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オックスフォード発祥のPPEをキングスカレッジロンドンで学ぶ|1年目で履修した科目

こんにちは!キングスカレッジロンドン(KCL)でPPE(哲学・政治学・経済学)を学んでいるAyanoです。2025年の秋に入学し、これまでに2学期間の授業を終えました。3学期は試験のみのため、1年次のカリキュラムはひと通り履修したことになります。

今回は私が1年生で学んだ内容を紹介していきます。

キングスカレッジロンドンで学ぶPPE(哲学・政治学・経済学)とは?

オックスフォード大学発祥のコース

PPE(Philosophy, Politics and Economics)は哲学・政治学・経済学の3つの分野を組み合わせて、社会の仕組みを多角的に考えることを目的とした課程です。もともとはUniversity of Oxford(オックスフォード大学)で始まったコースですが、現在ではイギリスの大学を中心に、ヨーロッパの他地域などでも提供されています。

理論的な哲学、政治の仕組み、そして経済学的な分析の3方向から考える力を養える学問なのが特徴的です。2年生以降は3つの学問のうち2つに絞る人が多いです。1年生では広くこれらの基盤を学びつつ、ある程度の専門性も得られるのが魅力的かなと思います。

同時に3つの学問を学べるPPEの魅力

私がPPEを学びたいと思った理由はいくつかあります。

まず、もともと飽きっぽい性格なので、ひとつの分野に絞るよりも、幅広く学べる点に魅力を感じたからです。また、私は将来やりたいことが明確に決まっていないので、幅広く社会科学分野を学ぶことでキャリアの選択肢を幅広く残せるのではないか、と思ったのも理由のひとつです。

授業が行われるキングスカレッジロンドンのキャンパス
授業が行われるキングスカレッジロンドンのキャンパス

学部課程に進学する前のファウンデーション*では、実際の社会問題がどのように3分野にまたがっているのかを学ぶことができ、さらに興味が深まりました。

環境問題はその一例です。政治学では「どうルールを作るか」「国の介入の範囲」を、経済学では「環境保護と経済成長の両立方法」などを考えます。哲学では「何が正しいか」という価値判断が問われ、経済成長の重要性そのものも議論の対象になります。

環境問題の例に限らず、多くの社会問題は多面的です。もちろん、PPEの3分野だけで社会の複雑さをまかなえるわけではありませんが、それでも1つの視点だけでは捉えきれない問題について考える力を養えるのが、PPEの面白さだと感じました。実際に1年間学んでみて、「社会をどう見るか」という視点が鍛えられていると感じています。

*ファウンデーションコースって何?と気になる方は最後に貼っている過去記事をチェックしてみてください

キングスカレッジロンドンのPPE: 1年間で実際に履修したモジュール

ここからは、私が1年生で学んだことを紹介していきたいと思います。

まず私が今年度履修したのは以下のモジュール(科目)です。

  • Comparative Politics(比較政治学)
  • Introduction for Economics(経済学入門)
  • Introduction for Philosophy(哲学入門)
  • Political and Economic Philosophy(政治哲学・経済哲学)
  • Quantitative Methods(定量的手法)

最初の3つは1年(2学期分)を通して学びました。最後の2つのみ1学期分だけの科目で、かつPPE生だけに提供されている科目です。Quantitative Methodsに関しては似たような内容のモジュールが他コースでも提供されていますが、この科目はPPE生向けのようです。

1学期あたり4つのモジュールを履修する仕組みとなっています。1年次に取る科目は全て必修となっていますが、2年生以降の必修科目は1つだけで、それ以外は幅広い科目から選べるようになっています。

Comparative Politics(比較政治学)

比較政治学という名前ですが、他のモジュールと同じように政治学入門のような感じで、政治について幅広く学びました。名前の通り、複数の国や地域を“比較”分析します。特に政治体制・制度・プロセス・政治の結果などに着目し、特定の国だけでなく地域や時代を超えて通用する「普遍的な理論」を構築するのが目的です。ここでは主に「国内政治の比較」に焦点を当てています。

特に面白いと思ったのは、国ごとに違う条件があるから、違う答えを生んでいるということです。例えば同じ民主主義の中でも、国の運営の仕方にはその国の背景(歴史・民族などの社会構成・価値観・目的など)が反映されていて、異なる制度が採用されているのが印象的でした。

Introduction for Economics(経済学入門)

