学のメリットと留学先の決め方を紹介していきたいと思います。

King’s College London(キングスカレッジロンドン)のMaughan Library
King’s College London(キングスカレッジロンドン)のMaughan Library

イギリスの大学に留学するメリットとは

イギリスに留学するメリットは、世界トップクラスの大学で質の高い教育はもちろん、それ以外にも幅広い経験を積むことができるところにあります。ここではそんなイギリスの大学の特徴を紹介していきます。

質の高い教育

イギリスの高等教育機関の教育と研究は世界の中でも、高い水準を保っていることで知られています。様々な学部や学科があり、特に芸術系(アートやデザインなど)の学部などで日本にはないような幅広い専門分野を勉強することができます。僕は元々リベラルアーツ学科(Liberal Arts – 人文学・芸術などの知識を断面的に学ぶ学問)に興味があり、King’s College Londonのリベラルアーツでは自分が特に興味がある音楽や映画の授業を履修できるというのが大きかったです。インターンシップができる履修科目(イギリスではモジュール – Moduleという)があり将来のキャリアにつながるようなプログラムが組み込まれている学科もあります。

キャンパスの設備が豊富

イギリスの大学のキャンパスは設備が豊富で、図書館や研究室の他にも劇場や映画館がある大学もあります。高校2年生の冬に大学を見学しに行った時に、僕は大学の大きな図書館に強い印象を持った覚えがあります。King’s College Londonの他にも見学しに行ったUniversity of Leeds(リーズ大学)やThe University of Sheffield(シェフィールド大学)などはロンドンから離れた町にある分、静かな環境に大きなキャンパスがあり、勉強に集中できそうだなという印象を持ちました。

手厚いキャリアサポート

大学によっては卒業後もキャリアをサポートしてくれるところがあります。キングスカレッジには履歴書の添削や面接の練習を行なってくれるキャリアセンターがあり、僕も卒業前後にそれらをうまく活用しました。これらの充実した教育や設備があって、教育力や研究力などで世界中の大学の水準を評価するTimes Higher Education(THE)ランキング(2024年時点)ではトップ10にイギリスから3校、トップ100には11校が選出されています。

3年制なので学費を抑えられる

留学先で人気があるのはアメリカ、イギリス、カナダというイメージがありますが、イギリスは留学資金(学費・生活費)含めて残りの2カ国より割安というデータがあります。アメリカの大学が学士課程に4年間かかる中で、イギリスのほとんどの大学は学士課程が3年間で、2年制の学位を提供しているコースもあり留学費用の節約にもつながります。もちろん留学生向けに様々な奨学金制度があるのでそれらを調べることも大切です。

ロンドンの景色
ロンドンの景色

ロンドン留学生の課外活動について

留学先を決める時は、授業外で何ができるかも考慮するべきポイントです。

ロンドン大学のサークル

イギリスの大学にはSociety(日本でいうサークルのようなもの)があり、スポーツ系や芸術系など様々なジャンルのものが存在します。King’s College Londonには300種類近くのソサエティがありました。僕は小さい頃からバイオリンを弾いていて、大学に大きなオーケストラのソサエティがあると知った時、楽しそうだなと覚えがあります。ソサエティによっては気軽に参加できるものもある一方、賞や大会などの目標に向けて本格的に活動しているものもあります。

その他にも、イギリス、特にロンドンには博物館や美術館などがたくさんあり娯楽の選択肢がたくさんあることも魅力的です。特に僕は小さい頃からイギリスの音楽やサッカーが好きで、なかなか来日しないミュージシャンのコンサートに行ったり好きなサッカーチームの試合を現地のスタジアムで観戦できるのは憧れでした。イギリスは他のヨーロッパ諸国にすぐ旅行できる場所にあり、大学の休暇を利用して様々な文化を体験しに行くこともできます。

ロンドン中心部のレスタースクエア(Leicester Square)
ロンドン中心部のレスタースクエア(Leicester Square)

イギリスの多様性から得られるもの

イギリスは移民の受け入れに積極的で多様な文化が共存しています。大学にも様々な国から学生や教員がやってきており、様々な文化を知ったり、物事を多角的な視点で考える力などを養うのに最適な場所です。国や地域ごとのSociety(King’s College LondonのJapan Societyには日本人の他にもアジア系の人だったり日本の文化に興味があるイギリス現地の人が集まる人気のソサエティです。日本語教室を開催したり、お正月の書き初めなどのイベントをしたりします。)もあり、様々なバックグラウンドを持つ人と交流できる機会があります。特にロンドンのような大都市では街を歩いているだけでも、様々な人にすれ違い様々な言語が聞こえてきます。ここで勉強できるのは自分の視野を広げるのにピッタリだなと思ったのも、イギリスに進学することを決めたきっかけでした。

【イギリスの大学】留学先を決める時のポイント

僕が志望校を選択したのは高校1年の終わりのことでした。大学進学に向けて目標(大学ごとに定められたIB、A-Levelの入学基準スコアなど)を設定したりPersonal Statement(パーソナルステイトメント)などの出願準備をするためにも、志望校は早めに絞った方がいいと思います。UCAS(イギリスの大学出願機関)を使って出願する際、第5希望まで決めることができます。ここでは志望校を選択する時にするべきこと、考えるべきポイントを書きたいと思います。

大学を徹底リサーチ

大学の教育・設備やそこでどのようなキャンパスライフが送れるかは場所によって全く違うので、各大学のリサーチは慎重にする必要があります。

まず参考にしたのは世界大学ランキング

僕の場合、まずは先ほど紹介した大学ランキングを見て、どの大学に自分の勉強したい学科があるのか調べるところから始めました。Times Higher EducationやQS World University Rankingsなどの大学ランキングは総合ランキングだけではなく、専攻別などのランキングも発表されているので調べる上でとても参考になります。

大学の公式サイトを読み込む

自分の気になる大学・学科を絞り出した後はその大学のウェブサイトを見てみました。イギリスでは大学の総合案内書をprospectus(プロスペクタス)と言い、ウェブサイトで紙のバージョンを申請できる大学もあります。大学のprospectusやウェブサイトには卒業生の就職率や留学生の割合などが書かれているので、大学でどのような生活を送れるかの大体の指標にもなります。

留学イベントに参加

日本ではSI-UK(Study International UK Limited)やbeoと言ったコンサルタント会社などが主催となって留学フェアや進学セミナーが毎年行われています。実際に現地の大学の教員の方と交流できたり資料をゲットできる機会なので、効率的に活用しました。一つの大学が日本に来て(もしくはオンラインで)説明会を行うこともあります。

オープンキャンパス(Open Day)

日本の大学と同じようにイギリスの大学もオープンキャンパス(Open Day)を開催しています。実際に大学内を見学するのは、学校への理解が深まるので志望校を絞るのにとても効果的でした。大学によって開催される時期は違うので、もしオープンキャンパスに行けない場合はオンラインでバーチャルツアーができる大学もあります。その他にもソーシャルメディア(Instagramなどの大学の公式アカウント、学部やソサエティのアカウントなど)を活用して、現地の学生や卒業生の声を聞いたりするのも1つの手段です。

大学の環境が自分に合っているか考える

志望校を選ぶ場合、大学の教育内容や設備などに目が行きがちですが、その大学が自分の性格や目標に合っているのかも考えるべきポイントです。例えばイギリスに留学する際は、ロンドンの大学で勉強するか、それ以外の都市に行くかの二択に分かれますが、結果的に自分に合ってない環境で3年間勉強することになるのは辛いので、自分が納得できる選択をするべきです。世界の中心地の一つであるロンドンでの生活は都市のスピード感が速く、多文化的な環境であることも含めて刺激的な経験をすることができます。その一方で、地方都市ではOxford(オックスフォード)やCambridge(ケンブリッジ)などその地域特有のコミュニティがあります。ロンドンに比べて物価が比較的安いことも含めて、リラックスした環境で勉強できる利点があると思います。

イギリスの大学選びは「自分軸」で決めよう

最終的に僕はロンドンの大学を3校、ロンドン以外の大学を2校選択して出願しました。どちらを選ぶかは、あなたが何を大学生活に求めているか、自分に合った生活スタイル、予算などで変わってくると思います。ここはランキングなどに流されず、自分がどうしたいかを大切にしましょう。

イギリス留学には多くの魅力があり、まず自分に合った大学を選ぶことがそこで充実した経験をすることへの第一歩です。今回紹介したポイントを参考にしながら、ぜひ理想の留学先を見つけてください。

キングスカレッジロンドン卒業生に聞く!IBからの海外大学進学&留学体験談
キングスカレッジロンドン卒業生に聞く!IBからの海外大学進学&留学体験談 Yukiこんにちは。今年King's College London (キングスカレッジロンドン) を卒業したYukiです。Moi Education...

関連記事

Related articles

イギリス医学部留学記:グラスゴー大学で学んだ5年間と研修医生活

こんにちは!Yuiです。イギリスに15歳の時に単身留学し、2022年にUniversity of Glasgow(グラスゴー大学)の医学部を卒業しました。前回までは大学に入る前までのことでしたので今回は医学部での経験について書きたいと思います。 https://passporter-media.com/articles/6/ https://passporter-media.com/articles/9/ イギリスの医学部受験 当時(2016年頃)のイギリスにはスコットランドを含め、医学部を持つ大学は30校ほどしかなく、すべて国立大学でした。定員は大学によって異なりましたが、留学生は全体の7.5%までという決まりがありました。 UCASを通して出願し、Medicine(医学科)は最大4校まで受けられますが、大学によって必要な試験が異なりました。A-levelなどでの良い成績はもちろんのこと、UKCAT(今はUCAT)やBMAT(現在は廃止だそうです―詳しくはこちらを参照ください)などの適性検査が必要でした。 それをクリアすると最大の難関は面接でした。面接では世界中の留学生が集められ、シンガポールやマレーシア、ヨーロッパからの志望者が待合室にいました。 イギリスの医学部選びのポイント PASSPORT運営元の留学エージェント「Moi Education」の医学部のページにもあるように、大学によって入試も異なればその大学の教え方も異なります。そのため、自分に合った方針の大学や、学生の多さなどを考慮して4つまでの大学を選びます。 授業スタイル イギリスの医学大学の授業はPBL(Problem Based Learning)、Traditional learning(伝統的な授業)あるいは両者混合のIntegrated learning style(統合型授業)という教え方の違いがありました。 PBLとは、レクチャーではなく小さいグループに分かれて話し合いながら勉強をするという方法です。Traditional learningはレクチャーのみで勉強する方法です。主にオックスフォード大学とケンブリッジ大学がそれを実施していました。ほとんどの大学がPBLを取り入れていて、統合型授業(PBLとレクチャーの混合)の場合とPBLだけの大学がありました。私が卒業したグラスゴー大学は統合型授業を採用していて、それも選んだ理由の一つでした。 私はそれに加え、あまり大きすぎない大学が良かったのと、当時数少なかった解剖学の授業で実際の人体の解剖ができると言われていた大学だったことを理由にグラスゴー大学を選びました。 グラスゴー大学医学部1、2年目の時間割: 解剖学 グラスゴー大学の医学部は他の理系の学部と別なので入学直後から医学の勉強が始まりました。最初から皮膚の構造について授業がありました。スコットランドに着いたばかりの私にはスコティッシュアクセントが難しく、教授のほぼ全員がグラスゴーの人だったので授業を聞き取るのにも苦労したのを覚えています。 入学したときにもらったgoody bagに入っていたもの 1年目のレクチャーは朝に医学部のホールで行われ、お昼休憩の後は解剖学などラボの時間でした。ホルマリンに漬けられたご遺体がいくつもある部屋に入り、実際にメスを渡されて解剖していきます。週ごとに習っているトピックに合わせて教授の指示に従って解剖していきました。始める前にはご献体くださった方に感謝の気持ちを込めてお祈りをしました。 週2くらいの頻度でPBLがあり、それ以外はレクチャーでした。PBLではレクチャーで習っていることと同じ内容で、患者さんの事例が渡され、担当の先生(教授ではなく医師)を含めてグループでディスカッションを行います。 PBLの授業で先生が描いた膵臓とその周辺の臓器 PBLの他にもVS(Vocational Studies)という授業があり、同じくグループに分かれます。この授業ではコミュニケーション力を上げたり、道徳的な話し合いをしたりする場でした。Breaking bad news(癌の診断報告といった残念な結果の告知の仕方など)や怒りを表す患者さん、そして性病の診断結果の報告など、難しいコミュニケーションの場でどう対応するかを習いました。 先生がまず見本を見せたあとグループ内で話し合います。その後1人ずつカメラのついた部屋に行き、患者役のボランティアさんに対して指定されたやり取りを行います。グループ全員で1人ずつのパフォーマンスを評価します。とても緊張しますが、毎週のようにあったので段々と慣れていき、自信がつきました。 病院実習の始まり 1年目は1ヶ月に1、2回だけ、病院に行ってグループでBedside Teachingがありました。これは実際に入院している患者さんに先生が許可をとり、患者さんの病名を知らない状態でグループごとに質問をし、病名を当てる授業でした。その後その病気について話し合い、学ぶ場でした。やはり最初の方でこれを経験できるのはとても楽しかったです。時々GP(General Practitioner/かかりつけ医)にも行き、GPでよくみられる病気の話や、対処法、そして在宅医療などの勉強もしました。 2年目からは2週間に1回くらいに増え、3年生では週2回ほどありました。 魔の3年目 グラスゴー大学では3年次が一番きついとされていました。最初の15週間は週3回朝から晩までレクチャーを受け、残りの2日は一日病院実習か、GP実習でした。時々レクチャーの時間の代わりにCBL(Case Based Learning)というPBLよりも実習につなげたグループ(私は正直PBLとの違いはあまり感じませんでした)での授業もありました。 その15週間が終わると、とても大きな大事な試験があり、それに合格すると本格的な実習が始まるのでした。 急な臨床実習漬けの毎日 試験合格の翌週から実習が始まりました。数人ごとに病院と科が分けられます。だいたい同じ病棟には1人、多くても2人でした。私は最初にCCU(Coronary Care Unit/冠動脈疾患集中治療室)に割り振られ、病棟に着きましたが私を待っているような人はいませんでした。みんな忙しなく動いている中ぽつんと立ち止まっていると、看護師さんが話しかけてくれました。医学部生だと言うと、「医師はみんなあっち行ってるよー」とだけ言われ、どうしたらいいかわかりませんでした。 そのまま動けないでいると、HCA(Healthcare Assistant)の方が荷物置き場を教えてくれ、荷物を置いて出てくると看護師さんが「もしかして臨床実習初めて?」と察してくれました。そうだと伝えると、医師を一緒に探し、紹介してくれました。 医師からはなんの指示もなく、とりあえず「Follow me」とだけ言われたので、ただひたすら必死について回りました。このように臨床実習では教えてくれそうな医師を捕まえ、同行していいか聞き、医師の仕事を見学します。運が良ければ結構教えてくれる医師もいて、運が悪ければ邪魔扱いされながら1日を過ごしました。 回診の時間には医師と一緒に病室を巡回し、ただよくわからないままついて回りました。決められた授業などがある時は抜けて授業に行き、大学から与えられたチェックリストをこなしていかなければなりませんでした。そのチェックリストには「問診をする」「循環器の身体診察をする」「血圧を測る」「心雑音を聞く」「心筋梗塞の患者さんの話を聞く」などいくつもの項目がありました。 GlasgowにあるQueen Elizabeth University Hospital その科の臨床実習が終わるまでにチェックリストの項目をすべて達成し、その科の医師からサインをいただき、提出することが必須でした。その他にもPhysiotherapist(理学療法士)やOccupational therapist(作業療法士)などの医療従事者について回る日もありました。 一応それぞれの科にEducational Supervisor(教育担当指導医)という実習生担当の先生(医師)がいて、実習が始まった数日後に1回、終わる時に1回ミーティングをします。しかしみんなとても忙しいので記憶にあまりないくらいその2回以外は関わってくれず、ミーティングの時間を確保するのも一苦労でした。最後に出席率や態度、やる気が評価されると“Merit”が与えられました。 3年生は一般内科と一般外科をいくつか回りました。3年目が終わると、Intercalationといって一旦医学部から抜け、他の学士号(提携している科目のみ)を1年で取得することのできるコースもありました。私は残念ながらやりませんでしたが、それで学士号をもう一つ取得することで就職に有利になることもあります。 4年目: 本格的な病院実習へ 4年生になると授業はほぼ病院内で行われるので、キャンパスに行くことはほとんどありませんでした。色々な病院を回るので車がないと不便でした。 コロナの後からできた医学生専用のscrubs(医療用白衣) 更に10週間ずつ一般内科と一般外科を回り、レベルアップしたチェックリストをこなすと同時にPortfolioの提出が必要でした。それには自分が選んだ患者さんのケースレポートと、その病気についての論文らしきものを書きました。 その合間にも授業があり、一般外科と一般内科が終わるとまた試験がありました。それに合格すると他の科の実習が始まりました。 私の代はここでコロナのパンデミックが始まり、一時中断になりました。 5年目と最終試験: OSCEとは 最終学年では最終試験に向けての勉強はもちろんのこと、実習や課題もひたすら出されました。神経内科、形成外科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科、小児科、救急科、精神科そしてGPを回りました。それぞれのチェックリスト、そしてレポートは相変わらず必須でした。 それに加え、Prescribing Safety Assessmentという処方するための試験もあり、それにも合格しないと卒業して研修医が始まってから処方だけできないことになるのです。ただしこの試験は当時おそらく年3回くらいチャンスがあり、研修医1年目の終わりまでに合格すればいいとのことでした。 実習の終了から試験までわずか2週間しかなく、実習も毎日5時まである中で勉強するのは大変でした。筆記試験では記述問題と選択問題の2つがありました。それに加え、OSCE(Objective Structured Clinical Examination/客観的臨床能力試験)という臨床試験もありました。 OSCEでは小部屋にそれぞれ試験監督の先生とボランティアの他の学年の学生や役者さん、病院の患者さんのいずれかがいます。受験生は1人ずつ部屋のドアの前に立ち、1回目の笛が鳴るとドアに貼ってあるInstructionを読みます。そこには「あなたは2年目の医者です。患者は38歳の女性、主訴は頭痛。問診をし、CNS examinationをしなさい」などという情報があります。2回目の笛が鳴るとノックをして部屋に入り、自己紹介から始めます。 そこでコミュニケーション力、理解力、知識、そして与えられた項目を正しく実施するかなどで総合得点がつけられます。試験監督がその後質問をしてくることもあります。患者さん役の人があえて難しく反応してくることもあり、対応力を試されます。 このような形式の試験を連続で4つ行い、それが4日間続きました。 この試験もある一定の数を合格しないと卒業できません。毎年多くの学生が落第しますが、筆記は得意でもOSCEのせいで落第してしまった学生も少なくありませんでした。 そのくらい重要でしたので、試験勉強しながらも週末に何人かの友達と集まり、3、4時間かけてお互いに模擬OSCEをして練習しあいました。 イギリスの医学部卒業後と研修医生活 今は変わってしまいましたが、私たちの代は最終試験の前にもう一つ適性検査があり、その結果に応じて研修先の病院が決められました。現在はこの試験は廃止され、研修医の勤務先はランダムになったそうです。しかし、これも不評のため再び変更される可能性もあるようです。 最終試験に無事合格すると6月末に卒業式があり、そこからは正式に自分のことをドクターと呼べます。そして8月の最初の水曜日から与えられた病院で研修医が始まります。最初は仮免許状態で働くのですが、オピオイドの処方ができないなどの小さな制限以外は他のジュニアドクターとほぼ同じでした。 医学部の卒業式典の様子 卒業式 研修医の時にも担当のSupervisorがいて、定期的に業務の経過報告をします。お給料も入り、本格的に医者としての仕事ができ、医学生の時よりも毎日が充実していて楽しかったです。 研修医の間も同じくチェックリストのようなものがあり、しっかりとすべてをこなさないといけませんでした。授業も週1でお昼休みにあったのでその出席や、ケースレポート、先輩医師とのディスカッションなど、仕事の合間を縫って行わなければなりませんでした。CAPSというClinical procedure(臨床手技)のチェックリストもありました。 同期や他の医療従事者からの評価も必要で、それをすべてクリアすると2年目に上がれます。2年目は本免許になるのでできることが少し増え、同様にクリアすると研修医修了書がいただけます。 その後のキャリアは人それぞれで、専門医になったり、いろいろな科を転々としたりするなどさまざまです。最近ではイギリスの医師免許の書き換えだけで行けるオーストラリアに1、2年行く人も増えました。 最後に 医学部の勉強は決して楽ではなく、試験のたびに涙しながら勉強していました。卒業の日を夢見て頑張ってきたからこそ、最終試験に合格した時の気持ちは今も忘れられません。 医者の道を進んで本当に良かったと思いますし、私を育ててくれたグラスゴー大学にも感謝の気持ちでいっぱいです。