この科目では1学期にミクロ経済学、2学期にはマクロ経済学といった構成で、経済学の基礎を幅広く学びました。

PPEの経済学のセミナーの様子
PPEの経済学のセミナーの様子

ミクロ経済学では、個人や企業がどう行動するかを学びました。その後のマクロ経済学では、GDPやインフレ、金融政策など、政策まで視点を広げて学ぶことができ、より面白く感じました。

一方、経済学では一つの変化が次の変化を生み、それがさらに別の影響につながっていくというような、影響が連鎖している考え方が多く、因果関係をずっと考え続けることに難しさも感じました。

Introduction for Philosophy(哲学入門)

この科目は全部で20週間分の授業を5週間ずつに分けて、順にLogic(論理学)、Ethics(倫理学)、Metaphysics(形而上学)、Epistemology(認識論)の4分野を学びました。

論理学は正しい議論構造を学ぶ分野なので、哲学の基礎として最初に学びました。哲学という分野の中でどういう論理や議論の構造が「有効」と見なされるのかを学んだため、その後に学んだ他の哲学分野でもベースとなる考え方でした。数学のような証明も行うのですが、難しくて期末試験が不安です。

PPEの論理学の勉強
PPEの論理学の勉強
PPEの論理学の講義の様子
PPEの論理学の講義の様子

続いて倫理学は「何が正しいのか」という価値判断の基準を複数の理論を比べながら学びました。

2学期に学んだ形而上学と認識論はどちらも抽象度が一気に上がり、セミナーでの内容も難しくなったように思います。形而上学は「根本的な性質や存在の仕組み」を考える分野です。「時間や空間はどんなものか?」「物事の原因や性質はどう決まるのか?」といった質問を考えます。ある現象の前提を疑うような分野です。

そして認識論では名前の通り「人はどうやって物事を知るのか?何をもって“知っている”と言えるのか?」ということについて考えます。もっと具体的に言えば、「知るとは何か?」「誰かが正しいと信じることは本当に正しいのか?」「知識になるための構成条件」など、知識に関する根本的な問いです。

形而上学や認識論では、「どこまでが自分自身のアイデンティティなのか?」「どういう性質を持って私自身が私になるのか?」「自分の内と外の世界について」などについて考えました。ずっと当たり前だと思っていたことを新たに理論を用いて考えるので、今までの前提がまた揺らいだような感覚になることも多くありました。

「哲学を学ぶ」と聞くと、有名な古代ギリシャの哲学者などのアイディアを学ぶのを想像するかもしれませんが、実際はもっと論理的に話が進み、知識的な学びはごく一部でした。実際この科目では、哲学者の名前に沿って学ぶのではなく、アイディアや理論ベースで学ぶ現代的な手法をとっているのが特徴的です。1年間の哲学の授業を通して、いまだに私は「プラトンやアリストテレスが何をしたか?」「一番お気に入りの哲学者は誰か?」などといった質問にははっきり答えることができない状態です。

しかし、それより先に哲学的な問いに対して自分で考え議論し、論理的に自分の考えを構築する力を身につけられたと実感でき、それが最もKCLの哲学の授業で気に入っている点です。

Political and Economic Philosophy(政治哲学・経済哲学)

この科目は1学期の間だけ学んだ科目です。名前の通り、政治・経済のテーマを哲学的なアプローチで考える科目でした。例えば、「政府はどこまで介入するべきなのか?」「平等と自由のトレードオフ」「富の分配は何を基準に決めるべきか?」などの質問について考えました。実際の哲学の授業で学んでいることを、現実の政治・経済に応用するような学びだったように感じます。

例えば、実際に私は民主主義は良い政治体制だと思っていましたが、この授業では「何を持って民主主義をよしとするのか?」ということも考えたので、新鮮に感じ楽しかったです。

Quantitative Methods(定量的手法)

最後に定量的手法です。このQuantitative Methodsという名前ですが、統計学を基礎にしたデータ分析の授業と言った方がわかりやすいかもしれません。確率や統計、Stataというデータ分析や統計処理を行うツールを使って、コーディングを学びながら、実際にデータを分析するツールにも慣れていきました。学期末にはStataを使って与えられたデータを分析するコースワークもありました。

Quantitative Methodsで出されたデータ分析のコースワーク
Quantitative Methodsで出されたデータ分析のコースワーク

この画像はコースワークのうちのStataを使った流れがわかるようにコマンドを書いたファイルです。これとは別にStataを使ったデータの分析結果を書くファイルも提出しました。