ごく普通の高校生がロンドンの大学生に: 留学までの道のり

はじめまして。Kotokoです。現在、Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)のMA Promotional Media(プロモーショナルメディア修士課程)に通っています。今回は、東京で生まれ育った私が2023年にロンドンへ来るまでの道のりを皆さんにシェアしたいと思います。 英語が身近にあった幼少期〜高校時代 私は、小・中学校は地元の学校に通い、友達と外で遊ぶのが日課の、ごく普通の子どもでした。昔から海外に行く機会はあまりなかったものの、父はアメリカの大学を卒業していることから外国人の方との交流は他の人より多く、その影響もあって英語を勉強したいと思うようになりました。 高校は都立の外国語コースがある学校に進学しました。このコースでは、数学や理科の授業が少ない分、普通科で行われる文法に加え、ディスカッションや英作文に力を入れた授業がありました。 受験英語は得意な方でしたが、スピーキングやリスニングの能力はあまり高くなく、英語が少し得意な高校生だったと思います。 きっかけは「留学プロジェクト・次世代リーダー育成道場」 そんなふうに高校生として日々を過ごしていたある日のこと。学校の先生から、東京都が主催する留学プロジェクト(次世代リーダー育成道場)について全体に案内がありました。そしてこれが、私の運命を大きく変えることになるのです。 海外の高校に1年留学できる「次世代リーダー育成道場」とは 「次世代リーダー育成道場」は、東京都教育委員会が実施している、都立高校・中等教育学校・都立中学校に在籍し、校長の推薦を受けた生徒を対象とした留学支援プログラムです。この制度では、参加者は海外の高校に1年間通いながらホームステイをすることができます。派遣時期により冬出発のオセアニア地域と夏出発の北米地域の2つのコースから選べます。 出典: 東京都教育委員会「次世代リーダー育成道場」公式サイト (https://www.ryu.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp/about.php) このプログラムは事前・事後研修もあり、留学中のみならず学ぶチャンスが多くあります。 ① 留学前の国内事前研修 研修は月に2回程度、主に日曜日に実施されます。参加者全員が集まり、語学力の向上に加えて、講演会などを通じて日本の伝統・文化・歴史への理解を深め、自分の目標について考える機会も得られます。 この事前研修の中でも特に重要なのがゼミナール研究です。 研修生はそれぞれ現代社会の課題を見つけ、国内での調査を行いながら、留学先での調査へとつなげていく研究のアウトラインを作成します。そして、留学期間を通じてこの研究を発展させ、論文としてまとめていきます。 ②ホームステイをしながら送る留学生活 現地の高校に入学し、授業を受けながら実践的な英語力を養います。 また、ホームステイ先が用意され、現地の家族との交流や多文化に触れる体験を通して、大きな成長が期待されます。 ③帰国後の成果発表会 留学での経験や学びをしっかりと形にするために、帰国後には成果発表会が行われます。 そこで出発前から取り組んできたゼミナール研究の成果を発表し、自らの成長や仲間たちの変化を改めて感じることができます。 ここまで紹介してきたように、語学力だけでなく、文化理解や社会課題への探究心を育てられるこのプログラムですが、実はもうひとつ大きな魅力があります。それは、費用面のハードルが非常に低く、手の届きやすいプログラムであるという点です。 参加するための費用は? 費用は、渡航費・滞在費・学費などの基本的な留学経費として80万円が必要です。 それ以外にかかる費用(パスポート取得、ビザ申請、保険、健康診断、予防接種、事前研修への交通費、制服代や教材費など)は、別途約70万円が自己負担となります。 そのため、総額はおよそ150万円です。しかし、通常の1年留学(200〜400万円程度)と比べると、非常にリーズナブルです。多くの生徒にとって現実的な選択肢となっています。 ※1ポンド=190円で換算しています 募集人数 令和7年度の募集人数は、A(冬出発)コース、B(夏出発)コースともにそれぞれ75名以内、合計150名以内となっています。 ただし、募集人数を含めた詳しい要項は毎年変わります。最新の情報は東京都教育委員会の公式ホームページに掲載されます。必ずその年度の次世代リーダー育成道場研修生募集要項でご確認ください。 コロナで留学断念!でも再び現れたチャンス ここまで次世代リーダー育成道場の概要や費用、応募条件について紹介してきましたが、実は私自身もこのプログラムに応募し、無事に合格。研修生として参加することができました。 しかし残念ながら、私が参加した年はコロナ禍と重なってしまいました。そのため本来予定されていたオセアニア地域への留学は叶いませんでした。それでも、事前研修を通して語学力だけでなく、社会課題への関心や自分自身の目標について深く考える機会を得ることができました。この経験から、日本を飛び出して、もっと広い世界を自分の目で見てみたいという思いが一層強くなりました。 そして高校3年生の夏前、幸運にも父のロンドン転勤が決まりました。これをきっかけに、ロンドンの大学を目指してみようと本気で決意したのです。 ロンドン大学に出願するまでの道のり: ファウンデーションコース 私はただ英語が好きなだけで英語力に自信もなくA-levelやIBといったイギリスの学部に直接入学が可能な国際教育資格を持っているわけではなかったのでFoundation Course(ファウンデーションコース)に入ることにしました。このことを担任の先生に相談すると、留学エージェントを紹介されました。それ以降、出願手続きやビザ申請など、専門的なサポートをエージェントにしてもらいました。 https://jp.education-moi.com/universities/uk/foundation 海外大学の情報収集 まず、大学で何を学べるのかを調べることから始めました。イギリスの大学では、1年次から専攻分野の学習が始まります。そのため出願時に専攻を決めておく必要があります。また、イギリスにはビジネス、アート、コンピューターなど、幅広い分野の学科があるため、自分に合った学科を見つけることができます。 私はメディアに興味があったので、「ロンドン」「メディア」「大学」といったキーワードで調べ、各大学の公式サイトで学費や必要なIELTSスコアを確認しながら検討を進めました。その結果、Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)とUniversity of Westminster(ウェストミンスター大学)それぞれのファウンデーションコースに出願することにしました。 必要書類について 出願を決めてから、各大学のファウンデーションコースのウェブページから必要書類や資格を調べました。大学によって多少異なりますが、一般的に求められる書類は以下のとおりです: 高校の成績証明書(英文) 卒業証明書(英文) 高校の先生からの推薦状1通(英文) personal statement(志望動機をまとめた英文エッセイ) パスポートのコピー IELTSスコア 私の通っていた高校には非常勤のALT(外国語指導助手)がいました。その先生に添削してもらいながらエッセイを完成させました。英文の成績証明書は英語の先生に相談したら作成してくれました。これらの書類がそろったら、留学エージェントに提出し、出願を代行してもらいました。 イギリスの大学出願は、UCAS(Universities and Colleges Admissions Service/ ユーカス)という専用のプラットフォームを通して行う必要があり、操作や手続きが少し複雑です。私の経験から言えば、エージェントのサポートを受けるのがおすすめです。 IELTSの勉強と必要スコア獲得 情報収集や必要書類の準備と並行して、IELTS対策もしっかりと進めました。  当時高校3年生だった私は、英検2級しか持っておらず、正直なところIELTSって何?という状態からのスタートでした。まずは出題傾向を理解することから始め、4技能それぞれに対して計画的に対策しました。ここでは、私が行った対策をスキル別にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください! Reading 時間内に問題を解けることを目標に、毎日時間を測って大問ごとに練習していました わからなかった単語はノートに意味と一緒にメモ。オリジナル単語帳を作って通学時などに繰り返し復習。毎日少しずつ語彙を増やすことを意識していました 私が作った単語帳 自作の単語帳では、左側に単語を、右側に品詞と意味を書いています。使い方も同時に調べました。特殊な使い方をする単語には例文をつけて使い方までマスターできるようにしています。 Listening 専門的な語彙も出てくるため、問題を解くだけでなく、BBCニュースを定期的に視聴して耳を慣らしました 特に聞き取れなかった単語は、スペルや発音をしっかり確認しました。意味はわかるのに聞き取れないのを防ぐようにしていました。ここでも単語帳が大活躍しました Writing 毎日1~2行でもいいので英語で日記をつけ、自分の考えを英語で表現する練習をしました。わからない表現は調べながら書くことで、語彙力と構文力が自然と身につきます 問題集を解き終わったら、ただ答え合わせするのではなく、英語の先生に添削してもらい、文法の細かいミスや表現の言い換えなどを学びました Speaking 動画に英語・日本語の同時字幕をつけられる拡張機能「Language Learning with Netflix」を使って、日常会話で使われるフレーズを中心にshadowing(シャドーイング)の練習をしました 学校のALTにお願いして、放課後に会話練習をさせてもらいました。最初は緊張してなかなか声をかけられませんでしたが、先生は初心者に慣れているので、思い切ってお願いすることが上達の近道だと感じました このような形で、4技能バランスよくIELTS対策を行っていました。 もちろん、高校3年生だったので定期テストもありました。成績も出願に必要な書類のひとつです。そのためテスト勉強とIELTS対策を並行してコツコツ取り組むことが大切です。 また、英検と違ってIELTSは受験料が通常 27,500円と高額です。そのため何度も気軽に受けることはできませんでした。そこで、留学エージェントが提供していた模擬テスト(公式IELTSの受験料の1/4ほど)を活用して、実力を確認したうえで本番に臨みました。 その結果、必要スコアであるoverall 5.5を無事に取得し、出願に至りました。 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジに無事合格! 2月中には、出願していた2校どちらからも結果が届きました。ありがたいことに両方とも合格し、第一希望のGoldsmiths, University of London(ゴールドスミス大学)に進学することを決めました。 ただし、2月の時点ではまだ高校を卒業していなかったため、合格はConditional Offer(条件付きオファー)という形式でした。その後、高校を卒業し、証明書を提出したことでUnconditional Offer(無条件オファー)に切り替わり、ビザの申請手続きへと進むことができました。 メモ イギリスの大学からの合格通知には、大きく分けてConditional Offer(条件付きオファー)とUnconditional Offer(無条件オファー)の2種類があります。 ・Conditional Offer(条件付きオファー)→あとでIELTSスコアの提出や高校の卒業成績が一定以上であることなど、いくつかの条件をクリアすれば正式に合格になる ・Unconditional Offer(無条件オファー)→すでにすべての条件を満たしている場合に出される、正式な合格通知 詳しくはこちらの解説記事にわかりやすく説明されています。 イギリス留学: 出発までの日々 高校を卒業した後も、英語の勉強は続けていました。IELTS対策のときに使っていた単語帳を引き続き活用し、新しい単語にできるだけ多く触れるよう意識していました。それに加えて、今度は会話で使えるカジュアルなフレーズを中心に学ぶようにしました。 特に、私が今でも続けているのが、InstagramやTikTokで紹介されている英語フレーズの動画を活用した学習です。さらに、特定のフレーズが映画やドラマの中でどのように使われているかを検索できるplayphrase.meというサイトを使って、実際に使われる生きた英語を身につけるよう心がけていました。 もちろん、勉強だけでなく友達との時間も大切にしていました。イギリスに行ってしまうと日本の友達と気軽に会うのが難しくなります。高校卒業後の時間は、思い出をたくさん作る良い機会でもありました。 そうしているうちにあっという間に8月になり、イギリスでの大学生活がスタートしました。 イギリスへ飛び立った ロンドンで見た景色ービッグベン 「普通の高校生」だった自分が今思うこと この体験談を読んでいただければ分かるかと思いますが、私は特別な存在ではなく、どこにでもいる「英語が好きな高校生」でした。そんな私が今、ロンドンの大学に通いながら、毎日新しい発見に満ちた日々を過ごしています。 もちろん、言葉の壁は高く、今も決して楽な毎日ではありません。それでも、日本では出会えなかった人々や経験に触れ、かけがえのない学びを得ています。 だからこそ、皆さんに伝えたいです。英語が好きという気持ちと、努力があれば、イギリス留学は決して夢ではないです。この記事が、少しでも「自分も挑戦してみたい」と思うきっかけになってくれたら、とても嬉しいです。応援しています! 続きの記事も見てくださいね! https://passporter-media.com/articles/16/ 次世代リーダー育成道場: https://www.ryu.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp ロンドン大学ゴールドスミス校公式サイト: https://www.gold.ac.uk

イギリス大学留学Pre-Departure Event 2025@東京 #3|舞台裏に迫る

イギリスの大学留学を始める学生向けに8月23日にPre-Departure Event 2025が開催されました。この記事では開催までの経緯や当日の準備など、イベントの舞台裏をお届けします。 イベントの裏側はこちらの動画にもありますので、併せてご覧ください! https://www.youtube.com/watch?v=pGcj4TY1IrA 開催の経緯: Moi Educationとのコラボ 今回のイベントは4大学のJapanese Societyの合同開催ですが、中心となって進めてきたのがImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)のJapanese Societyです。インペリアルJapanese SocietyのSecretaryのSaraさんによると、一つ上の学年のコミッティーから「いつか東京でイベントを開催したい」という話をずっと聞いていたと言います。 夏休みに代が替わり、25/26年度のコミッティーとしていろいろなイベントの企画が始まりました。その時に、Moi Education代表のMakiさんと別の件で打ち合わせをしていた際に、「東京で渡航前イベントを開催したいです」と話を持ち込み、Makiさんが「ぜひ一緒にやりましょう」ということでした。 インペリアルJapanese Society副会長のYukaさんによると、インペリアルにあるSingapore Societyなど、他の国の団体が毎年開催しているため、それらを参考にしたそうです。 事前準備: 4大学のJapanese Societyが打ち合わせで調整 イベントの運営は会場探しやInterest formを利用して参加者数を予測するところから始まりました。しかしインペリアルのみではかなり小規模になることが分かったそうです。加えて8月中旬にならないとA-levelの結果が出ず、その関係で参加を決められない新入生が多いことが浮かび上がりました。また、他大学からの参加希望者がいたことも踏まえ、合同開催に踏み切りました。 コミッティー全員が「去年の自分が渡英前にあったらうれしかったイベントを後輩たちに届けたい」という思いを原動力に準備を進めました。 本格的に動き出したのは開催の約1カ月前です。インペリアルのJapanese Societyのメインコミッティーがプログラムの大枠を決め、他の参加校のJapanese Societyとオンラインでミーティングを重ねました。イベント全体の企画は主にSaraさんが「去年の自分が渡航前に知っておきたかったこと」をベースに決めました。 それに加え、学部、大学、都市が異なるメンバーからも意見も入れて、より多様な視点から見たイギリス留学、そしてコミッティー全員が新入生に伝えたいことを追加していきました。 当日の準備: リハーサルなど最終調整 Pre-Departure Eventのポスター イベント当日の午後2時、コミッティーたちが会場に集まりました。まずは椅子や机の並べ替えなどをして会場設営をしました。第二部がスムーズに始められるように、大学ごとにテーブルを分け、印となる大学のロゴを貼った。その後、プレゼンテーションで使用する大型ディスプレーの準備と接続をし、発表の流れのリハーサルも行われました。 各大学のJapanese Societyのコミッティーが打ち合わせをしている様子 開場の時間になったらSaraさんが入口近くで受付の準備を始め、パソコン上に名簿を表示させました。受付と同時に参加者に名札を自分で書いてもらえるよう、名札シールが用意されました。 責任者のSaraさんインタビュー 今回のPre-Departure EventはImperial College LondonのSaraさんが企画し、他の3つの大学のJapanese Societyのコミッティーとの調整などを行いました。責任者のSaraさんに開催の経緯、準備の過程などについて聞きました。 Pre-Departure Eventでプレゼンテーションを行う責任者のSaraさん Q: 実際に開催してみてどうでしたか? イベントをやって本当によかった、というのが一番の感想です。何よりも「来てよかった!」「いろんな人と会って、話せて楽しかった」「役立つ情報をすでにイギリス留学している先輩たちから聞けて参考になった」という声をいただけたのがうれしかったです。 ぜひ今後も続けていきたいですし、来年度以降のコミッティーに引き継ぎたいですね。今回参加してくれた後輩たちに熱意とイベントの良さが伝わっていることを願います。 Q: 開催にあたって、大変だったことはなんですか? 一番苦労したのは、夏休みの時期に企画を動かしたことです。みんな旅行や予定がある中で、ミーティングに参加したりスライドを作ったりしないといけなくて。私も旅行先のホテルからオンラインミーティングに出たりしていました(笑)。 インペリのコミッティーは普段から仲が良いので、単に「仕事仲間」だけでなく、お互いの時間も大切にしつつイベントを成功させたい気持ちもあって、そのバランスを取るのが難しかったです。でもそういう中で「連絡のプラットフォームを仕事用とプライベート用に分ける」みたいな工夫も生まれて、チームとしても個人としてもすごく成長できたと思います。 Q: 今回開催した中でよかった点や改善点を踏まえ、次回以降はどのような変更を行いますか? 毎年続けていけるイベントにしたいと強く思っています。 今回のイベントの良かった点の一つとして、参加者同士が大学や学年、留学の形態や先輩後輩といった枠にとらわれず、自由に交流できる雰囲気が自然と生まれたことです。当初私が目指していた以上に素敵なものでした。 今後は参加校が増えたり認知度が上がったりして規模がより大きくなっていく可能性もありますが、数に流されず「温かい雰囲気のイベント」であり続けてほしいです。 プレゼンテーションの内容に関しては改善できる点も多いと感じています。就活関連の少しシリアスな内容から、各都市の日本食事情といった日常に密着した話題まで、バランスの取れた構成にはなっていたと思いますが、基本的にコミッティーが一方的にプレゼンする形だったので、今後はもっとインタラクティブにできると良いと思います。 第二部は各校のブースを設置して、自由に話せるフリートークタイムとしましたが、ワークショップのような形で、いろんなバックグラウンドの学生を集めたグループで何かアクティビティをするのも面白いかもしれません。 インペリのJapanese Societyの場合、毎年2年生がコミッティーを担当するのが慣例です。来年以降私がどんな形でJapanese Societyに関わっていくかは未定ですが、今回のイベントで得た学びや感想は、必ず次の世代に引き継ぎたいと思っています。 Q: 最後に新入生へのアドバイスをお願いします! ワクワク、ドキドキ、緊張、色んな気持ちでいっぱいだと思いますが、ぜひ思いっきり楽しんでください!大学は自分の世界がどんどん広がっていく場所です。そしてロンドンは多様性にあふれ、毎日新しい刺激がある街です。たくさんの人に出会い、色んなコミュニティに参加して、多くの経験を積むことが、きっと素敵な大学生活になります! もちろん、勉強という本業も忘れずに。Japanese Societyにもぜひ遊びに来てくださいね☺︎ Pre-Departure Eventに参加した新入生とJapanese Societyのコミッティーたちの集合写真 コミッティー紹介 イベント中に主催したJapanese Societyのコミッティー3人に話を聞くことができ、現在の専攻やロンドン生活の楽しみなどをご紹介します。 Saraさん Saraさん 所属: Imperial College London, Medical BiosciencesJapanese Societyでの役職: Secretary 小さい頃から理科が好きで、人体構造や病気の仕組み、薬効を学ぶことが面白くて、そこから医療生物学に惹かれるようになりました。また、エジプトやミャンマー、インドといった医療体制が十分でない国々で暮らした経験も大きな理由です。 質の高い医療にアクセスできない現実を目の当たりにし、国際機関やNGOが医療支援で果たしている役割に感銘を受けました。その中で私は、医薬品や医療機器の研究開発を通じて、人々が安心して医療を受けられる社会づくりに貢献したいと考えるようになりました。 インペリアルのMedical Biosciencesは、医療生物学を幅広く学べるだけでなく、研究者としての基盤を養うことができるコースです。自分のやりたいことや将来必要なスキルと一致していたため、進学を決めました。 大学生活では、3歳からずっと続けているバレエを楽しんでいます。ダンスサークルのバレエ部門に入っていて、毎週のクラスに参加したり、コンペティションチームで踊ったりしています。2年生からはチームのコミッティーとしてクラスのインストラクターもやっています。 寮生活が始まってから料理にハマっていて、自分のキッチンでディナーパーティーを開いたり、作り置きを工夫したり、各国の友人からレシピを教わったりと、多国籍な環境ならではの楽しみを満喫しています。 それからJapanese Societyの活動も、今年度からコミッティーとして本格的にスタートしました。大変なこともありますが、Secretaryとして仲間と一緒に楽しく仕事しています! Rukaさん Rukaさん 所属: Imperial College London, Biomedical EngineeringJapanese Societyでの役職: Vice President 医療分野に応用できる工学の知識を幅広く学んでいます。1、2年のうちは講義とテストが中心で、3、4年になると実験・実習が増えると思います(MEng/学部・修士一貫課程なので4年間です)。 元々医学部を視野に入れながら医療系に関わりたいという気持ちがありました。将来のことを考えた時に、企業に入って医療機器の開発に携わりたいと思うようになりました。それで学部のコースをいろいろ調べていたら、インペリアルのBiomedical Engineeringが一番自分にぴったりだったのでそこにしました。 今のところ勉強は思っていたほどは忙しくないのですね。一応毎日勉強するように意識していますが、遊びに行く余裕は意外とあります。ロンドン生活の中で、観光が楽しいです。いろいろなマーケットというか屋台っぽいのがいっぱい集まっているバラマーケットなどがとても良かったです。 Shinichiroさん Shin-ichiroさん(左) 所属: The London School of Economics and Political Sciences, EconomicsJapanese Societyでの役職: Secretary and Language Officer 今回のイベントでは会長代理として来ました。LSEのJapanese Societyは他の大学と比べるとかなり小規模ですが、このイベントではLSEの新入生が一番多くてちょっと困惑しています(笑)。 今までブラジルのサンパウロ、インドネシアのジャカルタ、アラブ首長国連邦のドバイと、世界を転々としてきた中で、たくさんの気づきを得られました。貧困に直面している人や富裕層など、幅広い層の人々を見てきた中で、社会問題の解決に経済は大きいなツールの一つになると考えるようになりました。そこで経済に興味を持ち始め、社会科学に特化したLSEで経済学を専攻したいと決めました。 また、イギリスの大学の経済学専攻は数学重視で、どちらかというと理系寄りです。この点は自分に合っていたので、イギリスの大学を選びました。1年目の勉強はIBの延長線上くらいの感覚で、そこまで難しいとは感じなかったです。大体大学に入学できた時点であるの程度学力はあると思いますので、あとは努力を続けて、強い信念があればできると思います。 ロンドンでの生活はご飯がまずい以外は楽しいです。この前、久しぶりに日本に帰ってきて、お母さんが作った白米を食べた時は感動しました。 Pre-Departure Event全体の様子と新入生インタビューはこちらからご覧いただけますのでぜひ読んでみてください! https://passporter-media.com/articles/36/ https://passporter-media.com/articles/37/ 今回のイベントのスポンサー: https://jp.education-moi.com

英国ボーディングスクールから理系の名門大学インペリアルカレッジロンドンへ

 初めまして、Kenshuと申します。19歳で、香港で生まれ育ちました。幼少期から香港のインターナショナルスクールに通い、4年前からイギリスに留学しています。現在ロンドンのImperial College London(インペリアカレッジロンドン)でChemical Engineering(化学工学)を学んでいます。 香港で生まれ育ち、イギリス: Concord Collegeへ留学するまで 小さい頃、父のお仕事の影響で日本と香港を行き来していました。小学校から中学2年生までは香港のインターナショナルスクールに通っていました。途中、日本の中学受験をしたものの、香港に残ることにしました。2019年以降新型コロナウイルス感染症が世界各地で繰り返し流行り、深刻な問題になっている真最中、私はイギリス留学を決め、海を渡りました。2021年の9月に一人でイギリスに渡り、今までの4年間を過ごしてきました。 イギリスでの学校選びにはそれほどの時間をかけませんでした。いくつかの学校に応募し、最初に合格が決まったところに行くことにしました。私が行くことになったボーディングスクール(全寮制学校)はイングランド西部のShrewsbury(シュルーズベリー)にあるConcord College(コンコルドカレッジ)という高校です。 Concord Collegeの校舎 英国ボーディングスクール生活での戸惑いとホームシックの日々 最初の数日は英語で流暢に話し合う生徒たちを見て、会話にうまく入れなかったです。イギリス英語特有のアクセントやスラングを理解しようと必死でした。英語は何年も勉強していましたが、実際に学業や日常生活で使うのはまったく別の経験でした。 戸惑いは言語だけではありませんでした。イギリスの気候は日本とは大きく異なり、灰色の空と頻繁な雨が毎日続き憂鬱でした。食事にも全く慣れず、食堂で出会ったのはシェパーズパイやジャケットポテト、フィッシュアンドチップスばかり。日本のご飯が恋しくてたまりませんでした。 Concord Collegeのグラウンド 寮生活の思い出 Concord Collegeでは70%が寮生徒、30%が現地生です。全寮生徒には一人部屋を与えられました。私がForm4(中学3年)、Form5(高校1年)にいたときは小さい部屋でしたが、Form 6(高校2、3年)に入るともっと大きい部屋を与えられました。そこで夜遅くまで友達とゲームをしたりするのが一番の思い出です。 毎朝7時半に点呼があり、8時にダイニングホールで朝食を食べます。8時半に授業が始まり、午後4時まで9時限(1時限35分)あります。その間に昼休みと中休みが挟みます。4時に授業が終わると自由時間になり、私は毎日自由時間に昼寝をしていました。 6時半から8時10分までの100分間はprep timeという自習時間があります。全生徒が教室などに集って自習します。最初はすごく面倒で退屈な時間だなって思っていましたが勉強が忙しくなるにつれ、とても重要な時間になってきました。prep timeが終わると10時まで課外活動やクラブ活動が始まります。 課外活動 バレーボールとサッカーに打ち込んだ日々 私は学校のバレーボールとサッカーのチームに所属していました。毎週火曜日と日曜日はバレーボールの練習です。水曜日には他校との親善試合があり毎週それに向けて練習をしていました。Concord Collegeでの一番の思い出はバレーボールチームにいたことかもしれません。 一緒にバレーボールに打ち込んだ仲間たちと サッカーは毎週日曜日の午後にトレーニングがありました。イギリスはサッカー大国なのでみんなすごく上手でAチームに入るのにすごく大変でした。最終学年になった時にやっとAチームのセンターバックのスタメンをもらって嬉しかったのを鮮明に覚えています。 Aチームは日本で言う1軍のことで、全部で50人以上いる部員から15人ほどしか選ばれません。Aチームに入るには基本的に監督による評価、練習試合のパフォーマンスなどを総合的に見て選抜されます。Aチーム以外にもBチームがあり主に下の学年の生徒たちが所属します。 日本と香港には無いイベントの数々 クリスマスやハロウィーンになるとディスコやパーティーがよく開催されます。日本や香港の学校ではあまりない経験だったので友達とディスコに行ったときは圧倒されました。学外からDJを呼んでいたのでやっぱりイギリスの学校はすごいな〜って思いました。 毎年11月5日にあるBonfire Nightという日には学校で大きな花火が打ち上げられ、すごく綺麗です。 Concord Collegeで毎年Bonfire Nightで打ち上げられる花火 英国ボーディングスクールの授業内容 GCSE:理系科目が得意で、文系科目は必死 Concord Collegeのカリキュラムは、私がそれまで経験してきたものとは大きく異なっていました。最初の2年間では、GCSE(イギリスの中等教育修了試験)に取り組みます。選択科目からはHistory(歴史)、Geography(地理)、Computer Science(コンピューターサイエンス)、Statistics(統計学)の4つを履修しました。それからPhysics(物理)、Chemistry(化学)、Biology(生物)の3つの理系科目、English(英語)、Mathematics(数学)、Advanced Mathematics(応用数学)を選択しました。私は理系だったので地理、歴史、英語などの科目は苦手で、他の生徒たちについていくのに必死でした。 Concord College で一番ユニークだなって思うところがSaturday Testsという制度です。毎週土曜日に3つの科目の小テストがあります。科目は毎週ローテーションします。例えば、1週間目はMaths、Physics、Biology、2週間目はGeography、History、Computer Science、3週間目はEnglish、Statistics、Chemistryという感じです。特に2週間目はエッセイ科目が多く、その週の月曜日に復習を始めていたのですごく苦労しました。 2年目の5、6月になるとGCSEの試験が始まり、週に3、4つテストがありそれが2ヶ月間続きました。合計25テスト(9教科)を終えた後、2ヶ月間の溜まった疲れがどっと出てきてそれからの1週間は何もやる気が起きなかったです。 2年間のGCSEカリキュラムを終え、そのままConcord CollegeでA-levelに残ることを決めました。 A-Level:科目数が減り、内容が難しくなった イギリスでは2年間のGCSEを終えた後A-levelカリキュラムに2年間取り組みます。A-levelでは数学、応用数学、物理、化学を選びました。どれも理系科目で自分の得意分野でもあり、大学でChemical Engineering(化学工学)を専攻したいと思っていたのでこの4つを選択しました。 選択する科目がGCSEより少ない分、内容は難しくなり、特に物理は理解するのにすごく時間がかかりました。A-levelでもSaturday Testsは引き続き実施され、毎週2科目になりました。A-levelではGCSEとは違って授業がないfree periodという時間も増え、より自由な時間割になりました。でも私は勉強ではなくほとんどの時間を寮に戻って昼寝をしていました。 GCSEと同様、A-levelを始めてから2年目の5、6月になると試験があり、6月末までに10テストを終えました。志望大学の進学条件で、私は化学で最高評価のA*をとらなければいけなかったので化学の試験当日は落ち着かなかったのを覚えています。化学のA*を取るには90%以上得点する必要があります。そのため、化学の復習には他の教科より多くの時間を費やしていました。 A-levelが終わるとConcord Collegeから卒業し、夏休みに入りました。 https://jp.education-moi.com/boarding-schools/uk#a-level 高校の勉強と両立しながら挑んだイギリス大学受験 私はイギリスの大学に行きたいという思いが昔からあり、Personal statement(志望理由書)などの準備に力を入れていました。Engineering and Science Admission Test(ESAT)※の勉強だったり面接の準備だったり色々なことをやる必要がありました。Concord Collegeにいた最後の年は勉強と受験対策の両立で忙しくて大変でした。2025年の1月に運よくImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)からのオファーレターをもらうことができました。今でもその瞬間だけは忘れられないです。 ※ESATは、University of Cambridge(ケンブリッジ大学)やインペリアルカレッジロンドンなどの理工系学部への出願者に課す入学試験です。 https://esat-tmua.ac.uk/about-the-tests/esat-test インペリアルカレッジロンドンに進学 今年の9月にImperial College Londonに入学し、化学工学を専攻しています。 今はロンドンで大学生活を送っていますが、振り返ってみると15歳でイギリスに渡ったとき、不安だらけでした。言葉も文化も違う環境に飛び込んで、自信をなくしたこともあります。でも、その経験を通して、今まで気づかなかった自分の強さや、新しい視野を得ることができました。これからも留学に関する情報や経験を共有していき、少しでも同じ道を考えている皆さんの参考になれたらうれしいです! https://jp.education-moi.com/article-50-imperial

イギリスのETAとは?申請方法や学生ビザとの違いを徹底解説

2025年からの新ルールにより、イギリスに入国するためにはETAの申請が必要になりました。ETAは、主に観光、イギリスに滞在する家族や友人の訪問、出張、短期留学をする人が対象で、取得すると最長6ヶ月間イギリスに滞在できます。 一方で、大学進学などで6ヶ月以上の就学目的でイギリスに滞在する人はこれまで通り学生ビザが必要です。  この記事では、「ETAがいる人、いらない人、学生ビザとの違い」についてわかりやすく解説し、ETAの申請手順についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。 イギリスのETAとビザの違いは? まず、ETAとビザは別ものです。  ・ETA: Electronic Travel Authorisation(電子渡航認証)  ・ビザ: Visa(入国・滞在許可証)  ETAは、日本人を含む「観光などで短期滞在するためのビザを必要としない渡航者」に向けた渡航認証です。対してビザは、就学や就労、居住、結婚などで一定期間の滞在を許可するものです。ETAよりも厳格かつ証明する必要書類も多く、プロセスや費用が違います。  違いについて、学生ビザを例に以下の表に簡単にまとめました。   ETA 学生ビザ 目的 観光、家族訪問、短期留学、出張など 就学 滞在期間 最長6ヶ月間 6ヶ月〜5年 有効期間 2年間 (この間何度でも入国可能) コース期間による 有効開始日 申請許可が下りた日 コース開始の1ヶ月前〜 申請料※£16(3,040円) £524(99,560円) + IHS(医療費) 年齢 すべて 16歳以上(4歳から17歳はチャイルド学生ビザ適用) 必要書類 少ない 多い ETAと学生ビザの違い ※申請料の金額は1ポンド190円で計算しています。最新の料金は英国政府機関公式ウェブサイトでご確認ください。  学生ビザを取得する人は、ETAの手続きをする必要はありません。 また、ETAは入国を保証するものではなく、最終的にはイギリス到着後の入国審査で判断されます。  学生ビザの申請について、詳しく知りたい方にはこちらの記事がおすすめです! https://passporter-media.com/articles/5/ イギリスのETAでできること&できないこと ETAがあれば6ヶ月間までイギリスに滞在できますが、その間にできることは限られています。 ETAでできること 観光、家族や友人の訪問、出張、短期留学  イギリスの空港を通過、入国をする乗り継ぎ(一旦入国して荷物をピックアップし、乗り継ぎ便のチェックインをする場合など)  クリエイティブワーカービザ保持者が特例を利用し最長3ヶ月間イギリスに滞在  特定の分野(スポーツ、音楽など)の専門家として、あらかじめ許可されたPermitted Paid Engagement(短期的な有給の活動)に参加し報酬を得ること  ETAでできないこと イギリスに居住  6ヶ月を超えてイギリスに滞在  イギリスの企業で有給・無給の仕事をしたり、自営業者として働いたりすること  生活保護や住宅手当など、国や自治体からの支援金を受け取ること  結婚またはシビルパートナーシップを登録、申請  ETAはなぜ始まった?  日本国籍保持者に対しては、2025年1月8日からETAが必要となりました。 ETA導入の目的は主にセキュリティーを強化するためです。すでにアメリカやカナダなど複数の国で電子渡航認証をはじめており、馴染みがある人も多いかもしれません。  イギリスでも渡航者に関する情報を事前に把握し、犯罪抑止力を高める狙いがあります。実際にETAの申請手続きのなかには犯罪歴についての質問があります。それにより、危険人物をいち早く特定し、犯罪を未然に防ぐことを目指します。  「ETA or ビザ」どっちが必要?確認方法 ビザを取得している多くの人はETAが必要ないとお伝えしましたが、ケースによってどちらがあればいいのかを政府機関公式ウェブサイトで簡単に確認できます。  例として、渡航目的を「就学」とした場合には、以下のような流れで誘導されます。  ①: 「スタートボタン」を押す  ②: 国籍選択  ③: 渡航目的を選択  ④: コース期間を選択 ⑤: コース期間次第で「ETA」もしくは「各種学生ビザ手続きページ」へ進む  イギリスETA申請の流れ  ここからは、実際にETAを取得するために何が必要なのか、どういった流れで申請するのかを解説していきます。 ETA申請に必要なものは? 渡航に使用するパスポート  メールアドレス  クレジットカード/デビットカード/Apple Pay/Google Payのいずれか  申請料£16(3,040円)  注意点 申請料金は返金されません。  16歳未満の手続きには保護者の同意書がいります。  ETAの有効期間はパスポート残存有効期限内です。パスポートの有効期限が残り少ない場合は、ETAの有効期間が短くなってしまいます。  イギリスETA申請手順は?  手続きは専用アプリか英国政府公式ウェブサイトから行います。政府機関Home Office(ホームオフィス)のYouTube動画では、スマートフォンでの手順をわかりやすく説明しています。 https://youtu.be/uG1zaOMl63M?si=uUFhIt6mgAhXKnLa 政府機関Home Office(ホームオフィス)提供のイギリスETA手続きに関する動画 ビデオの内容をまとめると…  UK ETAアプリをスマートフォンにダウンロード(公式ウェブサイト上のQRコードをスキャンするか、Google PlayストアまたはApp Storeからダウンロード) ※スマートフォンを持っていない人は、公式ウェブサイトから手続きできます  パスポートの顔写真ページをアップロード  スマートフォンをパスポートにかざしてICチップを読み取り  本人確認のため、スマートフォンで自分の顔をスキャン(9歳以下のこどもはスキャン不要)  スマートフォンで写真撮影(パスポートの顔写真撮影ルールと同様)  住所、職業、犯罪歴等の質問に答える  クレジット・デビットカードで支払い(Google Pay、Apple Pay可)  申請受付メールにて参照番号を受信  3営業日以内にETAがパスポートとリンク  このように、ETAの手続きは簡単かつスピーディーです。入国にはパスポートがあればOKです!  いざイギリス入国!ETA保持者の入国審査  イギリスの空港に到着したらまずは入国審査があります。2025年現在、イギリスの空港では日本パスポート(ICチップ搭載)保持者は自動ゲートを利用できます。  自動ゲートの利用方法  日本はEU、アメリカ、オーストラリア、韓国などと同じレーンが用意されているので、国旗のマークを目印に進みましょう。空港にはいくつもの自動ゲートの機械が設置されており、通常、ホリデーシーズンなどの混雑時以外はそれほど待ち時間が長くない印象です。  各自動ゲートの空き状況は、緑か赤マークの点灯で確認できます。緑のマークが点き、ドアが開いてゲートに入ると、目の前のスクリーンに、パスポートの顔写真ページを下にしてスキャンする指示が映し出されます(パスポートのカバーは外しましょう)。それに従い、帽子やマスク、サングラスやメガネを外した状態でまっすぐカメラを見つめると、自分の顔がスクリーンに映ります。  パスポートを伏せたままにし、動かずしばらくすると、ゲートが開くのでパスポートを手にとって進みます。これで入国審査は完了です。  自動ゲートが開かない?有人カウンターでの入国審査 ETAがあるのに、機械の不備やなんらかのトラブルで自動ゲートが開かない場合があります。そのようなケースでは、係員に有人のカウンターで入国審査を受けるよう指示されます。指紋認証やいくつかの質問により入国が許可されれば、パスポートに入国のスタンプが押されます。※自動ゲートではスタンプは押されません。  イギリスのETAについてよくある質問 QETAはいつまでに申請すればいいですか?A 明確にいつまでという情報はありませんが、出発までに前もってETAを取得しておく必要があります。許可が下りるまで3日間かかるので、それを見越して入国に間に合うように申請しましょう。 Qサマースクールなどの短期留学への参加もETAは必要ですか?A はい。6ヶ月未満の短期留学であればETAが必要です。当メディアを運営するモアエデュケーションでは、 サマースクールやスプリングスクールを含む短期留学のサポートを行っております。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。 https://jp.education-moi.com/summer-programs QETAがなくてもイギリス行きの飛行機に乗れますか? A 乗れません。ETAの承認がないと搭乗を拒否されますので、渡航直前ではなく余裕を持ってETAをとっておきましょう!  QETAとStandard Visitor Visa(スタンダードビジタービザ)の違いはなんですか?A 対象者や性質が違います。スタンダードビジタービザはETA対象国以外の国籍を持った人がイギリスに渡航する場合や、過去に入国を拒否されたことがある人などが対象です。申請料は£127(24,130円)で、ETAより高いです。※1ポンド190円で計算しています。 QETAがいらない人は?A イギリスまたはアイルランドのパスポートを所持している人や、ビザをすでに取得し、イギリスでの居住、就労、就学の許可を得ている人です。 Qパスポートを更新したらETAはどうなりますか?  A ETAの期限は残っているのにパスポートの有効期限が切れてしまったらETAも無効になります。再度イギリスに入国したい場合は、更新後の新しいパスポートでETAを取得し直す必要があります。  QETA申請が却下されたらどうなりますか?A ETAではなくスタンダードビジタービザやほかの種類のビザを検討しましょう。  入国ルールは常に最新情報をチェックしよう!  少し前まではパスポートがあれば短期滞在でイギリスに入国できた日本人も、今ではETAの取得が必須となりました。 特に留学生においては、就学期間や状況によってETAなのか学生ビザなのか変わります。ご自身がどちらに当てはまるかは、英国政府公式ウェブサイトでの確認がおすすめです。最新の情報には必ず目を通しましょう!  https://www.gov.uk/eta