政治学や経済学は社会科学の分野であり、社会科学自体が「社会やその中での現象を“科学的な手法”を用いて客観的に解明する」学問分野であるため、定量的手法をPPEの1年次必修として組み込まれているのかなと感じます。

キングスカレッジロンドンのPPEで1年目の学びを通して

PPEでの最初の1年は、大変な時の方が多かったように感じますが、それでも多くのことを幅広く学ぶことができ、充実した学びでした。毎回の授業の分野がガラッと変わるのが普通なので、複雑に感じることもありましたが、1年次での学びを基礎に、2年次以降、もっと深く学びたいことを絞っていけるのがとても楽しみです。

キングスカレッジロンドンのキャンパスがあるロンドンの景色
キングスカレッジロンドンのキャンパスがあるロンドンの景色

KCLのPPEについて特に気に入っているのは、哲学モジュールが知識習得よりも、「考えることそのものを鍛える」方向で授業が進んでいったこと、そしてPPE生向けの独自科目があることで、単なる入門ではなく、PPEらしい横断的な学びを1年生から経験できることです。セミナーも1クラス約10人と規模が小さく、ディスカッションに参加しやすいのも良かったです。どのセミナーでも、学生自らが学んだ知識をもとに議論することができました。

1年生での学びを通して、PPEでは単に知識を得るだけでなく、「社会をどう見るか」「どう考えるか」を深めることができると感じます。ちょうどこの春は2年次のオプショナルモジュールを選ぶ時期なのですが、これから2年生でさらに学びを深め、より専門的なテーマに取り組めるのが楽しみです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。これからPPEや似たような社会科学分野に進もうとしている方にとって、実際の学びやイメージが少しでも参考になれば嬉しいです。皆さんの挑戦を応援しています!


キングスカレッジロンドンGlobal Politics and Social Sciencesのファウンデーションコースで履修した授業や学部への進学方法についてはこちらをご覧ください↓

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イギリス留学5年目、UCL生の1週間をのぞき見してみる?

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UCL現役生が解説!ファウンデーションコースの授業・寮生活・学部進学