現役KCL生が解説!キングスカレッジロンドンのファウンデーションコースからPPE学部進学

こんにちは!現在King’s College London(KCL)でPPE(哲学・政治学・経済学)を専攻しているAyanoです。私は日本の高校を卒業後、イギリスの大学へ進学するため、昨年1年間は同大学のファウンデーションコースに通っていました。今回は、ファウンデーションの内容や学部課程への進学などについて紹介したいと思います。 https://passporter-media.com/articles/30/ ファウンデーションコースとは? ファウンデーションコースは、日本の高校など、イギリスの大学入学資格(A-levelやIB)を持っていない高校を卒業した生徒が、イギリスの大学に進学するために必要な準備をする1年間のプログラムです。 このコースでは必要な英語力に加えて、学部課程で希望する専攻に近い内容を学びます。 https://jp.education-moi.com/universities/uk/foundation ファウンデーションコースの種類: 民間と大学 ファウンデーションコースは大学が実施しているものと、大学以外の教育機関が実施しているものがあります。私はKCLのファウンデーションに出願し、入学しました。このファウンデーションからそのままKCLの学部課程へ進学する場合は、決められた成績をとる必要あります。 ファウンデーションコースには民間の教育機関が提供しているものと大学が運営しているものがあります。出願を検討している人がいれば、大学が提供しているものをおすすめします。 キングスカレッジロンドンのキャンパス 民間のファウンデーションだとUCASを通して学部課程に出願するのが難しいケースがあります。大学直営のファウンデーションであれば、その大学への進学保証があるだけでなく、他大学への出願もできます。例えば、ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)やLondon School of Economics and Political Science(LSE)などへの出願は大学直営のファウンデーションしか認めていない場合があります。 上記の例からわかるように、実際のファウンデーション後の進路に融通が利きやすいのは大学直営のものだと思いますので、私は大学直営のものをおすすめします。 キングスカレッジロンドンのファウンデーションコース KCLのファウンデーションコースの中でもいくつかpathway(分野)があります。それぞれのpathwayごとに、進学できる学部のコースが決まっているため、それを参考にして私もpathwayを選びました。 現在のKCLのファウンデーションでは大まかに以下の4つのpathwayがあり、さらにそこから細かく分かれています。 https://www.kcl.ac.uk/international-foundation/pathways ・Health, Life & Biosciences Pathway・STEM & Natural Sciences Pathway・Politics, Culture & Social Sciences Pathway・Business & Economics Pathway 私が通っていたのはPolitics, Culture & Social Sciences Pathwayの中のGlobal Politics and Social Sciencesというものです。このコースからは、主に政治学といった社会科学を中心とした学部課程へ進むことができます。例えばPPEや政治学、国際関係学、国際開発学、地理学、法学部などです。 現在このコースは無くなってしまったのですが、代わりにあるGlobal Politics + Economicsというものが一番近いです。 私が修了したファウンデーションでは数学の授業がなかったため、KCL以外の大学のPPEの出願資格を満たしていなかったです。新しいものは経済学を含むため、この点が改善されたのかもしれません。 キングスカレッジロンドンのファウンデーションコースで履修した授業 このファウンデーションで4つの授業をとりました。 Global Politics Social Sciences Culture and Society English for Academic Purposes 1. Global Politics 1つ目のGlobal Politicsでは政治学の基礎について学びました。「権力とは何か?」「どうやって権力が影響していくのか?」といった抽象的な部分から、民主主義など様々な政治体制を各国のケーススタディをしながら学んでいきました。 2. Social Sciences 2つ目のSocial Sciencesでは「社会科学を学ぶための基礎」を学びました。社会科学という学問分野は社会学、政治学、経済学、人類学、など広い範囲を含みますが、ここでの社会科学は「社会科学ってどんな考え方・研究方法を使う学問なのか?」というテーマに沿ってカリキュラムが組まれていたように思います。 授業内容としては、ジェンダー、フェミニズム、教育、マルクス主義など広い範囲を学び、リサーチ方法も習得しました。 授業の様子 2学期にあったグループプレゼンテーションでは、「リサーチプロジェクトをデザインする」というテーマでリサーチ設計を行いました。例えばどういう方法で研究を進めるのか、研究者の立場がどう結果に影響するのか、文献に基づいた仮説などについてグループ内でディスカッションを行い、結果をまとめて発表しました。リサーチプロジェクトのテーマは授業で扱った内容と関わっていればなんでもOKでした。 私のグループは「K-popの世界的な人気が、韓国人のアイデンティティにどう関わっているのか」というテーマでした。実際の研究は行わず、設計するだけなのですが、私も楽しく参加することができました。 ここまでの2つがこのコースのメインの科目です。 3. Culture and Society 次に3つ目のCulture and Societyについて説明します。学ぶ内容としてはSocial Sciencesとかなり近いですが、アプローチが統計的ではなく、理論的でした。アセスメント(成績評価)もエッセイが多かったです。 4. English for Academic Purposes 最後のEnglishでは、アカデミック英語を学びました。エッセイの書き方や、プレゼンの仕方、どうやってリサーチすればいいかなどを身につけました。これらのスキルはその後の学部課程においても重要であるため、しっかり学ぶことができて留学生としてはとてもありがたかったです。 実際にPPEへ進学してからは、政治学の授業以外でもファウンデーションの内容と重なる部分が多く、身になっているなと日々感じています。 学部課程への進学 前述の通り、KCLのファウンデーションで成績条件を満たしていれば、そのpathwayから進学できる学部課程へは無条件で合格がもらえます。ただ法学部や医学部などへの進学はファウンデーションコースの成績に加え、別の試験や面接があります。 KCLの学部へ進学する場合は最低でも総合成績65%以上でファウンデーションを修了する必要があります。65%以上で進学できるコースもあれば、70%以上が条件となるコースもありました。つまり、KCLの学部課程へ進学したい場合は、64%以下の成績で卒業すると実質failとなります。 1月末に、大学側へ進学したいコースの希望を2つ出します。この時、両方65%のものを選ぶことはできますが、2つとも70%以上のものを選ぶことができません。つまり1つ70%以上なら、もう1つは必ず65%以上である必要があります。最終成績で70%以上取れなかった時に、バックアップを残しておくためです。 キングスカレッジロンドンのキャンパス周辺の建物 65%で進学できるコースは私の政治学のpathwayでは多くなかったため、ほとんどの人が第1希望で70%のコースを、第2希望で65%のコースを選んだと思います。これはpathwayにより大きく異なります。 私は「70%以上取らなきゃ、希望のPPEへ進学できない」という気持ちで1年間頑張っていたので、試験やエッセイのプレッシャーは学部課程の今よりも大きかった気がします。 とはいえ、ファウンデーションなので、日々真面目に頑張っていれば70%を取るのは難しいことではなく、実際私も余裕を持った成績を取ることができました。 授業にしっかり出席するのはもちろんですが、授業の準備も怠らず、セミナーでも積極的に関わっていけば、良い結果は出やすいのかなと思います。 成績の評価方法 アセスメントは、エッセイと試験がほとんどでしたが、プレゼンテーションで評価されたのは2つありました。 これもpathwayによると思うのですが、試験中心のものもあれば、私のようにエッセイがある場合もあります。 KCLのファウンデーションの1学期はFormativeと呼ばれるエッセイや試験がほとんどでした。Formativeは練習なので実際の成績には影響しません。ここで得たフィードバックをもとに、その後の本番のエッセイなどに活かしていきます。 私もFormativeのエッセイの結果は良くなかったのですが、その後のエッセイにつながるアドバイスをしっかりもらえたので、最終的に満足のいく結果を出せました。 キングスカレッジロンドンのファウンデーションコースに通って良かったこと まず、大学が提供するファウンデーションに通って良かったことは、キャンパスや大学図書館、大学の寮など、学部生と同じ環境で学べることです。ファウンデーションは正規の学位ではありませんが、大学の中で学ぶことができるので、学部生や院生とつながることもでき、刺激のある時間でした。 ファウンデーションからそのままKCLへの進学であればある程度保証されているのも良かったです。 また、先生方(一部は教授ですが)がとても支えとなり、親身になってくれました。日本の高校を卒業してそのまま入学した私は、英語圏での勉強にそもそも慣れなかったり、なかなかついていけないと感じたりすることも1学期には多くありました。勉強でわからないことがある場合はもちろんですが、個別の悩みにも親身になってアドバイスをくれ、居心地のいい場所だったと感じます。 休みもあり、ヨーロッパ旅行に行きました もちろん、ファウンデーションは学問の基礎を学ぶコースですし、A-levelやIBを履修できない高校の出身者しかいないという意味で学生のバックグラウンドがかなり限られてくるため、学部生になった今の方が勉強や日々の生活は楽しめているなと思います。  最後に 日本の高校卒業だと直接イギリスの大学へ進学できないため、ハードルが高く感じるかもしれませんが、私はむしろファウンデーションコースを通しての学部課程進学で良かったと感じています。 ファウンデーションは学部での勉強の準備だけでなく、そもそも留学の準備期間になる気がするからです。ファウンデーションがあったからイギリスでの生活や、英語圏での勉強に慣れることができたと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございました!みなさんの留学を応援しています! https://jp.education-moi.com/universities/uk/foundation

人気記事

Popular articles

イギリスのNHS利用 | 留学生が知っておきたい医療サービス

イギリスの病院に行くとき、多くの人はNHS(エヌ・エイチ・エス National Health Service)という公共の医療制度を利用しています。留学生もビザ申請時に健康保険付加料(IHS)を支払えば、NHS提携の公立病院を受診できます。ですが、NHSをうまく活用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があるんです。 この記事では、留学前に知っておきたいNHSの基本的な使い方や、ビザ申請時に支払うIHSについて、さらに病院やGP(かかりつけ医 General Practitioner)の違い、実際に病気になったときの流れまでわかりやすく解説します。 Haruna これまでに何度もイギリスの病院を利用している現地在住者が解説します!どんな流れで医療サービスが受けられるのか、ぜひ参考にしてみてくださいね。 イギリスのNHSって何?医療制度の基本 はじめに、イギリスの公的医療制度「NHS」の仕組みや利用方法についてわかりやすく解説します。 NHS(National Health Service)の概要 1948年にスタートしたイギリスのNHS(National Health Service)は公的な医療制度です。特徴は、多くの医療サービスが無料だったり、もしくは低料金で受けられること。留学生ももちろん対象。ビザ申請時にIHS(健康保険付加料)を支払うことで、NHSのサービスを使えます。 一部は自己負担になる場合もありますが、一般診療、救急医療、入院治療、妊産婦ケアなど幅広いサービスが無料です。 IHS(Immigration Health Surcharge)について イギリスに6か月以上滞在する留学生は、ビザ申請時に「IHS(Immigration Health Surcharge)」を支払っておくことで、ビザの開始日からNHSの医療をイギリス住民と同じように利用できるようになります。料金はビザの有効期間によります。 ビザの期間ごとのIHS料金 ビザの期間料金 ポンド/円6か月以下なし(申請がイギリス国内の場合は£388 / 約73,720円必要)6か月超〜1年未満£776 / 約147,440円 (1年分)1年£776 / 約147,440円1年超〜1年6か月以下£1,164 / 約221,160円 (1年半分)1年6か月超〜2年未満£1,552 / 約294,880円 (2年間分)2年£1,552 / 約294,880円 参考 https://www.gov.uk/healthcare-immigration-application/how-much-pay ※上記の内容は2025年5月時点での料金と為替レート(1ポンド=190円)です。IHS支払い時には最新の情報を必ずご確認ください。 オンライン上でビザ申請時にコースの開始日と終了日を入力し、デビットカードかクレジットカードで支払います。もしも支払いを忘れたり、金額が足りていないと UK Visas and Immigration(UKVI)からメールで知らされます。指定期間内に全額を支払わない場合はビザの申請が却下されてしまいます。 病院とかかりつけ医の違い(Hospital と GP) 日本では、自分の症状をベースに専門医を選んで直接病院に行くことが多いですよね。しかし、イギリスではまずかかりつけ医であるGP(General Practitioner)を訪問し、そこから病院(Hospital)の専門医を紹介してもらう流れです。 病院の外来は基本的に紹介制で、専門的な検査や手術、入院治療が必要な場合に利用します。救急(Accident and Emergency)でなければ、基本的にはGP→病院の流れが一般的です。 GPで相談できること GPは地域の診療所、かつ最初に相談する窓口で、必要に応じて病院や専門医を紹介してくれます。風邪や体調不良、慢性的な症状など病気や健康全般について相談でき、処方箋も出してくれます。 GPで診てもらい検査に進む場合は、その結果が出てから精密検査や追加診療で専門医のいる病院に紹介されるケースが多いです。診察は対面のときもあれば、GPに行かずに電話で遠隔診療する場合もあります。 閑静な住宅地にひっそりとたたずむGP 渡英後はまず「GP登録」から始めよう イギリスに到着したら、なるべく早めに「GP(かかりつけ医)」への登録をしましょう。登録のタイミングや方法をここからお伝えします。 登録のタイミングと方法 GPの登録方法は、直接GPに行くかオンラインのどちらかです。大学によってはキャンパスに近いGPを紹介しているので、スタッフに尋ねてみましょう。 GPの登録方法 ①GPを探す NHSの公式サイト「Find a GP(GPを探す)」から、新規登録者を受け入れているか、受付時間、利用者の口コミを確認できます。自宅から近く便利なGPに登録する人が多い傾向にあります。 ②登録フォームに入力/記入する 登録フォームは、各GPのウェブサイト、NHSアプリから入手できます。GPで渡される用紙も可能です。 【登録に必要な情報】 氏名 住所 生年月日 学生ビザ証明の共有コード(Share Code) 連絡先(緊急連絡先も含む) 現在の健康状態・病歴 アレルギーの有無 服用中の薬 など 身分証明や住所証明についてはGPによります。地域内の住民のみを受け入れているGPへの登録には、住所証明を用意した方が無難です。また、なかには新規の登録者を受け入れていないGPも。 もしも、留学中に住所が変わる場合はGPへ報告しましょう。NHSの予約に関することや検査結果などが郵便で送られてくることがあります。引っ越し先が登録中のGPの地域外でも、新居に近い新しいGPに移ることができます。 GPの予約方法・診察の流れ 診察は予約制です。コロナのパンデミックを経て、多くのGPでは感染拡大を避けるために、予約をしてからGPへ来てもらう形を取っています。予約方法は、電話、もしくはオンラインです。電話予約はすぐにつながらず、かなり待たされる場合も。オンライン予約を実施しているGPでは、NHSアプリや各GPの予約サイトからリクエストできます。 私が登録しているGPの場合は、GPの予約システムからメッセージ形式で問い合わせをし、少し待ったあとにメッセージや電話で返信があります。問い合わせ内容によっては、看護師や医師と遠隔で会話し、そこで診察が終わる場合もあります。もしくは対面での予約日を決めていきます。 オンラインのいいところは、問い合わせ内容を細かくテキストで伝えられるところです。電話での会話では医療専門用語がすぐに出てこず、詳細をすべて伝えきれないことも。オンラインで履歴を確認できるため、あとで詳細を振り返るのにとても便利です。近年どんどんオンライン化が進み、以前よりサービスの手軽さが上がったと感じています。 夜間や土曜日に予約が取れることもあり、大学のスケジュールに合わせて利用できるのは留学生にとってもうれしいですね。 実際に病気になったら?病院の使い方ステップ 実際に体調を崩したとき、どうすればいいのか不安に感じる方も多いかもしれません。ここでは、症状が出てから病院で診てもらうまでの流れや、緊急時の対応まで、具体的なステップをわかりやすく解説します。いざというときの参考にしてくださいね。 【NHS利用】症状が出てから病院へ行くまで ここでは、GPや病院などNHSを利用するフローの例をご紹介します。長年NHSを利用しているなかで遭遇した、よくあるパターンをシェアさせていただきますね。 NHS利用の流れ 問い合わせ(電話、オンライン) 問診(GP、電話、ビデオ通話) 必要に応じて診察や血液検査や尿検査などの実施(処方箋のみの場合もあり) 検査結果を聞く(GPか電話の場合が多い) 治療が必要な場合は処方箋をもらう or 病院紹介 【病院紹介の場合】 病院での診察予約に関する手紙が届く(病院が指定する予約日時の記載あり) 指定された予約内容を変更したい場合は病院に電話 予約日時の希望を伝え、確定 病院で診察・検査 GPで結果を聞く(病院の検査結果がGPに送られる場合) ※追加で検査を実施する場合は医師から連絡があり、新しい予約日時を相談する流れになります。 病院はGPと違って、多くの専門科が揃っており規模が大きいです。施設が広いため、初めて訪れる場合は指定の場所を見つけるのが難しいことも。予約時間の前に早めに到着しておきましょう。 病院の内部 NHS 111の使い方 NHS 111は、電話やオンラインですぐにGPにつながらない場合や、GPの診療時間外でも相談したいときに利用できる便利なサービスです。まずは電話かオンラインで問い合わせることで、どういったアクションを踏めばいいかをアドバイスしてくれます。相談内容によって対応は変わりますが、以下のような例があげられます。 看護師からの折り返し電話を予約 夜間・週末のGP診療を案内 歯科やメンタルヘルスなどの専門サポートを紹介 登録しているGPに連絡するよう指示 薬剤師に相談するよう案内 自宅で経過観察するよう指導 NHS 111では、病院の予約・キャンセルや診断書の発行はしてもらえないので注意してください。 参考 https://www.nhs.uk/nhs-services/urgent-and-emergency-care-services/when-to-use-111/ 緊急の場合はどうする? GPの診察を待てずに急いでいる!そんなときは緊急外来(A&E)や救急車(999)を利用します。 まず、A&Eについて。 A&E(Accident and Emergency/事故・緊急外来)は、GPの予約を待っていられないほどのつらい症状や怪我があるなど、緊急性の高い場合に利用します。Accident and Emergencyのほか、Emergency Department(救急部)やCasualty(救急)とも呼びます。着いたらまず受付で症状を伝えます。 過去に利用した感想は、とにかく待ち時間が長いということです。予約を取らないことと、重症患者が優先されるため、先に着いているのに後から来た人が早く診てもらっていたりします。診察の流れは、各自の状態によって変わります。 緊急時の例 緊急性が低く深刻でないと判断→GPの予約をすすめられる、処方箋をもらう 緊急の場合→専門病棟に移り場合によっては入院 病院の正面玄関と別にある緊急外来用の入り口 緊急外来ではとても待てないような、命に関わる緊急時であれば、999へすぐ電話を。交通事故や発作など重大なシチュエーションには迷わず利用しましょう。電話で聞かれる内容は、場所、999にかけた理由、連絡先など。救急隊員の到着を待っている間ににできることや、どれくらいで着くかも教えてくれます。 黄色と緑が目印の救急車  処方薬と薬局の使い方 診療後に薬が出されたら...?ここからは、NHSの処方薬の受け取り方や薬代について、基本的な情報をわかりやすくまとめました。 薬はGPが発行する「処方箋」で薬局でもらう GPでの診察が終わり、処方薬が必要であれば処方箋が出されます。診察後にGPと連携している近隣の薬局(Bootsなど)に行き、Prescription(処方箋)というコーナーでスタッフに自分の生年月日、名前、住所を伝えると、あらかじめ用意してある薬が手渡され、支払いに進みます。 薬局内の処方薬受け取りカウンター 薬代の仕組み NHSで処方してもらう薬の料金は、2025年の時点で処方薬1品につき※£9.90(約1,880円)です。ひとつの処方箋に複数の処方薬がある場合は、すべての薬の合計金額を支払います。ですが、留学生でも18歳以下で大学やカレッジでフルタイム教育を受けている学生はNHSの薬代が無料です。 処方薬が頻繁に必要な人は、処方箋前払いシステム(Prescription Prepayment Certificate)を利用するのも手です。各自のケースが対象になるかの確認は必要ですが、利用できる場合はかなりお得です。 例えば有効期限が3か月間のPPCは、事前に£32.05(約6,090円)支払えば、有効期間中にいくつでも薬を受け取れます(一部は適用外)。PPCの購入はオンラインがメインで、申請日から有効です。申請を完了すると、メールでPPCの証明書が送られてくるので、薬を受け取るときに提示できると便利です。 ※上記の内容は2025年5月時点での料金と為替レート(1ポンド=190円)です。 参考 https://www.nhs.uk/nhs-services/prescriptions/save-money-with-a-prescription-prepayment-certificate-ppc/ 市販薬はスーパーや薬局でも買える 処方薬以外はどうでしょうか。結論として、スーパー、薬局で簡単に手に入ります。痛み止めや風邪薬、胃腸薬、花粉症などのアレルギー薬、目薬、塗り薬など種類は豊富です。自分に合えば、留学中にイギリスで薬を買って服用することもできるので、必ずしも日本から持ち込まなくてもなんとかなる場合もあります。 ※個人差がありますので、薬の調達については慎重に判断されることをおすすめします。 NHSと留学保険の違い これまでNHSのサービスについてご紹介してきましたが、イギリス留学中に本当にNHSだけあれば安心なのだろうか?と不安に思う人もいるでしょう。ここからは、NHSのサービスが対象外になる場合と、留学保険との違いについてお話ししていきます。 NHSで医療費の支払いが発生する例 処方薬1品につき£9.90(約¥1,880円)かかるとお伝えしましたが、そのほかにも支払いが発生する例があります。 ・歯科医療 ・眼科治療 ・かつらや布製の医療用サポーター NHSのサイトでは、歯科医療について、治療が始まる時点で18歳未満、または19歳未満で所定のフルタイム教育を受けている場合は、NHSでの歯科治療が無料になると伝えています(治療内容によっては費用が発生する場合もあり)。 治療費がかかる場合には、日本より高いと言われていますので、渡英までに歯の状態を診てもらうと安心ですね。 眼科の例では、街中の眼鏡屋で行っている一般的な視力検査なら£20(約3,800円)ぐらいから受けられますが、専門的な検査になるとさらに費用がかかります。眼鏡を作る場合、場所によっては学生割引が使えるので、検査の前にリサーチしてみましょう。 NHSを使って治療ができる街中の歯医者 Haruna 実は私も、イギリスで歯の詰め物が取れてしまって、数ヶ月放置したあとに日本の歯医者にかかったのですが、衛生的に良くない!こんなに放っておくなんて!とすごく怒られた記憶があります…。 留学保険で補える部分もある NHSのサービスがこれだけ充実しているのなら、留学保険はいらないんじゃ?と思う人も多いでしょう。しかし、留学保険に入ることで受けられる恩恵も多いのが事実です。 NHSの病院、つまりはイギリスの公立病院を利用するとなると、無料で診療が受けられる分、長く待たされることもザラです。問題の症状が落ち着くまでに、ある程度の時間を要すこともめずらしくないのです。その点、留学保険に入っておくことで、プライベートの私立病院が利用できます。ロンドンには日系クリニックが数件あるため、日本人ドクターに日本語でサポートしてもらえる点もありがたいです。 私がまだ学生だったころ、もうダメかと思うような辛い症状があったときや、小さな手術を受けたときもすべて留学保険が適用され、プライベートの日系クリニックを利用しました。電話一本ですぐに予約がおさえられ、スムーズな日本語のサービスが受けられたことで、改めて保険の大切さを知りました。 ※持病や既往症は補償されない場合がありますので、各保険会社に問い合わせてみてください。 医療以外のトラブルにも留学保険が活躍します。加入するプランによりますが、盗難や破損、飛行機の遅延も補償されるケースがあります。 「何がどこまでカバーされているか」知っておくと安心 NHSのサービスだけでいいの? 心配だから留学保険に入る?答えは人それぞれ。留学生のなかには、医療サービスにおいてはNHSだけでじゅうぶんだった、という人もいれば、留学保険があってよかった、という人も。しっかりとそれぞれの特性を把握したうえで、自分に合った選択をしてみてくださいね。 医療の備えは安心な留学生活の第一歩 イギリス在住の筆者も、これまでに何度もNHSのお世話になってきました。幸い、GPの受付スタッフや看護師、医師たちには毎回親切にしてもらっています。電話やオンラインでの問い合わせには、ほとんど返信があり、しっかり話を聞いてくれます。ただ、サービスの質に関してはGPによりけり、という声も多いです。GP登録をする際には、口コミをチェックしたり、同じGPに登録している学生の話を聞いたりと、下調べをしておくとより安心です。 安心して留学生活が送れるように、医療面での準備を万全にしておきましょう! https://www.nhs.uk

【実体験】イギリス留学準備術: 合格通知からビザ取得までの記録

3月に入り、イギリスの大学や大学院から合否結果が届いてきたと思います。大学からオファー(合格通知)を受け取るといよいよ本格的な留学準備が始まります。入学までには多くの手続きがあり、スムーズに進めるためには計画的な準備が必要です。本記事では、オファーを受け取った後の具体的な準備プロセスについて、僕の経験を踏まえて詳しく解説していきます。 合格結果の確認と入学手続き 出願してからオファーをAcceptするまで 合格結果が届く時期は大学や学科によって異なり、ここは待つしかありません。僕は出願した5校のうち4校は2月初旬までに結果が届きました。しかし第一志望の大学だけ3月までオファーが来ず、もどかしさを覚えました。遅くて7月ごろに結果が出る場合もあるそうなので、気長に待つことが大事だと思います。UCASのTrackシステムをこまめにチェックしましょう。 オファーの種類(Conditional・Unconditional) イギリスの大学からのオファーには、「条件付きオファー(Conditional Offer)」と「無条件オファー(Unconditional Offer)」の2種類があります。条件付きオファーは、IELTSスコアや最終成績の提出といった特定の条件を満たすことで合格となります。UCASで出願した全ての大学から合否が届いた後は、Firm Acceptance(第一希望)とInsurance Acceptance(第一希望に合格できなかった場合の第二希望)の大学とコースを選択します。第一希望の大学からUnconditional Offerをもらった場合はInsurance Acceptanceを選択する必要はありません。 オファーを受け取った後の対応 自分が受け取ったのが条件付きオファーの場合は手続きを早めに済ませることが大切です。通常、オファーの承諾期限が設定されているため、遅れないように注意しましょう。一部の大学ではInternational Students(留学生)がオファーを承諾する際、デポジット(Deposit - 入学金)の支払いが必要です。この金額は大学によって異なりますが、£1,000~£5,000が一般的です。支払期限も設けられているため、期日を確認して早めに対応しましょう。 不合格だった場合の選択肢(Extra・Clearing) もし出願した全ての大学が不合格(Unsuccessful)だったとしても、結果をもらった後に追加で一つのコースに出願できる「エキストラ(Extra)」と定員に達していないコースに出願できる「クリアリング(Clearing)」というシステムがUCASにあります。Extraは2月末から7月初旬まで、Clearingは7月中旬から9月~10月ごろまで行われます。期待した結果が出なかった場合でも諦めずに他の大学やコースにトライしてみましょう。  イギリス学生ビザ(Student Visa)の申請を徹底解説 イギリスでの長期留学には学生ビザ(Student Visa)が必要です。申請にはいくつかの書類が必要で、その用意やビザ発行までに時間がかかります。とにかく早めの行動が大事です。  必要書類 CAS 大学からのオファーを承諾し、パスポートなどの書類を提出すると、「CAS(Confirmation of Acceptance for Studies)」という入学許可証が発行されます。CASはビザ申請に必須な書類で、入学証明となる番号(CASナンバー)が書かれています。発行には通常数週間かかりますので、余裕を持って手続きを進めましょう。  パスポート パスポートの有効期間が留学期間をカバーしている必要があります。期限が短い場合、事前に更新しておきましょう。申請時にパスポートを提出し、そこにビザが発給されることになります。また、見開き2ページ以上の余白ページがあることも確認しておきましょう。  過去のパスポート 過去10年間の渡航歴を聞かれた時、昔使っていたパスポートがあると便利です。ただし、トランジットで立ち寄り、滞在期間が1日未満だった国も渡航歴に含まれます。こういった場合はパスポートにその記録がない時があります。できるだけ正確な情報を書くことが推奨されているので、僕は法務省の出入国在留管理庁というところで自分の渡航歴に関する開示請求を行いました。500円程度で調べてもらえます。https://www.moj.go.jp/isa/publications/privacy/record.html 英語力の証明書 大学によってビザ申請時に英語力の証明を求めるところもあります。GCSEやIBなどのスコアで証明できる場合と、イギリス政府が認定するSELT(Secure English Language Test)の結果しか受け付けてくれない場合があります。このSELTはイギリスのビザ取得専用の英語力試験です。中には「IELTS for UKVI」や「Pearson PTE Academic UKVI」などがあります。IELTSとは異なるもので、指定のスコアを満たすため改めて受験する必要があります。 申請費用と健康保険料(IHS) 申請時にはビザ申請料(£490)の支払いが必要です。さらにIHS(Immigration Health Surcharge)という健康保険料(£776×コースの年数)も支払います。IHSを支払うと、イギリス滞在中にNHS(国民保健サービス)を原則無料で受けられます。 ビザ申請の流れ 書類の準備ができたら、イギリス政府のUKVI(UK Visas and Immigration)の公式サイトから専用の申請フォームに情報を入力し、書類をオンラインで提出します。オンライン上の手続きが済んで、申請料及びIHSを支払うとVFS Globalのビザ申請センターの来館予約ができるようになります。日本には東京と大阪にビザ申請センターがあります。予約した日にパスポートを提出し、生体認証情(指紋と顔写真)を登録します。審査は通常3週間ほどかかり、終了しないとパスポートが返却されません。ビザはパスポートと共に返却されます。ビザ申請センターで受け取るか、郵送してもらうかを選べます。 審査開始後に財政能力証明書の提出を要求される場合があります。これはイギリスでの生活費をカバーできる資金があることを証明するためのものです。ロンドンの大学で勉強する場合は£12,492以上。ロンドン以外の場合は£10,224以上(授業料を除く)。つまりロンドンでの生活費: £1,438/月、ロンドン以外での生活費: £1,136/月: 9ヶ月分の生活費をカバーできる証明が必要です 。預金通帳や金融機関の取引明細書を英文に翻訳したものが必要です。あらかじめ準備しておくとビザ申請がスムーズに進むでしょう。  より詳しい流れについては下のサイトに説明してあるので、確認してください。https://www.westminster.ac.uk/sites/default/public-files/general-documents/student-visa-application-guide-applying-from-outside-uk-v2.pdf  申請は「何事も早めに」が鉄則! 前述の通りビザの審査には通常3週間ほどかかると言われています。繁忙期にはそれ以上の時間がかかることもあります。ビザ発行が渡英日に間に合わずフライトを変更せざるを得なかった友達が何人かいました。審査期間が多少長くなってもいいように、早めに必要書類を集めて申請することが大事です。「ビザ申請ドットコム」や「IMMIGRATION.UK」といったビザ申請を代行してやってもらえるサービスがあり、書類の翻訳など自分でできるか不安があった僕は活用しました。利用すれば必要な書類を揃えて代行者に提出するだけです。その後の申請フォームの入力やビザ申請センターの予約などは全部やってもらえます。  寮とシェアハウスの探し方 ビザ申請と並行して、イギリスでの住居を確保する必要があります。選択肢としては大学が運営している大学寮、民間の学生寮、シェアハウスなどがあります。 大学寮 vs 民間の学生寮の違い 同じ大学の人と交流できる大学寮は、初めての留学で最も安全で便利な選択肢だと思います。特にロンドンなどの都市部では、民間の賃貸物件の家賃が高いです。そのため、大学寮を利用することでコストを抑えられます。僕は大学1年の時に大学寮で暮らして、2、3年の時は民間の学生寮で暮らしていました。民間の学生寮だと、ロンドン中の大学から学生が集まるので他大学生との交流が深まります。ただし、これらの寮は人気が高く、申込期限が早いです。オファーを受け取ったらすぐに申し込むことをお勧めします。早めに申し込みをしなかったせいで、キャンパスから遠い場所にあったり、家賃が高い寮しか残っていなかったりという話も友達から聞きます。 大学が寮の情報を発信していますし、部屋の予約ができるResidence(住居)のサイトやWebポータルにも情報があるので、そこのSNSなどに登録して最新情報をチェックしましょう。  僕が住んでいた民間の学生寮 シェアハウス探しの注意点と便利サイト シェアハウスは費用を抑えつつ、学生のみならず現地の人々と交流できる点が魅力的です。ただし、契約詐欺や知らない人とシェアしなければいけないというリスクもありますので、信頼できるサイトを利用して物件を探し、可能であれば現地で内見してから契約を結ぶことが望ましいです。住居探しには、Rightmove(https://www.rightmove.co.uk/)やZoopla(https://www.zoopla.co.uk/)などの物件検索サイトが便利で、よく使われています。また、SpareRoom(https://www.spareroom.co.uk/)を利用すれば、ルームシェアの相手を見つけることもできます。  必須手続き: eVisaについて 返却されたパスポートに載っているビザはあくまで仮のEntry Clearance Visa(入国許可証)というもので、発行されてから90日まで有効です。正式なビザはeVisa(Online immigration status)という電子書類です。UKVIから送られてくる案内に従い、オンライン上でビザの申請番号やパスポート番号を登録して、アカウントを作成します。 イギリスに入国する際、パスポートのビザだけでなくeVisaの提示が求められる場合があります。そのため渡航前に手続きを済ませておくといいでしょう。これまではBRP(Biometric Residence Permit)カードという物理的な書類だったのでした。2025年の1月からオンラインに置き換わりました。 今回紹介したプロセスの他にも航空券を予約したり、持ち物を準備したりするなど、渡英までにやっておく必要があることはたくさんあります。それらについてはまた別の記事で書きますので、楽しみにしていただければ幸いです。CASやビザの発行などには思っている以上に時間がかかるものもあります。留学生活がスムーズに始められるよう、計画的に準備を進め、安心して渡英しましょう。  https://www.gov.uk/student-visa

インペリアルカレッジロンドンの年度初め: 学期最初の1週間

こんにちは!Kenshuです。今回は9月に始まったImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)での新学期の最初の1週間を紹介していこうと思います。海外の大学での新学期の始まりはどんな感じなの?って疑問を持っている皆様の参考になれば嬉しいです。 イギリスの大学はいつ始まる? イギリスの大学が始まるのは大体9月から10月です。大学によって始まる日にちは違います。例えば今年(2025/26年度)だとUniversity College London(UCL)は9月22日、King’s College London(キングスカレッジロンドン)だと9月22日、University of Cambridge(ケンブリッジ大学)だと10月1日などと大学ごとに変わります。僕の通っているImperial College Londonでは9月29日に始まりました。 大学によってはWelcome WeekやOrientation Weekと呼ばれる期間が設けられていて、本格的な授業はその翌週から始まることが多いです。 いつイギリスに行けばいい? 学期が始まる数日前に着くことをおすすめします。自分の住む家(寮やアパートなど)の入居可能日や家族と一緒に来るのかなどを総合的に考慮して決めるといいと思います。僕は一人で渡って、寮に入ったので学期が始まる2日前の27日に行きました。 初日は時差ボケや荷解き、買い出しなどで結構忙しくなります。そのため最低でも1、2日前には到着しておくと余裕をもって学期開始を迎えられて安心です。 インペリアルカレッジロンドンの寮はどんな感じ? インペリアルの1年生は寮に入れることが確約されています。入学する年の5、6月ぐらいにインペリアルからフォームが送られてきて、希望する寮を記入します。 インペリアルには6つの寮があり、キャンパスからの距離、設備、値段などがさまざまです。僕がいるWoodward Buildingsはキャンパスから一番遠い分、値段が安いです。キャンパスに近いSouthside HallsやEastside Hallsでは値段が倍ぐらい違うことがあります。 インペリアルカレッジロンドンの寮 WoodwardにはBlock A、B、Cがあり、各棟に200人ほどが住んでいます。各フロアには10人ほど住んでいて2つのキッチンを共同で使っています。キッチンは結構充実していてIH式のコンロが8つ、オーブン、冷蔵庫がそれぞれ2つ、電子レンジなどがあります。 毎日夕方の6、7時になるとみんなが料理をしに来るのでその度に仲良く話しています。共同生活ならではの出会いや会話が生まれやすく、友達を作るきっかけにもなります。 寮に着いた初日に学生全員がStudent Cardをもらいます。この学生証は講義棟や寮、自分の部屋に入る時などに使います。僕は入居して間もない時に一度Student Cardを部屋に忘れ、1階にあるReceptionまで行ってドアを開けてもらいました。10~15分かかったので絶対になくさないで常に持ち歩くようにしないといけないなって痛感しました。 寮からインペリアルカレッジロンドンまでの通学路 寮はNorth Acton駅の近くにあり、ヒースロー空港からは比較的簡単に辿り着けました。Central Lineが通っているのでロンドンの中心街(SOHO)にも乗り換え無しで行けます。 寮からインペリアルのSouth Kensingtonキャンパスまでは電車を2本乗り継いで行けます。でも個人的には乗換駅で次の電車に乗らず、そこから徒歩でHyde Parkを通過して大学まで行くのが好きです。毎朝友達とHyde Parkを歩くのは気分が晴れます。ビル群ではなく、自然の中が通学ルートになるのはとても魅力的です。 毎朝登校中に通り抜けるHyde Park Hyde Parkのすぐ近くにあるRoyal Albert Hall イギリスでの生活用品の準備 渡英してすぐに必要になのが生活用品の買い出しです。寮には家具が備え付けられていますが、枕、布団、調理器具などは自分で揃える必要があります。僕は到着した日に近くのJohn Lewis(家具量販店)で寝具一式、数日後によくわからない地元の店でフォークやスプーンなどを調達しました。Amazonを活用する人も多く、寮に直接届けてもらえるので便利です。 インペリアルカレッジロンドン: 年度初めのイベント Freshers Fair Freshers FairとはいろいろなSociety(サークル)やスポーツクラブなどが一堂に会して1年生に活動内容を紹介する新入生歓迎祭です。このイベントは2日間にわたって開催されます。 インペリアルには300を超えるSocietyがあり、文化、スポーツ、趣味などいろいろな種類があります。スポーツクラブだとトライアウトがあり、2、3回チャンスが与えられます。大学生活で勉強だけではなくスポーツにも打ち込みたいっていう人にはいい機会だと思います。 無料のグッズやクーポンを配っているブースもあるので、気軽にいろいろ回ってみるのがおすすめです。 Freshers Event 最初の1週間は寮単位や学部単位、Student Union(学生連合)主催のいくつものイベントが行われます。Halls Mixersやクラブを貸し切るイベントもあります。 Halls Mixersでは自分の寮の人たちとお酒を飲みながら交流します。新しい友達を見つけられることもあります。 他にはクラブを貸し切ってインペリアル生だけのパーティが行われます。ビールやテキーラなどのショットだけで6ポンド(約1200円※)以上するのでお金に余裕がない人にはあまりおすすめしません。経験を得るため友達やFlatmatesなどと行くにはめちゃくちゃいい機会です。 ※1ポンド=200円で換算 各コースのイベント 各専攻にもイベントが開催されます。僕はChemical Engineeringを専攻しているのでそれに関する講演やアクティビティなどがありました。インペリアルの学長やChemical Engineering Departmentの学部長によるスピーチ、自分と同じ専攻の新入生たちと一緒にランチを食べながら情報交換するなどいろいろ充実していました。 最後に 最初の1週間は勉強というよりかは学校のことをよく知り、周りの人たちと仲良くなる期間です。そのため比較的時間に余裕ができるので、友達や家族などとロンドン観光をしてみてもいいかもしれません。Natural History Museum(ロンドン自然史博物館)やいくつかの美術館などがインペリアルから徒歩数分のところにあるので行きやすいです。 https://passporter-media.com/articles/27/