こんにちは!University College London(UCL)のファウンデーションコースを卒業し、現在学部課程3年のAyatoです!ファウンデーションコースでは、理系コース(UPCSE)で、物理と数学を履修していました。 この記事では、UCLのファウンデーションコースについて、ホームページだけでは得られないような情報を盛りだくさんにしています。 内容は項目ごとに分けていますので、興味のある部分を読んでください。なお、どの項目を読む場合でも、以下の免責事項は必ず読んでください。 免責事項 この記事は、私がファウンデーションコースに進学した年の経験をもとに書いたものです。制度や内容は毎年変わるので、最新の情報は必ず大学の公式ホームページや担当の方に確認するようにしてください。 また、ここで書いていることはあくまで個人の体験であり、記憶違いや解釈の誤りが含まれている可能性もあります。実際に判断をされる際は、どうぞ参考程度にとどめていただければと思います。 この記事を通じて、これから留学を考えている方が少しでも海外留学/ファウンデーションコースのイメージをつかめれば嬉しいです。 イギリスのファウンデーションコースの前提 イギリスのファウンデーションコースは、イギリスの大学に直接出願する資格(A-levelやIBなど)を有さない人が、入学資格を得るために通うものです。Preparatory schoolとも呼ばれますが、予備校との違いは資格を得られるか否かです。 Student CentreとMain Libraryの間にあるJapanese Garden 期間は1年間であり、UCLのそれは要求の高いコースです。英国のファウンデーションコースとしては最も評価が高いので、競争率は10倍ほどあります。 また、合格した場合は、2週間という短期間で支払いを完了しなければならない可能性がある(自分の時はそうでした)ので、まとまった現金を用意しておいた方が良いです。今はどうなのかわからないので、気になる場合は学校の担当者に確認することをお勧めします。 UCLファウンデーションコースの授業 英語、数学と物理 英語はAcademic Englishの授業がありました。ReadingとWritingがセットで、ListeningとSpeakingがセットになっていました。 Academic Englishの特徴はとてもインタラクティブなことです。自分で研究をしていくのに必要な実力を磨くことができます。 時間割は物理や数学などの選択科目を含めるとかなりいっぱいになっていたと記憶しています。物理は実験があるので、午後がまるまる実験というのもしばしばです。 数学は日本の高校数学を再び英語でやるイメージです。内容を知っているとはいえ、英語で勉強するのは初めてだと思うので、英語力を伸ばすという観点でやると良いと思います。新たな内容を学ぶことはあまりないですが、理解を言語化するという経験は高校数学で必ずしもやっていることではないと思うので、考え方を養うのに良いという人もいるかもしれません。 物理について一言で言えば、最高でした。どの科目の先生も熱心だと思いますが、物理の先生は特に刺激物理について一言で言えば、最高でした。どの科目の先生も熱心だと思いますが、物理の先生は特に刺激が多かったです。今でも時々会うことがあるほどの仲になれました。 教養科目 理系のファウンデーションコースには「社会と科学」という科目がありました。今はないかもしれないです。この科目は、サイエンスと社会がどのように関わっているのかを学ぶものです。大変勉強になる教養科目であると同時に、Academic Englishやプレゼンテーションを学ぶ機会にもなり、とてもよかったです。 成績評価方法 成績は試験、プレゼンテーション、エッセイなどのさまざまな観点で評価されます。強みを伸ばしながら改善できるところがある時はチャンスだと捉えてバランスよく勉強すると良いと思います。 学部と比較するクラスの規模感 これはファウンデーションコースの特徴だと思うのですが、先生や学生ととても仲良くなれる環境があります。1クラスが10人程度と小規模で、友達を作りやすいです。 学部に上がってからはクラスが2~300人と大幅に増えます。そのためどちらかと言うとサークル(イギリスではSocietyと呼びます)に参加してそこで友達を作ったり、フラットメイトと仲良くなって友達になる人が多いです。私自身も、一緒に住んだ人とは互いに尊敬と信頼のある関係性を築くことができたと思います。 寮生活 Garden Hallsという寮で暮らしていました。おそらくロンドンにある大学寮の中でものすごく良いところに入れたと思います。ロケーションが最高なので、家賃もそれなりにしますが、良い場所には良い人が集まるのが世の摂理です。良き友と多く会うことができました。 UCLのGarden Hallsという寮の部屋 UCLの学習環境 多様性に富んだ仲間 UCLに在籍するhome students(現地学生)、international students(他国から来た留学生)、またexchange students(東京大学などから来た交換留学生)など、実に多様性に富んだ人々と仲間になれることはイギリスに来ることの財産だと思います。 私は幸い友人に恵まれ、多くの人と巡り会えました。しかし、いざ一人で暮らして友達を作ろうとすると難しいと感じたこともあるので、人が多くいるところに身をおくことは重要だと思います。 あとは、積極的に社交的な場に顔を出すだけでも違うので、自信がなくてもどんどん飛び込んでいったら良いと思います。 英語で苦労した側面は多くあります。ただ、英語はプロセスなので、継続的に諦めることなくやっていれば、確実に伸びていくものだと信じられるようになります。 18種類あるUCLの図書館 図書館でほとんどの時間を過ごすことになると思います。UCLの図書館は18種類あって非常にバラエティに富んでおり、好みが分かれるところだと思います。個人的に好きなのは、Main Library、Science Library、Student Centreです。このあたりを使い倒しました。 UCLのScience Libraryhttps://www.ucl.ac.uk/library/news/2017/feb/science-library-ground-floor-refurbishment-complete UCL Student CentreのGroup Roomhttps://www.librarybuildings.eu/library/ucl-student-centre/ ただ、勉強で盛り上がっていても、夜はできるだけ寝るようにしましょう。夜更かしして勉強するのは体力的に可能かもしれませんが、持続可能ではないです。決まった時間に起きることは守るようにして、それがつらくならない程度であれば夜更かしをしても良いと思います。 ちなみに、イギリスだと18歳から飲酒・喫煙が法律上許されていますが、私は健康が心配だったので喫煙は今まで一度もしていませんし、飲酒もファウンデーションコースではしていなかったと思います。飲んでいる人もいましたが、忙しいのでそもそもそのような時間を見つけることが難しいのではないでしょうか。 時期ごとのやることの流れ 新しい環境に来たら、最初の課題は「生活に慣れること」です。 一人暮らしが初めてなら、生活用品を買い足したり、ご飯をどうするか考えたり、やることは山ほどあります。最初は圧倒されるかもしれませんが、ひとつひとつ落ち着いて取り組めば大丈夫です。焦らずに、自信を持って対応しましょう。 生活が落ち着いてきたら、いよいよ本格的に学業や進路に専念しましょう。学部への出願は意外とすぐやってきます。Personal statement(パーソナルステートメント)を書き直して、Personal tutorにチェックしてもらうのが大事です。予想成績を良くすることが出願や進路に大きく影響しますので、早めに手を打ちましょう。 https://jp.education-moi.com/article-61-personal-statement 次のステップは「人とのつながり」です。友達作りは簡単ではないかもしれませんが、それ自体が英語学習のモチベーションにつながります。実際、話せる人ができるかどうかは経験や英語力に左右される部分も大きいです。 私の持論としては、多少無鉄砲でも「興味を持って関わる姿勢」が大切だと思います。振り返れば、当時の自分は右も左もわからず暗中模索していましたが、それでも一歩踏み出すことで道が拓けていきました。とか言っていますが、不安ですよね。 そんな時は、一度忘れて日本人と話したり、好きなことをして気分転換をしましょう!素晴らしいところにいるのに悩んでばかりいるなんて、時間が勿体無いと思いませんか?考えることも大事だと思いますが、一旦それから離れてみることも大事です! 成績は3学期に決まることが多いですが、2学期にもプロジェクトなどがあり、それなりに忙しいはずです。「暇だ」と感じることは少ないですが、もし時間に余裕ができたら、自分を伸ばす活動やそこでしかできないこと時間を使った方が良いです。 UCLファウンデーションコースから学部への進学 ファウンデーションコースから学部への進学は大学が全面的にサポートしてくれます。システム上UCASで出願する必要がありますが、大学が推薦してくれるので、合格率は高いです。具体的な実績はホームページで確認できると思いますので、そちらを参照してください。 https://www.ucl.ac.uk/languages-international-education/preparation-courses/upc-foundation/previous-students 注意点1: 予想成績 気をつけるべきことは2つあります(特にUCLの学部に出願する場合)。1つ目は予想成績についてです。 1学期の終わりに予想成績というものが出されます。これは、1学期の様子を見て、3学期の終わりにはこれくらいいくだろうという希望的観測です。これが出願する学部の要求を満たせば、出願できます。逆に満たさなければ、実際に3学期で満たす成績をとっても関係なかったと思います。ですから、1学期の成績をしっかりとるということが重要です。また、その予想成績は実際に達成する必要があったと思います。 注意点2: 進学できる学部 2つ目は、保証されている学部とそうでないものがあることです。保証されているものは、予想成績が要件を達成すれば、自動的に進学できますが、保証がない場合は最終成績が出るまで合否がわかりません。 UCLのファウンデーションコースからはUCLの2つの学部に出せるので、(少なくとも私の時は)どうしてもUCLに進学したい場合は保証されているものを1つ選ぶのも手なのかもしれません。なお、UCASで出願できる大学(学部)の数は最大で5つです。 英語についても要件が課されることが多いので、十分に注意してください。学部学科ごとに異なります。 ファウンデーションコースを修了した学生はUCLやラッセルグループ※の大学に行くなど、さまざまな大学への出願ができます。 ※ラッセルグループとは、イギリスの24のトップ研究型大学で構成される連盟で、優れた研究と教育を提供しています。1994年に設立され、世界トップ10のオックスフォード大学、ケンブリッジ大学、インペリアルカレッジロンドン、UCLなどが加盟しています。  Oxbridge(オックスブリッジ)と併称されるUniversity of Oxford(オックスフォード大学)、University of Cambridge(ケンブリッジ大学)に進学したい場合は、出願プロセスが異なります。入学前に厳しい要件をクリアする必要があります。UCLの場合、ファウンデーションコースで履修した分野と異なるコースに進学できるなどの融通が効くことがありますが、他大学が関連するような出願では要件が緩和されることはないので、事前チェックが重要です。 また、London School of Economics and Political Science(LSE)やImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)への出願も可能です。これは、ファウンデーションコースの成績と個別試験の結果が要件を満たしていれば、受験することが可能です。UCLへの出願にネガティブに響くことはないので、こちらの2つに関してはチャレンジしても損はないでしょう。 学部に進学する時の入試 現在の入試は私の時の入試と大幅に変わっているようです。したがって試験内容をご自身でチェックすることが望ましいです。おそらく書類選考、筆記試験、面接のセットはあると思いますが、内容は変わっているので、対策の方法論にだけ簡単に触れます。 基本的には、標準的な教科書を使って勉強をしていれば良いと思います。入試に関する情報や過去問を分析することも重要です。面接対策は対話を通して学ぶ姿勢が重要だと思いますので、できるだけ多くの人に練習に付き合ってもらうようにしましょう! 実際に志望校(学部)に通っている学生に直接質問して最新の情報を得ることが重要だと思います。 UCLに留学する他の方法: 交換留学 UCLの入試に関しては、かなり競争が激しいことは事実ですが、ファウンデーションから学部に上がることは非現実的ではないです。それよりかは、経済的な基盤を持つことが難しいです。奨学金を得てUCLに行くのは極めて競争が激しいです。日本のトップレベルの大学に入れる学力は当たり前で、多方面での活躍や総合的な人間力など、ずば抜けた優秀さが必要です。 Tower Bridge(タワーブリッジ) ― ロンドン生活の風景 しかし、先ほど少し触れましたが、日本の大学に通いながら英国の大学に留学することも可能です。東京大学や京都大学に進学し、3年次をUCLで過ごすこともできます。 圧倒的なメリットは在籍している日本の大学にだけ学費支払えば良いので、費用は10分の1以下で済みます。東京大学や京都大学以外の大学からUCLに来ている人を見たことがないです。狙うなら必ず志望している日本の大学がUCLと提携していることを確認しましょう。 また、東大生の話を聞いていると、選考や要件もそれなりに厳しいので、大学に入学してから弛まぬ努力をすることは絶対条件だということが窺えます。必ず進学できるわけではないので、注意が必要ですが、挑戦をするという観点では素晴らしい選択だと思います。 交換留学をすると、単位の振替を行うことはできないことが多いようです。つまり留学している1年間は単位を取得しない扱いになり、追加で1年間、全部で5年間通うことになるので、その点は注意が必要です。でも、その1年は決して無駄にはならないと思います。ストレートな学歴でないことを気にされる方が多いのも事実ですが、UCLはそれを上回る素晴らしい経験を提供するポテンシャルがあると思います。また、約半年間の学期留学なら比較的難易度は低いかもしれません。 https://passporter-media.com/interviews/15/ 最後に 振り返ってみると、UCLのファウンデーションコースは決して楽ではなく、むしろ常にプレッシャーのある1年でした。予想成績や出願準備に追われ、生活のリズムを整えるだけでも大変でしたが、その分、努力が形になった時の喜びは大きかったです。特に印象的だったのは、多様なバックグラウンドを持つ友人や先生と出会い、互いに刺激し合える環境に身を置けたことです。英語力や学問的な基礎を鍛えるだけでなく、良い人間関係を築けたと思います。挑戦することのデメリットはないので迷っている方には、ぜひ挑戦してみてほしいと心から思います。迷っていても、とりあえずオファーが来てから考えれば良いと思います。それでは、good luck! https://jp.education-moi.com/article-51-ucl