【イギリス高校留学】15歳で親元を離れたボーディングスクールでの生活

私は15歳から親元を離れ、イギリス留学を始めました。大学もイギリスで、卒業後もしばらく滞在していたため、気づいたら14年間イギリスにいることになっていました。苦あり楽ありの留学体験をお届けします。 イギリス全寮制高校への道: 留学を決意するまで 小さい頃、父の仕事でアメリカに行っていたことがあり、英語には多少自信がありました。しかし、滞在は4歳から6歳までのわずか2年半だったため、帰国し中学生になった頃には英語力がかなり落ちていました。ある日、母と当時の英語の家庭教師からの要望に応じ、英語のエッセイを書いてみました。すると「アメリカの小学校2年生レベルだね」と言われ、ショックを受けました。これを機に、英語をちゃんと勉強しようと決意しました。 ちょうどその頃、インターナショナルスクールに通っていた2つ上の兄がイギリスの大学に進学したいと言ったので母と3人でイギリスの大学の下見に行くことになりました。自分にとって未知の国だったイギリスに惹かれていたのと、いつかは留学したいという思いが相まって、ついでに高校も見ようと母と決めていました。 ノッティンガムシャーの高校見学 複数の大学や高校を巡り、その中のひとつの高校にとても良い印象を持ちました。イギリス東中部、Nottinghamshire(ノッティンガムシャー州)のWorksop(ワークソップ)というところにある高校です。先生が優しく、校舎も広くてかっこよく、生徒達の行儀もとてもよかったです。みんな紳士的で礼儀正しく、先生方の指導が行き届いていることが伝わってきました。 若くして単身留学することを心配していた母も、このしっかりした校風が気に入りました。校長先生とお話をし、その後校舎見学をしました。また、私が医学部志望だったため、英語力をネイティブ並みに上げる必要があると言われ、もうその夏から入学することを勧められました。もともとイギリスでそのまま医学部に行くつもりはなかったのですが、先生方や両親と相談し、見学に行った2ヶ月後には留学を決心しました。 学校の校舎 イギリス高校留学|ボーディングスクールの生活とは? 寮のシステムと制服 イギリスに着いてすぐ、寮長さんや寮母さんに挨拶しました。説明を受け、私はYear 10(日本の中学3年に該当)に入学しました。日本の中学に相当する学年では制服が決まっています。ブレザー、シャツ、スカート、そしてcravatと呼ばれるネクタイのようなものに加え、靴下も学校指定のものを着用しました。 この学校には数種類の寮があり、女子は学期中ずっと過ごす「Full boarding(フルボーディング)」用、平日だけ暮らす「Weekly boarding(ウィークリーボーディング)」用、そして「Daily student(夜には家に帰る通学生)」用の寮がそれぞれ1つです。男子寮はDaily studentと住み込みの生徒が混ざっていて5~6つの寮がありました。各寮には30~40人くらいの生徒がいました。 1つの寮には最下級生のYear 9(中学2年生)から最上級生のYear 13(高校3年生)までが一緒に暮らしており、2、3人部屋もあれば1人部屋もあります。新入生は基本的に多人数部屋に割り振られ、最高学年の生徒は1人部屋が与えられました。私は最初3人部屋に入りました。その後2人部屋になったり3人部屋になったりの繰り返し。最終学年になったらついに1人部屋を手に入れました。毎学期、部屋のメンバーは先生が決めて変えていました。 校長先生の住むお家。学校の入口のすぐ隣にある 深夜の勉強と寮のおきて 渡英当初の英語力では会話についていくのが精一杯で、授業は全く理解できませんでした。現地の生徒ばかりの学校で、私の学年にいた留学生は他に男子2人だけでした。英語の授業以外は現地の生徒達と一緒に受けるため、取り残されないように懸命でした。深夜と早朝の時間を活用し、ひたすら教科書の翻訳をする日々が続きました。 ある明け方、普段電気が点いている部屋が消灯されたので階段に座って勉強していました。すると寮母さんが駆けつけてきて、「Yui、こんな時間に勉強しないの!ここはアラームがついているの。勉強は日中だけでも十分なのだから夜はしっかり休みなさい」と注意されてしまいました。どうやらこの階段にはアラームが設置されていて、人が入ると寮母さんなどの責任者だけが知らされるようになっていました。それ以来、夜中の勉強はやめました。 ホームシックと戦う日々 寮生活はとても厳しく、朝1回、お昼前に1回、お昼後から夕方にかけて3回、そして夕飯後の宿題時間に3回、点呼がありました。そして寝る前には先生が各部屋を回って携帯電話を没収し、電気も強制的に消されます。しかしほとんどの子は偽物の携帯を預けていました。 留学した最初の年はスマホもWi-Fiもなかったので私はガラケーを使っていました。インターネットは共用のパソコンルームのみで使うことができます。家族と連絡を取るときは国際電話でした。 週に1回、Skypeが使えるパソコンを予約して家族とビデオ通話することができました。しかし世界中から留学生が来ているので常に予約枠の取り合いでした。日本との時差の関係で都合の良い時間帯が限られ、目当ての時間枠が取られてしまってよく落ち込んでいたものです。 最初の1年間はホームシックでほぼ毎日泣いていました。言葉があまり通じなかったため友達もできなかったです。「かわいそう」と寄ってきてくれる生徒や授業で一緒になった生徒とたまに話す程度でした。都会ではなかったので、アジア人が少なく、奇異の目で見られているように感じました。 留学1年目の冬。膝下まで雪が積もるほどの大雪でした 辛かった陸軍の訓練 私の学校はCCF(Combined Cadet Force)という連合将校養成隊の時間があり、Army(陸軍)の訓練をしました。陸軍の他に、Navy(海軍)、Royal Air Force(空軍)もあり、現地の生徒は選択が可能でした。その頃、私たち留学生は選べず、一番人数の多い陸軍に自動的に振り分けられました。軍隊用の重たい迷彩服を着て寒い中2時間くらいマーチングし、銃の練習や匍匐前進などをするのはとても苦痛でした。また、落ち葉や枝を集めたり、数人組で運動させられたりと、グループでの活動が多かったです。友達の少ない私には楽しくはありませんでした。 礼拝の時間でスピーチに挑戦 一方で、週5回の朝のChapel(礼拝)の時間は比較的平和な時間だと感じました。讃美歌を歌い、お話を聞くだけの時間でした。木曜と土曜日以外の曜日に毎週、礼拝が行われました。日曜日だけ、朝の礼拝は全校生徒ではなく、寮生のみの参加で人数が少なかったです。そのため留学生にも皆の前で話をする機会が与えられました。 私も数回日曜日にスピーチした後、全校生徒の前で話す機会をもらい、3.11の出来事などを話しました。現地の生徒が多かったので、彼らにとって海外に触れられる貴重な機会だったと思います。その他、日本や中国の祝日の時には文化のお話もしました。 日本ではクリスマスは外で過ごし、お正月は家族で過ごすものだと伝えたら、イギリスとは真逆なので驚かれました。話した内容に興味を持ってくれ、それをきっかけに会話が弾むことがよくありました。先生方は、私たち留学生が学校に溶け込めるよう、常に様々な工夫をしてくれていました。 チャペル 深める交流: スポーツとイベントの舞台裏 ハリーポッターの世界!イギリスならではのスポーツ イギリスのBoarding school(ボーディングスクール・全寮制学校)特有のスポーツの時間もありました。季節や性別によって競技が分けられています。秋には男女共にもホッケー、冬は女子がネットボール、男子がラグビー、夏は水泳、クリケット、クロスカントリー、ラウンダースなどから自由に選択できました。 ハリー・ポッターに出てくるような寮対抗の大会や他校との試合もありました。他校との試合では、全生徒が実力別に分けられ、相手校の同じレベルのチームと戦います。そして試合後は相手チームと一緒にSupper time(おやつの時間)があり、ポテトやパン、フルーツ、ケーキなどを一緒に食べました。 ラグビーコートが9面もある広大な敷地を持つ学校。裏にはゴルフコースも プロムやダンスパーティー 年に数回、寮ごとのパーティーがあり、他の寮の子も主催寮の生徒に招待されれば参加できました。男子寮が開催するダンスパーティーに出席する際はProm(プロム)に行くような感じのドレスアップをしました。また、冬休みに入る前は各寮の寮生全員が一丸となって練習したダンスを全校生徒の前で発表するイベントもありました。 その他にも私はInternational Eveningを主催したことがあります。各国の生徒が協力して国の料理を作り、みんなでビュッフェスタイルで食べるイベントです。先生方に協力していただき、ダイニングホールとキッチンを借りて行いました。そこで日本人チームはトンカツを作りました。 日本人チームが作ったトンカツ 英国ボーディングスクールの授業内容 1年目はGCSEを勉強しており、Science(理科)、Mathematics(数学)、English as a Second Language(英語), Religion(宗教学)とStudent Selected Studies(選択科目)でした。選択科目にはGeography(地理)、History(歴史)、Art(美術) , Design and Technology(デザインとテクノロジー)、Food and Nutrition(料理と栄養学)などがありました。 私は理系だった上、英語の授業についていくのに必死だったこともあり選択科目ではArt、Design and Technology、そしてFood and Nutritionを選択しました。英語がネイティブの生徒はフランス語なども選択可能でしたが、留学生は必ずEnglish as a Second Language(ESL)をとらなければならず、他の言語は選択できませんでした。ESL以外の授業は全て現地の生徒たちと一緒でした。 私は日本で購入した電子辞書をどの授業にも持っていき、常に単語の意味を調べながら受けていました。最初の1年は辞書を使用して試験を受けることが許されていました。試験の際には先生から英和辞典が手渡され、それを使って試験に挑んでいました。 イギリス高校留学で得たこと 先生のサポートに感激した日 特に印象に残っているのは理科の授業で試験が返却された時のことです。私は60%しか得点できず、周りの不真面目な子たちと同じくらいの点数でとても悔しかったのですが、先生は私の努力を褒めてくれました。 しかし他の生徒がそれを聞いて「でも辞書を使ってるしね」と嫌味を言いました。それに対し先生は「じゃあ君は他の国に行ってその国の言語でテストを受けた場合、辞書を使えばこの点数取れるのか?簡単なことではないよ、母国語で受けても簡単じゃないんだから」と返してくれました。この先生のサポートは今でも忘れられません。このように素晴らしい先生方がたくさんいる学校でした。  Comfort zoneに戻るか挑戦を続けるかの決断 渡英してから1年経った時の夏休みに帰国した際、正直イギリスに戻るか少し悩みました。友達が少なく、授業も難しい。でもやっと英語にも慣れてきたこと、そして何よりも先生方の期待に応えたい気持ちがあり、もう1年、せめてGCSEだけでも終えようと、戻る決心をしました。 重たい足を引きずり、再び寮に戻ると、先生が「戻ってきてくれてよかった」と声をかけてくれました。複雑な心情で戻ってきたけれど先生方がいれば頑張れると思いました。 私の学年に新しい留学生が増え、寮にも何人か入ってきました。英語が全く話せなかった中国人の生徒が1人いて、その子に英語を教えながら暮らしていたらいつの間にか自信もつき、留学生活が楽しくなっていました。そして授業にもついていけることに気が付きました。友達も増え、去年から同じクラスだった生徒達に「Yui、英語すごく上達したね」と言われたときは本当に嬉しかったです。 おかげでGCSEは良い成績で卒業できました。次回はA-level、やホストファミリー、休暇の過ごし方について書きたいと思います。 https://passporter-media.com/articles/9/

新着記事

New articles

NEW

キングスカレッジロンドン「リベラルアーツって何を学ぶの?」学科の先生インタビュー②

前回の記事ではKing’s College London(キングスカレッジロンドン)のDepartment of Interdisciplinary Humanities(学際的人文学部)のDeputy Director(副学科長)であるChristopher Holliday先生にリベラルアーツ教育についてのインタビューを行いました。 Christopher Holliday先生 キングスカレッジロンドンの学際的人文学部の副学科長。専門は視覚文化教育。リベラルアーツプログラムの創立に携わった教員の一人。University of Warwick(ウォーリック大学)でFilm and Television Studies(映画・テレビ学)分野のBA(学士号)とMA(修士号)を取得し、キングスカレッジロンドンでFilm Studies(映画研究)のPhD(博士号)を取得した。 リベラルアーツ特集の最終回となる本記事ではインタビューの続きをお送りします。リベラルアーツの学びとしての広がり、キングスカレッジロンドンでリベラルアーツを学習することの意義、そしてキングスのリベラルアーツ課程の卒業生の進路などについてお話しいただきました。 近年注目を集めているリベラルアーツ 前回の記事でChris先生へのインタビューを通じてキングスのLiberal Arts(リベラルアーツ)課程について詳しく聞きました。リベラルアーツでは学生は複数分野を自由に組み合わせて履修し、自分だけの学位を“キュレート”する学び方が特徴で、分野横断的な「つながり」を考える力が養われます。必修のコアモジュールでは、概念やテーマを通じて多様な視点から議論することを重視しており、知的好奇心を刺激する設計になっているということを教えていただきました。 Yuki リベラルアーツはアメリカ発祥の学問ですが、ここ最近イギリスはもちろん日本でもリベラルアーツ教育を取り入れる大学が多くなってきたなと感じます。先生にとってリベラルアーツ教育が世界に広まっている理由はなんだと思いますか? 一つの分野に絞り込まない学際性 長い学問の歴史の中で、Single honours(単一専攻課程)のような「一つに分野を絞り込む」はむしろ最近の考え方なんです。 人間はもっと知的好奇心が旺盛な生き物だと思っています。それなのに、17歳や18歳という若い時期に、「この3年間はこの一つの分野だけ」というものを決めさせるのは大きすぎる決断ですし、少し早すぎるかもしれないです。そんなに若いうちに、なぜ自分を無理に限定しなければならないのか、と。それがリベラルアーツのInterdisciplinary(学際的)な考え方が学生に響く理由の一つだと思います。 リベラルアーツの授業が行われるキングスカレッジロンドンのStrand Campus 学生は、まだ世界のことも、自分自身のことも模索している段階にいます。私たちはそういった学生たちに選択肢を広く持てるようにしておくことが大事だと思っています。彼らが「無理やり一つの学問に押し込められている」と感じないようにする。もちろんリベラルアーツでも一つか二つの分野に集中することはできますが、最終地点を変えたくなった時のために選択肢を開いておくことができるんです。 単一学問だけでは社会課題を解決できない そしてもう一つは、現実の社会にある多くの課題を解決するには、学際的な発想が必要とされているという点です。 今の社会に存在する課題は一つの分野の知識や一つの利害関係者だけでは解決できません。複数の分野を横断して考えられること、異なるオーディエンスに向けて同時に発信できること、そういう力が必要です。ですから、こうした学際的な学位プログラムは、社会の現実によりしっかりと結びつけるよう作られています。 決して「専門性を平板化する」ことが目的ではなく、むしろ自分の専門分野は自分が思っている以上に他分野を横断できる、ということを学ぶのです。それが学生を訓練する上で大切なんです。 現代の世の中はかつてないほど複雑になっていて、そこから生まれる課題は、一つの学問だけの視点で簡単に解決できるものではありません。だからこそ、学際的な枠組みや視点を学生に身につけてもらい、それを実際の社会の中で応用できるようにする。そういった教育が、これからの世界にますます必要とされるのだと思います。 イギリス、そしてキングスカレッジロンドンでリベラルアーツを学ぶ意義 Yuki なるほど。ではイギリス、そしてキングスカレッジロンドンでリベラルアーツを勉強するということは学生にどのようなものをもたらすと思いますか? 汎用性の高い人材を育成 イギリスのリベラルアーツの学位は、幅広いスキルを身につけて、非常に適応力の高い人材を育てるためのものになっています。その結果、様々な進路に進む可能性が開かれています。 授業中の様子 そして汎用性の高い「批判的思考」「異なるオーディエンスに向けたライティング」「問題解決」「コミュニケーション」といったスキルも同時に養われます。 こうした学際的な学びに焦点を当てていること、それによって得られるスキルは、非常に高い就業適性を持つものになっていると思います。つまり、多様な分野を横断して考えることのできる柔軟性と多様性を得られることが強みです。 ロンドン全体をキャンパスとして活用 キングスのような場では、単なる知識の寄せ集めではなく、それらの知識を活かして実際に幅広い分野に進んでいけるようなリベラルアーツ教育を設計しています。特定の学問分野に加えて、メディアやコミュニケーション、クリエイティブ産業、教育、国際関係など、幅広い分野で学び、将来に備えることができます。 他にもキングスカレッジロンドンでは大学の立地を最大限に活かしています。イギリスでリベラルアーツを提供している大学は他にもありますが、クリエイティブ産業などと直接的なつながりを持ち、インターンシップのモジュールを提供できているところは多くありません。 文化施設との距離も近く、劇場や博物館、テート美術館で授業をすることもできます。それはロンドン中心部にあるキングスだからできる強みです。その強みを活かして私たちはロンドンという都市全体をキャンパスとして活用しています。 “Lives of London”モジュールが最初の実践の場 ロンドンは学際的学習の実験室のような場所で、少し歩くだけで、すぐに学際的な思考を必要とする対象に出会える場所です。 私たちは、ロンドンという都市を理解するにはどんな学問分野が必要なのかを学生に問いかけるようにしており、Lives of Londonというモジュールを1年次に提供しています。ここで学ぶのは単なるロンドンの地理や歴史などではなく、ロンドンという都市を通して、リベラルアーツ教育をどう展開できるのかということです。 だから、知的好奇心・探究心が旺盛な人にとって、ここでの学びは本当に価値のあるものになると思います。そして私たちはそういう学生に世界に出て変化を生み出してほしいと願っています。キングスでのリベラルアーツの学位は、まさにそれを可能にするための準備をしっかり整えてくれるものになっています。 Yuki Lives of Londonは僕の一番好きなモジュールでした。大学を卒業して、リベラルアーツの友達数人とまだ連絡をとっているんですが、彼らのお気に入りでもあったみたいですよ。あのモジュールはリベラルアーツそのものについて学べただけでなく、ロンドンに来て数ヶ月しか経っていない中で「自分自身について考えるための場所」を見つけられたように感じました。私にとって、大学1年目にあのモジュールを受けることができたことは本当にワクワクしましたし、刺激的でした。 このロンドンを学ぶというモジュールは過去に「主に留学生だけに向けてのものなんじゃないか」という批判が出たことがありました。もちろん留学生がこのモジュールから多くを学べるのは確かですが、当然ロンドンで育った学生にとっての学びの機会も含まれるべきだと思います。だからこそ“Lives of London”という名前をつけているんです。 ロンドンで育った人にとっての「地域としてのロンドン」とロンドンの外から来た人にとっての「ランドマークとしてのロンドン」は全く異なります。どこで育ったのか、どんな背景を持っているのか——そうしたことがロンドンでの経験を大きく形作るので、私たちはその点についてもきちんと考慮するようにしています。 リベラルアーツの学位全般に言えることですが、基本的に「世界で起きていることをリアルタイムで追っていく」ことが大事です。だからシラバスもその時々のロンドンで起きていることに合わせて更新します。例えば授業の一環でタイムリーな展覧会に行ったり、授業に合った演劇を観に行ったりします。そうやってコアモジュールを「世界に応答するもの」にしているんです。 Lives of Londonはその最たる例です。というのもロンドンを中心に据えているわけですから。都市というもの、特にロンドンという場所は常に変化していて、生き生きと動いている存在です。だからこそ私たち教員も、それに敏感である必要があるんです。 キングスカレッジロンドン: リベラルアーツ学生の進路 Yuki リベラルアーツ課程で今まで印象に残っている学生はいますか?卒業生の皆さんはリベラルアーツでの経験を活かして、どのような進路を進んでいますか? 正直なところ、私たちの学科は発足してからそれほど時間が経っていないので、卒業生の進路について把握できているのはまだ一部に限られます。それぞれがどんな分野に進んでいるのか、すべてはわかっていないんですね。 ただ、何人か印象に残っている学生はいます。例えばメガ・ハリシュはインドのバンガロール出身で、詩や散文を書くクィア※作家です。 ※Queer(クィア)とは性的マイノリティを包括的に表す言葉。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなど。作品のジャンルでもある。 彼女はキングスでのリベラルアーツの第1期生で、リベラルアーツソサエティの初代会長も務めていました。今も学生に向けてリベラルアーツの学位について話をしに戻ってきてくれることがあります。学科の立ち上げ期から関わってきた存在として、すごく印象的な人ですね。 それからレベッカ・ガイザー。彼女は5年ほど前に卒業したのですが、自分で劇団を立ち上げて「RJGプロダクション」という制作会社を運営しています。いくつか注目度の高いプロジェクトにも携わってきました。 今思い返してみると、彼女は音楽専攻でもなかったのは面白いですね。レベッカのように、入学時と卒業時で自分の将来のイメージが大きく変わる学生をよく見かけます。彼女の場合も、様々なモジュールを受講していく過程で、関心が大きく変わっていったんだと思います。 もうひとりはエマニュエル・ドット。私のアニメーションの授業を取っていた学生です。専攻は政治学で、副専攻として映画を選んでいました。エッセイの指導をしたこともあります。彼女は今、環境政策の分野で活躍していて、持続可能性に関する議論の中で大きな成果を上げています。 それにしても、学生たちが入学時に私が想像していたものとは全く違う進路に進んでいくのを見るのは本当に面白いことです。 Yuki 本当に色々な学生がいて、先生としても彼等の進路を見届けるのは興味深いんじゃないですか そうですね!様々な学生が集まって行われるセミナーが楽しいのはまさにその部分で、異なる伝統知を持った学生たちが集まるからこそ、議論がすごく生き生きとするんです。どんな視点が飛び出してくるか、教員側でも本当に予測できないんです。 「この仕事に同じ一日はない」とよく言われますが、本当にその通りで、特にリベラルアーツ課程ではまさにそうなんです。学生自身が日によって違う学部や学科の内容を取り扱っていて、同じ一日なんて存在しない。私たち教員チームとしても、その活気を強く感じています。 多様な視点が交差する教室から生まれる学び Yuki 先生は映画学科の授業も担当していたとのことで、その時とリベラルアーツの授業を担当するときの違いは感じますか 違いはいくつもあります。これはリベラルアーツの授業を行う時によくあることなんですが、どうしても自分の専門分野に引き寄せて話してしまいがちなんです。授業を作る時はそれを避けて、特定の分野に偏りすぎないシラバスを作らなければなりません。 リベラルアーツ授業へのこだわり 例えば、古典専攻の学生や政治学専攻の学生がいる中で、私が映画の例ばかりを使うと、映画を専攻していない、あるいは映画に興味のない学生を置き去りにしてしまいます。常にバランスが必要なんです。そのため、私たちのモジュールはチームティーチングで行うことが多いです。 キングスのリベラルアーツのオフィスがあるVirginia Woolf Building 異なる分野の教員が週ごとに教えるスタイルで、学生は複数の視点から学ぶことができます。私たち教員も自分の専門を活かしながら、授業全体が一方的に偏らないように心がけています。 授業を作る中で特に重視しているのがリーディングです。複数の分野からテキストを集め、特定の専攻に閉じない、学際的な視点を持った資料を用意します。もちろん、必要に応じて特定分野に即したものを選ぶこともありますが、基本的には異なる学問の交差点を意識しています。 リベラルアーツの教員としてのやりがい 正直なところ、リーディングを設計する作業は、私にとってこの仕事の中で最も好きな部分の一つです。教育者としてモジュールを設計するのは非常にやりがいがありますし、リベラルアーツだからこそ挑戦的でもあります。そして、普段は読まないような研究に触れられたり、一緒に教える同僚から専門的な知識を学べたりするのも、大きな魅力です。教員として、この学位プログラム全体は本当にやりがいのあるものです。 教員として学生を見てきた中で特に印象的なのは、学生が最初はこれを受けたいというモジュールのリストを持ってきても、卒業する時にはそのリストの中のモジュールを結局一つもやらなかったというケースですね。その間に自分の情熱を育てたり、新しい興味を見つけたりするんです。 リベラルアーツの一番大事な点はそこにあると思います。自分は何を知っているのか、その知識がどう変化していくのかを学ぶことができるんです。だから本当にやりがいがあります。それぞれの学生がこれまで辿ってきた学びのお祝いとなる卒業式は私の大好きな日です。 キングスカレッジロンドンのリベラルアーツの未来 Yuki 先生自身、このキングスカレッジロンドンでのリベラルアーツの将来はどんなものになっていくと思いますか? 学生がより多くの分野を学ぶ機会を持てるように、様々な経路を開いて行きたいと思います。 特に今力を入れているのは大学院レベルでの発展です。現在、私たちは新しいリベラルアーツの修士(MA)課程を設計中ですが、そもそも「リベラルアーツの修士課程」とは何か、それはどうあるべきかという課題に直面しています。 修士課程は通常、学部課程より専門分野を絞っています。例えば映画を学び、修士課程でアニメーションや個別のジャンルを研究する、といった具合です。でも私たちは大学院レベルでそれをそのまま踏襲するつもりはありません。学際的な人文系として、幅広さを維持しつつ、学部課程の単純な再現にはならないようにしています。 つまり、「リベラルアーツのMAとは何か」「何を学生に訓練させるのか」「学部課程とどう違うのか」を真剣に考えながら設計しているんです。 もちろん、修士課程ができれば、その数年後には博士(PhD)課程の設立も考えていくと思います。MAについて今はあまり詳しく話せませんが、数年以内には形になると思います。そして、学部でリベラルアーツを楽しんだ学生が、そのまま修士課程に進めるような道も提供したいと思っています。キングスでのリベラルアーツの変化というものは、そこから生まれると思います。 リベラルアーツを志す人たちへ Yuki それは楽しみですね!最後にどのような人たちにこのリベラルアーツが向いていると思うか、もしイギリスでリベラルアーツを勉強することを目指している人たちに何かメッセージがあったらお願いします。 まず、自分の知的好奇心に従うことはいつでも大事だと思います。もし興味を持っているものが一つの学問分野に収まりきらないなら、リベラルアーツ課程はまさにあなたのために作られていると言えます。 この学位は、Major(専攻)以外で厳密に決めなければならない部分は少なく、柔軟性が組み込まれています。もちろん、留学生にとっても同じことが言えます。1学期や1年間の留学などを通じて、様々な知的環境で学ぶことができ、異なる専門性や知識に触れることができます。 特定の分野の内容ももちろん学びますが、それと同時に「学ぶとはどういうことか」「学生であるとはどういうことか」を学ぶ機会にもなります。 自分の学位をどう組み立てるかを振り返ったり、大学という場を通して知識がどう生み出されるのかを理解したりするんです。私たちはモジュールやシラバス、リーディングリストが、学生にとって単に受け取って学ぶだけでなく、そこから自分で問いを立てて探究できるものにしているんです。だから特定の学問分野に収まる興味関心がない学生にとっても、リベラルアーツはとても適しています。 それに加えて、イギリスに来て異なる教育制度の中で学び、異なる専門性を持つ人たちから学ぶことができるのも大きな魅力です。そして、そうした学びを通じて、あなたもまた他の人に何かを教えることができる。そうしたグローバルな文化体験の質というものは重要で、まさに異なる専門性や世界の様々な地域から人々を集めて学ぶことを目的としています。 Yuki ありがとうございました! https://passporter-media.com/articles/34/ さらに前回の記事はこちら↓ https://passporter-media.com/articles/22/ King's College Londonについて詳しく知りたい人はこちら↓ https://jp.education-moi.com/article-52-kcl

学生としてヨーロッパを旅行するなら知っておきたいこと【イギリス大学留学】

こんにちは!ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)で物理学を専攻しているAyatoです。 この記事では、学生としてヨーロッパを旅行する時に知っておきたいことについてまとめています!有益な情報を盛りだくさん載せていますのでぜひ読んでいってください! イギリス留学中の旅行のススメ エディンバラ城 Royal Mile(ロイヤル・マイル) Arthur's Seat(アーサーズシート) さて、皆さんは日本から14時間もかけて(あるいはトランジットの場合は1日かかることもあるでしょう)ヨーロッパに来て勉強をしています。学生の本分は勉強ですから、しっかりと学ぶことに時間を割くことは大前提ですが、息抜きをすることも大切です。 勉強の合間に息抜きしましょう 古代ローマのストア派哲学者として有名なセネカでさえ、リフレッシュの重要性について以下のように説いています。 精神には休養が必要であり、絶えず緊張し続けると、精神の飛翔を妨げるルキウス・アンナエウス・セネカ 海外大学で学ぶと高プレッシャーに晒されることは珍しくありませんが、せっかくヨーロッパにいるのですからその機会を最大限に活用しましょう。 学生のうちにヨーロッパ旅行をしておくべき理由 なぜヨーロッパ旅行をした方が良いのかは、卒業後日本からヨーロッパに来ることの難しさを考えると明らかです。フルタイムの仕事が始まると20日間の有給休暇があるとはいえ、体調を立て直すために有給休暇を使ったりするとなかなか大旅行に行くことはできません。仮に時間はなんとか作れるとして、移動にかかる時間とコストを考えるとやはり働き始めてからヨーロッパ旅行に来るのは難しいです。 スコットランド国立博物館(エディンバラ) グラスゴー大聖堂 また、ヨーロッパにいる間と比べると、日本から来るには時間もコストも10倍くらいかかります。ユーロスターなど陸路を使って複数の国を横断するのは時間をふんだんに使える時期でないと難しいでしょう。移動距離が長いと、消費体力が大きくなります。歳をとると使える体力が減り、その埋め合わせをするために高額でハイクオリティな交通手段を使うと、コストも高くなるわけです。 つまり、まさにいま地理的に近いヨーロッパに行っておくことが、人生トータルで見た時に、最小限の投資で最大の経験を得ることにつながるわけです。 ただ、なんらかの理由でそれができなくても、私は別に良いと思っています。それは、本業が学業ということと、絶対にこうであるということはないと考えているからです。また転勤でヨーロッパに来るかもしれないし、出張もあるかもしれないからです。 倹約旅行?豪勢な旅行? 学生としてのヒントを書くとしたので、倹約旅行のヒントをいろいろ書いてもいいのですが、なんでもかんでも安ければ良いというのは違うと思います。そのため、お金を使わない旅行と使う旅行の二つを対比させ、両面を吟味した上で倹約旅行をするならこういうことをすると良いというのを紹介する形にします。 アテネ国立考古学博物館にあるゼウスの頭部像 パルテノン神殿への道(ギリシャ) 倹約旅行 さて、まずお金を使わない方です。予算が少ないからなのか、貯金したいからなのか、お金を使わない理由は置いておきましょう。 メリット このスタンスの良いところは、お金を使わないので、旅行の回数そのものを増やせることでしょう。また、自分がバイトなどで稼いだお金だけで行けるというのも良いですね。さらに、あらゆる工夫とリサーチが求められるので、一種のプロジェクト管理を経験することができます。これはそれなりに達成感があります。また、気力と体力もある時期でないと実行は難しいでしょう。 デメリット デメリットは、リスクが大きいことです。金銭的リスクは逆説的ですが、完璧な人間はいないという前提に基づけば真です。例えば、安い交通手段は定刻通りである信頼度が低かったり、預け荷物は別料金というように料金に含まれない事項があったりします。そのため、余裕を持った行動が重要になり、時間をロスする前提で動かなければなりません。 安全性のリスクとしては主に窃盗が挙げられます。ホステルに泊まると、部屋をシェアすることになりますので、寝ている時などに私物を盗まれる可能性があります。また、会社が人件費にお金をかけていないとなれば、研修がしっかりとなされておらず、雑な運転や対応で安心・安全を脅かすリスクがあります。 ギリシャのパルテノン神殿 スルジ山からドブロブニクを一望(クロアチア) 豪勢旅行 次に、豪勢な旅行ですが、基本的に倹約旅行であげたような倹約によるデメリットはないと考えて良いでしょう。 メリット 良いことは、様々な経験が安心して効率よくできることに尽きます。高級なレストランで一流の地酒を飲んだりして至福のひとときを過ごせます。素晴らしい顧客対応とフルフラットがある航空機、バスタブとコンチネンタルブレックファスト付きホテルは心の安らぎを与えてくれます。移動時間が「耐える時間」になるのか「休息の時間」になるのかはお金を払うかどうかです。 また、物、サービスの価値を見極める目も養えます。予算のことを考えないで判断を行うので、本当にこの対象に自分の期待する価値があり、相応しい額面であるかを精査することになります。その結果高い買い物をすることになっても、欲しいもの、価値のあるものを買っていますから勿体無いとは感じないわけです。 一人旅?みんなで旅行? 次に、単独か団体かで違いを見ていきましょう。これらの情報が皆さんの意思決定に役立てば良いなと思います。 一人旅 メリット 単独のメリットは圧倒的になんでも自分で決められることです。どこで食べるかを疲れている時に揉めることもないし、どこに行きたいかを話すこともありません。自分の食べたいもの行きたいところやりたいことだけに自分の持つエネルギーとお金を割くことができます。 デメリット デメリットは、全て自分で調べるのが大変なことです。特にリスクヘッジは自分だけだと気づかないこともあったりします。ですからあまり気が休まらないかもしれません。あとは、1人は少し寂しいかもしれないですね。独身貴族と考えればめちゃくちゃ充実していて楽しいですが。 クロアチアにあった謎の像、この上に立てると健康になれるとか クロアチアで見つけた猫のおきもの 魔女の宅急便の舞台(ドブロブニク) 団体旅行 メリット 団体の圧倒的メリットは一人当たりのリサーチの負担が軽いことです。お互いに情報提供しながら進めていけるので、とても楽です。何かあっても、3人以上いればなんとか解決できることがほとんどです。1人でも解決するしかありませんが、1人と2人とでは精神的な安定度が違いますよね。仮にも何があるかわからない海外にいるわけですから。また、みんなとわいわいおしゃべりしながら時間を過ごせるので、なんでもない移動時間も楽しい旅行の思い出になります。 デメリット デメリットは、単独旅行の裏返しで、なんでも自分で決めるわけには行きません。 学生向け【ヨーロッパ旅行】旅程の立て方 実際に旅行の予定を立てる時には以下の順番で話を進めるとスムーズです。理由は優先順位付けをするとこうなるからです。ホテルまでは、前もって十分事前に行うことをお勧めします。それ以降は、直前でもできることなので優先順位は低めです。旅行前の時間がある時にできればOKでしょう。 目的は人それぞれ 旅行では、皆お目当てが異なります。それぞれがある程度楽しめるように各人が何を大事だと考えているかしっかりと話しておきましょう。1人なら、何を目的にするか明確にしておきましょう。これが、今後の意思決定において優先順位を決定する軸になります。例えば、観光名所周りをとっても、そこに行ってとりあえずさっさと見ていくのが大事な人もいれば、じっくりと鑑賞、理解したい人もいます。他にも食事やショッピング、会話、様々ですね。 スイスにある欧州原子核研究機構(CERN) スイスにある欧州原子核研究機構(CERN) 航空券 おおかた一緒に行く人が決まるあるいは行ってやりたいことが決まったら、まずは航空券です。とりあえずこれを抑えれば、行って帰ってくることが確定します。日程調整をして、これを終えればあとは目的も含めて細かいことを詰めていくだけです。1ヶ月前くらいの予約で、オフピークシーズンなら相場は片道40ポンドからくらいでしょう。安いですね。 格安航空(LCC)のeasyJet, Ryanair, Wizz Airはよく利用させていただいています。 宿泊先 Trip.comというアプリを使えば航空券とホテルを一緒に予約できます。個人的にこれはよく使います。Booking.comなども使い勝手が良いです。大手旅行会社に頼めば全てやってくれますが、その分割高ですね。今はもう全てオンラインで自分で予約できるようになっているので、とても安くハイクオリティな旅を設計できると思います。 ホテルには大きく分けて2種類あります。通常の個室ホテルと共同部屋のホステルと呼ばれる宿舎です。友達がヨーロッパにいるならその人の家に泊めてもらうのもできると思いますが……。 ホテル or ホステル 個室ホテルは、一泊1〜3万円程度ですが、ホステルだと部屋、トイレ、シャワーが共同なので一泊3000円程度で済みます。部屋は大体4人から10人でシェアです。外を歩き回って寝るだけならホテルそのものが高級である必要はないので、ホステルでも用を満たすという考え方もあります。 実際何回かお世話になりましたが外回りが充実していると本当に寝るだけなのであまり不便しないです。一人旅行だと寂しさも少し紛れますしね。結構友達っぽい会話もできます。 ただ、素性を知らない人間であることには変わりないので、セキュリティ対策は自分でしっかりとする必要があります。例えば、寝る時はパスポート財布の入った鞄を布団に入れて寝るとか、ロッカーがあるホステルなら南京錠を持参して、あるいは購入して、安全に保管しておくなどです。ロッカーがないホステルもあるので、その場合は荷物をまとめてロックするなどの工夫をすると安心です。 バルセロナにあるサグラダ・ファミリア内部 バルセロナにあるサグラダ・ファミリア内部 追加料金を払ってでも、バスタブでリラックスしたいと感じるであろうくらい疲れる旅程を立てている場合はホテルにしましょう。リラックスするということにお金を払っているわけですから、お金の無駄ではないでしょう。 また、ホステルでは食事をするところがついていない場合もあることに注意しましょう。さらにど田舎だと外に出ても本当に食べるところがなかったりするので、空港などで事前に購入しておくことが必要です。 交通手段 ここからは割と旅行直前でリサーチしても間に合うところではありますが、ある程度は宿泊先を確保する時に調べていることでしょう。 調べるべきなのは、空港からホテルまでの交通手段と観光先との交通手段です。特に前者は時間帯によって利用できないこともあるので注意しましょう。深夜電車は走っていないことが多いです。電車、空港専用シャトルバス、一般バス、トラムなどが一般的な交通手段です。 乗り方はインターネットで事前に調べることをお勧めします。ヨーロッパの都市だとバス、トラムは日パスを買うことで回れるところが多い印象ですが、国によって制度がかなり違うのでリサーチ必須です。万が一乗れない時も、Uberのアプリをダウンロードしておいて、最大限活用しましょう。割高ではありますが、信頼度利便性共に素晴らしいです。深夜早朝でも来てくれます。 インターネット 渡航先でインターネットが使えることは重要です。見知らぬ土地でその場のリサーチをする機会が多いからです。地図は前もってダウンロードしておけば、GPSでインターネットなしでも現在位置がわかりますが、不便ではあります。 インターネットに接続する方法は三つあります。一つは日本の回線をローミングで使うこと。信頼度が高い分、少量のデータを高額で使うことになります。二つ目はWi-Fiを使うことです。セキュリティリスクが多少あるのと、速度が限られ、使える場所も限られます。三つ目は、eSIMを事前に購入しておくことです。安く、大量のデータを使えるのでもっともお勧めです。 個人的に導入が簡単だと思ったのはAiralo というアプリです。デメリットは処理が複雑かもしれないことです。ITに詳しくない人にお勧めする時は代わりにセットしてあげるのが良いです。ただ、説明は書いてあるので書いてある通りにダウンロードすれば使えるようになります。使えなくても設定条件を変えて試行錯誤すると使えるようになると思います。笑 学生のヨーロッパ旅行で知っておくと得なこと 予約は早めに 航空券、ホテルと英国国内の電車チケットは事前にオンラインで購入したすることができ、1ヶ月前に購入しておけば、10分の1程度の価格に抑えることができます。行く日にちが決まったらその二つはしっかり押さえておきましょう。 Trainlineというアプリで電車を予約すると安いです。 National railwayの遅延に対する補償 National railway(国鉄)は遅延することがあります。遅延時間に応じて補償金が出ます。インターネット検索で補償を請求するサイトが出てきますので、そこから一定額の払い戻しを受けることができます。 チップ 旅行先でレストランに入った時に、チップを支払うことがほとんどです。およそ支払い代金の13%程度が上乗せされて請求されますので、さらに払う必要はありません。レシートにはservice chargeと書いてあります。 ちなみに、このチップは言えばなしにすることもできますが、失礼な印象になるかもしれません。 アメリカだとチップなしでは従業員の生活が成り立たないという話を聞いたことがありますし、チップは文化経済的に重要なものだと思います。 ハギス ムール貝の酒煮 Oyster card(オイスターカード)など 学生の場合16-25 Railcardあるいは18+ Student Oyster photocardに登録すると、3割引になります。活用しましょう。 結局人伝の情報が強い 多くの話は人から人伝で聞いたことが多いです。友達とコミュニケーションをして、良い情報を聞きましょう。このウェブサイトに辿り着いている人は検索も上手なので人と会った時にも良い質問をしていると思いますが。 思わぬ損失を防ぐために 航空券のオンラインチェックイン 格安航空会社の場合は、オンラインでチェックインできることがほとんどです。逆にオンラインでやらないとカウンターでチェックインする時に手数料を取られることがあります。これが高くて、1人1万円です。馬鹿馬鹿しいのでオンラインで済ませましょう。 荷物上限を守る 格安航空会社の場合、荷物制限が厳しめに設定されているところが多いです。チェックされる時とされない時がありますが、上限オーバーしたら多額な追加料金を払う羽目になります。そうならないように事前に上限を確認し、それを超えないようにパッキングしましょう。衣類は圧縮袋に入れるとかなり容量が減りますのでお勧めです。 総括――ヨーロッパ旅行をシミュレーションする 迷いなく旅を進めるには頭とメモでシミュレーションをしておくことが大事です。今まで書いてきたことの半分はこれはどうするのが最善なのだろうという問いを立てることから始まっています。とは言いつつも、どんなに緻密なプランにも予想外のことは起こりえます。 その場所に行ったことがある人に便利な交通手段を聞いておくのが良いです。予想外のことが起こった時は、最終手段としてUberタクシーを使いましょう。高くても確実です。 ここまで読んでくれてありがとうございました。良いヨーロッパライフを過ごしましょう! https://passporter-media.com/articles/33/ https://passporter-media.com/articles/26/

UCL/ユニバーシティカレッジロンドン~日英のつながり~

こんにちは!UCL(ユニバーシティカレッジロンドン)で物理を勉強しているAyatoです!今日は、UCLが実は日本ととても深い縁があるという話です。日本からUCLに来られる方は必読ですよ! UCL/ユニバーシティカレッジロンドンと日本の歴史 今から遡ること約2世紀。1863年に長州藩の5人の若手藩士が英国で留学しました。この時に彼らが訪れたのがUCLでした。一行は合わせて長州五傑と呼ばれており、その中には初代内閣総理大臣である伊藤博文がいました。 ユニバーシティカレッジロンドン構内にある日本人留学生を記念する石碑 他のメンバーもあとで紹介しますが、帰国後は皆、日本の時代を一歩先に進めることに貢献しました。そのような先輩たちがいるのがUCLです。 なぜUCL/ユニバーシティカレッジロンドンか なぜ彼らはUniversity of Oxford(オックスフォード大学)やUniversity of Cambridge(ケンブリッジ大学)ではなく、UCLを選んだのでしょうか?実は当時、他の大学は異教徒という理由で彼らを受け入れませんでした。しかし、UCLだけは「学ぶ意欲のある者には平等に門戸を開く」という革新的な精神を持っていたのです。このDiversity & Inclusion(多様性と包摂)の精神は、今のUCLにも色濃く受け継がれています。 見つかれば死罪だった渡航 今でこそパスポートがあれば誰でも行けますが、当時は鎖国中。見つかれば死罪です。彼らの密航はまさに「命懸け」でした。現代は十数時間のフライトでたどり着けますが、当時は陸海を乗り継ぎ、半年もかかりました。 彼らは髷(まげ)を切り落とし、刀を置き、決死の覚悟で船に乗り込みました。そこまでして「日本の未来を変える知見」を求めた彼らのハングリー精神には、同じ留学生として背筋が伸びる思いです。 Choshu Five(長州五傑) 写真をご覧ください。写っているのは長州からイギリスへ留学した学生たちです。 UCL留学した長州ファイブ(Wikipediaより) 遠藤謹助――外国に頼らない造幣技術を確立 左上に写っている人物は、遠藤謹助(えんどう・きんすけ)です。彼は帰国後造幣局で働き、日本人だけで貨幣を製造できる技術を確立しました。それまで貨幣の製造は外国人技術者に頼っていましたが、その状況を変えたことから、遠藤は「造幣の父」と呼ばれています。 また、大阪の名所である「桜の通り抜け」を考案した人物でもあります。日本を象徴する桜で人々を楽しませようとしたその姿勢には、強い感銘を受けます。なお、UCLのJapanese Gardenには、 Choshu Fiveによる日英友好関係の象徴として、桜の木が植えられています。 井上勝――日本の鉄道事業を推進 中央奥に写っている人物は、野村弥吉(のむら・やきち)です。彼はのちに井上勝(いのうえ・まさる)と名乗ります。 井上勝はUCLに入学・卒業し、当時世界最先端であった鉱山学や鉄道技術を体系的に学びました。特に、鉄道を国家インフラとして整備するという考え方そのものをイギリスで身につけました。帰国後、彼は日本の鉄道事業を主導し、路線整備や技術者育成を進めました。 その結果、日本各地に鉄道網が広がり、人と物の移動が飛躍的に効率化されました。私たちが日常的に利用している鉄道は、まさに彼の仕事の延長線上にあります。この功績から、井上勝は「鉄道の父」と呼ばれています。 伊藤博文――初代内閣総理大臣 右奥に写っている人物は、伊藤博文(いとう・ひろぶみ)です。彼は後に、日本で初めて内閣制度を導入し、初代内閣総理大臣となった人物です。また、大日本帝国憲法の起草を主導し、日本を近代国家として制度面から形作りました。 伊藤もまた、若き日にイギリスへ渡り、UCLで学んだ一人です。議会政治や法制度が社会をどのように支えているのかを、当時世界最先端であった英国の社会から直接吸収しました。この経験が、帰国後に日本独自の憲法と近代的な国家運営を構想する大きな土台となりました。 今や当たり前のようにある「内閣」「首相」「憲法に基づく政治」は、伊藤が築いた仕組みの延長線上にあります。UCLで得た知見が、まさに日本の政治制度として今も生き続けているのです。 山尾庸三――工学教育の先駆者 右手前に写っている人物は山尾庸三(やまお・ようぞう)です。彼は後に、日本初の本格的な工学教育機関を立ち上げ、現在の東京大学工学部の礎を築いた人物です。その功績から、「工学の父」と呼ばれています。 山尾はイギリス留学中にUCLを訪れ、当時最先端であった実践的な工学教育に触れました。理論だけでなく、社会の課題を技術で解決するという英国の工学思想は、彼の進路を決定づける重要な経験となったそうで、帰国後、近代日本に必要不可欠であった技術者の育成に力を注ぎました。鉄道、造船、建築など、日本の産業基盤を支える技術は、彼が築いた教育制度から多く生まれています。 現代の私たちが安全で便利な社会インフラを享受できている背景には、山尾の先見的な取り組みがあったのですね。個人的な考えですが、1人で全てのインフラを実装することはできないので、まずしっかりと学び、それを教育という形で社会実装に貢献するというのはとても筋が通っているように感じました。 井上馨――日本の外交基盤を確立 最後に、左下に写っている人物は、井上馨(いのうえ・かおる)です。彼は帰国後、外務大臣などの要職を歴任し、日本の近代外交を切り開いた人物として知られています。井上馨もまた、若くしてイギリスへ渡り、UCLを訪れた一人です。異なる文化や価値観が共存するロンドンでの経験を通して、彼は「交渉とは力だけでなく、理解と信頼の積み重ねである」という外交の本質を学びました。 この国際的な視点は、帰国後の外交交渉に大きく活かされました。彼は、不平等条約の改正に向けた交渉や、欧米諸国との関係構築に尽力しました。私たちが今日、国際社会の中で一国家として対等に関係を築けている背景には、井上馨が築いた外交の基盤があります。UCLで培われた国際感覚は、日本の外交の原点の一つとなっているのですね。 UCL/ユニバーシティカレッジロンドンに刻まれた彼らの名前 彼らの名前は、UCLのStudent CentreとMain Quadの間にあるJapanese Gardenに置かれた石碑に刻まれています。外部の方でも見学することができますので、ご興味のある方は英国で日本との強いつながりを感じられてはいかがでしょうか。 ユニバーシティカレッジロンドンのJapanese Garden 図書館の隣にあるので、個人的にはよく通る場所です。その度に今の日本を作り上げた先人たちの努力に想いを馳せ、元気をもらっています。 現在のUCLと日本の関係 UCLと日本の関係は、長州ファイブの時代から160年以上続き、現在も教育や研究の場で具体的な形を持っています。歴史を踏まえながら、今のUCLと日本の関わりをいくつかご紹介します。 学術面で日英パートナーシップ強化の取り組み UCLは日本との関係を戦略的に重視し、大阪大学や東京大学、理化学研究所(理研)、JAXAなどとの共同研究や学生交流を活発に進めています。公式情報によると、日本の研究機関と800本近い共同論文を毎年発表しており、学術面でも強い結びつきがあることが分かります。 特に東北大学とは大規模なマッチングファンドを通じて両大学の共同研究や交流活動を支援しています。毎年公募で一年単位のプロジェクトを6つ採択し、1件当たり最大約210万円の資金を提供するというものです。 また、毎年のようにUCLの副学長が日本を訪問し、大学や研究機関との研究連携をさらに深めました。 災害科学や脳科学、気候変動の分野での共同研究が話題になり、実際に現地の施設や学生と交流しながら、未来に向けた協働の可能性を確認しました。さらに長州ファイブ受入から160年の節目であった2023年にはUCLの学長自ら来日し、大阪大学や東京大学などへの訪問や祝賀イベントに参加しました。 Japanese Gardenと日本大使出席の記念式典 UCLキャンパス内のJapanese Gardenでは、桜の木を中心に日英関係を象徴する庭園があります。日本庭園記念式典には在英国日本大使も出席し、教育・文化の交流の大切さを改めて示しました。桜を通じて、過去と今の日英のつながりを感じられる場所です。 日本で広がるUCL同窓会 国内ではUCL卒業生の同窓会が非常に活発で、研究やビジネス、行政などさまざまな分野でネットワークが広がっています。留学での学びは帰国後も続き、次世代の学生たちにもつながる環境が整っています。 このように、UCLと日本の関係は歴史に支えられながらも、現在進行形で具体的な協力や交流を生んでいます。キャンパスで学ぶ私たち・これから学ぶ皆さんも、きっとこうしたつながりの中で新しい価値やアイデアを見つけることができるでしょう。 まとめ 160年前、先人たちは「日本の未来」を変えるために、命懸けで海を渡りました。 時代は変わり、今では飛行機でひとっ飛びの距離になりましたが、「未知の世界に飛び込み、新しい価値観を学ぶ」という留学の本質は、いつの時代も変わりません。 UCLのキャンパスを歩いていると、ふと思います。 かつて彼らがここから日本を大きく変えたように、ここにいる一人一人が今、あるいはこれからUCLを目指すあなたも、将来何かを大きく変える一人になるのかもしれない、と。 歴史は教科書の中だけにあるのではありません。これからの歴史を作るのは、今を生きる私たち自身です。 次は、あなたがこのUCLで、新しい歴史の1ページを書き始めてみませんか? ロンドンのキャンパスで、お待ちしています! https://passporter-media.com/articles/19/ https://passporter-media.com/articles/35/

日本の大学からマンチェスター大学へ交換留学し卒業研究に挑戦!

こんにちは!Midoriです。私は昨年の9月から今年の6月までの約10カ月間、イギリスのThe University of Manchester(マンチェスター大学)に交換留学しました。一般的な交換留学と異なり、授業を履修して単位を取得するのではなく、Final Year Project(卒業研究)に取り組みました。 https://jp.education-moi.com/article-62-manchester マンチェスター大学の交換留学で過ごした1年間 マンチェスター大学のキャンパス付近の街の様子 大学3年の秋からの約1年間をマンチェスターで過ごしました。交換留学生といっても他の正規学生と変わらず、同じ学生証を持って、同じように授業を受けたり、大学の施設を利用したり、大学の寮で暮らしたりします。また、授業料はホーム大学に支払えばいいのもメリットの一つです。イギリスの学費はとても高く、日本の国立大学の10倍以上かかるのでとても払えません。 交換留学先はFaculty of Biology, Medicine and Health(生物、医学、健康学部)です。留学中はSt Anselm Hallという寮に入り、寮生活も満喫しました。 マンチェスター大学紹介 マンチェスター大学はサッカーや音楽で有名なマンチェスター市にあり、200年以上の歴史を持つ伝統校です。また、これまで26人のノーベル賞受賞者を輩出してきて、高い水準の研究が行われています。 マンチェスター大学 マンチェスター市自体が非常に多様性の高いところで、イギリス人の中にもいろいろなルーツを持つ人がいます。そして大学には世界各地から留学生が集まるため、本当に多様な価値観に触れる日々でした。 寮生活も研究生活も、バックグラウンドが全く異なる人と接していくうちに、いろいろな考え方に触れ、生き方の多様性を感じました。 授業を履修せず、研究三昧の日々 私は授業を履修せず、毎日研究室にこもってひたすら実験をしたり、文献を読んだりしていました。 マンチェスター大学の神経科学は最先端分野の一つで、世界トップレベルの研究者が日々研究しています。私も神経科学の研究室に入りました。研究室自体はこぢんまりとしていて、教授1人と私を含めた学部・大学院生が7人いました。 日本と大学と異なる研究生活 日本の大学と違って、マンチェスター大学の研究室にはコアタイムがなかったです。コアタイムとは主に分子細胞系の研究室にある制度で、「平日の朝9時から17時までは必ず研究室にいないといけない」という決まりです。時間帯は研究室によって異なりますが、どの研究室も大体同じような時間帯を指定します。コアタイム中は自分の研究を進めたり、先生の指導を受けたり、研究室の雑務をやったりします。 私の研究室にはそういう制度がなく、好きな時間に行って、好きな時間に帰っていいことになっていました。といってもみんな朝に来て、みっちり研究して夕方に帰ります。 細胞生物学系の研究室が使っていた実験室 もう一つ日本では考えられないのが、研究棟には平日の朝8時から18時までしか入れないことです。つまり研究はこの時間内で進めなければならず、深夜まで実験をしているということはあり得ません。ただこれは学部生だけに適応されていて、教員や大学院生はそれ以外の時間帯にも入れますが、そうする人はほぼいません。 研究棟の出入り時には学生証をかざして回転ドアを通過します。私はよく18時ギリギリまで実験していて、1分前に猛ダッシュしていました。18時に間に合わなくて出られなくなることがたまにありました。そういう時は扉の中から叫んで、帰宅寸前の受付スタッフを呼び留めて開けてもらいます。 充実した寮生活 交換留学生は希望者全員が寮に入れるようになっていました。私はSt Anselm Hallという100年以上の歴史がある寮に入りました。毎日朝食と夕食が提供され、食事の時間になると食堂に行きました。 その他、共用部分がとても充実しているところがすごく良かったです。卓球室、コモンルーム(多目的室)、図書室、ピアノ室など、さまざまな施設があり、住民であれば誰でも使えます。 食事の時間と共用部屋で他の学生と交流する機会が多く、寮内で友達がたくさんできました。また、寮内でイベントを開催したり、卓球やサッカー大会があったりと、仲を深めるチャンスもたくさんあります。 St Anselm Hallの部屋 部屋はかなり広く、カーペットが敷かれています。キッチン、シャワーとトイレが共用で、洗濯機と乾燥機も共用でした。寮費は光熱水道・食費込みで月15万円です。それまで暮らしていた大学宿舎は月1.5万でした。光熱水道・食費込みを考慮しても10倍も高くてびっくりしました。 寮は研究室から徒歩30分ほどかかるところにあります。バスを利用すれば10分ほどですが、私は毎日歩いて行きました。 マンチェスター大学から帰国 今年の6月に帰国しました。マンチェスター大学から帰ってきてから既に半年以上が経過しましたが、今でも当時のことを思い出し、とても懐かしいです。 イギリスという不思議な国に滞在したのはわずか10カ月ですが、その間に感じたことは多く、勉強になったこともたくさんあります。いつか機会があったらまた行きたいと思います。 帰国するフライトの窓から見えた景色 私の経歴: マレーシアで過ごした15年間 家族の都合で幼少期からマレーシアで暮らしました。マレーシアは日本と全く異なる文化背景があり、私自身も日本に来てから感じた違いが多くあります。そのため、主に教育に関係する現地での生活をお伝えしたいと思います。 私は日本で生まれましたが、その後すぐにマレーシアに移住し、15歳までそこで暮らしていました。マレーシアの首都クアラルンプール(KL)は西マレーシアにありますが、私はKLがあるマレー半島ではなく海を挟んで東のボルネオ島にあるサバ州に住んでいました。 https://tpcljp.com/service/sabah/ インターナショナルスクールではなく、現地の学校に通っていました。マレーシアは多民族国家なので、学校もマレー系、中華系、タミル系などいろいろあります。 華人小学校の生活 私は中華系の小学校に通いました。中華系の人(華人)の生徒が多いですが、マレー系やパキスタン系などもクラスに数人いました。 校内の公用語は中国語です。華人でない生徒同士はたまにマレー語や英語で話しますが、先生に見つかったら注意されていました。しかしマレー語と英語の授業では逆に中国語が禁止され、その教科の言語しか話してはいけないというルールがありました。 同時に3言語を習得 小学校で勉強する科目は国語(マレー語)、中国語、英語、算数、理科、社会、道徳(ムスリムの生徒はイスラム教義)、コンピュータ、体育です。今考えると3つの言語をネイティブレベルで同時に勉強するのはクレイジーに思えますが、現地では当たり前すぎて当時は何とも思わなかったです。 1時限は30分で、授業は朝7時から始まり、13時ごろに終わると記憶しています。その後は基本的に帰宅しますが、課外活動がある日は弁当を食べるか食堂で食べてから行きました。給食はありません。その代わり、食堂はかなり充実していて、麺類やご飯類、パンなどさまざまなメニューがありました。 学校の名誉がかかった全国統一検定試験 2021年に廃止されたようですが、私がいた頃は6年生の終わりに全国統一検定試験がありました。当時は7科目を受けなければならず、学校の名誉をかけた戦いと言っていいくらい全校を挙げて対策していました。7科目とは国語(マレー語)のリーディングとライティング、中国語のリーディングとライティング、英語、理科、算数です。 5年生の後半からこの試験に向けた対策が始まり、生徒全員に目標が定められました。成績は最高評価のAから不合格のEまでの5段階あります。私の目標は全てが最高評価である7Aでしたが、残念ながら達成できず結果は6A1Bでした。 この試験で優秀な成績を修めることは大変名誉なことであり、5A以上あれば新聞に写真付きで載ります。また、学校の入口から一番近くて目立つ掲示板にも写真付きで掲示されます。 この試験は個人戦だけでなく、団体戦でもあります。科目ごとの平均点や合格率(評価がA~Dの人の割合)が出され、それも新聞に載ります。そのため、成績発表の時期になると新聞にはいろんな学校の成績と優秀者の写真が掲載されます。日本では考えられないですね。 独立中学校に進学 中学校は公立学校ではなく、独立中学校に通っていました。日本では聞かない言葉ですが、これにはマレーシア国内の複雑な事情に関係します。簡単に言うとマレーシア政府に認められていないカリキュラム(中学・高校卒業資格)を提供している華人学校のことです(最近は一部の州で認められました)。 ただその非公認の資格だけだとさすがに今後マレーシア国内で就職や進学などをする人にとって不利なので、マレーシア教育省のカリキュラムも実施しています。2種類のカリキュラムを同時に実施しているので他の中学と比べて勉強量が多いです。 政府のカリキュラムで中学は5年間(Form 1~Form 5)で、3年目と5年目に全国統一試験があります。その後、A-levelあるいはSTPM(A-levelのマレーシア版みたいなもの)を履修してから大学に進学する人がほとんどです。 マレーシア政府非公認の全国試験 独立中学校のカリキュラムは6年間で、3年目と6年目に全国の独立中学校生が対象の全国試験があります。前述の通りのこの全国試験は政府に認可されておらず、そこで優秀な成績を修めてもマレーシア国内では意味のないことです。当然その成績でマレーシアの大学を申請することはできません。しかし日本を含む海外大学には認められていますので、卒業生の多くは海外の大学に進学します。 マレーシアの華人は昔から国に独立中学校の卒業資格を承認するよう求めてきましたが、マレーシア政府が未だに認めないのは多民族国家ならではの難しさがあるからです。ここではあまり深掘りしませんが、気になる人はぜひ調べてみてください。 どのカリキュラムの全国試験も小学校の全国統一検定試験と同様に、学校を挙げて競い合っていました。そして同じように学校ごとに各科目の平均点や合格率、成績優秀者が新聞に掲載されていました。 https://jp.education-moi.com/boarding-schools/malaysia 高校から日本に戻り 私はその独立中学校を3年で中退し、日本に引っ越しました。日本に来てからは実家から近い公立高校に入学しました。高校は普通科で、卒業後はそのまま日本の大学に進学しました。 以上が私の経歴と交換留学歴でした。最後まで読んでいただきありがとうございました。 https://passporter-media.com/interviews/4/ https://passporter-media.com/interviews/13/ https://passporter-media.com/interviews/15/

会員登録

会員限定記事やイベント情報を受け取ろう!

Subscribe  Sign In