イギリスの名門ボーディングスクール【コンコルドカレッジでの1日】

こんにちは、Kenshuです。4年前にイギリスの全寮制学校(ボーディングスクール)であるConcord College(コンコルドカレッジ)に入学し、今年の6月に卒業しました。コンコルドカレッジでの1日を振り返ってどのようなものかを共有できればなと思います! 寮生活で住民同士の交流が盛ん 僕がForm 4(中学3年生)の時にBell House という名前の寮に入っていました。この寮はほとんどのForm 3、Form 4、Form 5の男子生徒が暮らす学校内で一番大きい寮でした。Bellの中ではAからGブロックに分かれていて、自分はForm 4の時にAブロック、Form 5ではBブロックに住んでいました。各ブロックには10人ぐらいいました。 学年が上がるごとに部屋が広くなりました。部屋の中には机、ベッド、棚、クローゼットの他に洗面台も備え付けられていました。トイレとシャワーは5人で共用です。大人数が使うので朝のシャワーの時間帯になると渋滞していたのを覚えています。寝過ごした時や超渋滞していた時は朝シャワーを諦めて中休み中にシャワーを浴びていました。 雪の日の寮(Bell House) Bellには寮の先生が4人いて、交代で朝と夜の点呼や寮の管理をしていました。AからGブロックの他、Common RoomというBellに住んでいる生徒全員が使える場所があります。そこにはキッチンやゲーム(スイッチやPS4)、ソファなどがありました。授業が終わるとみんなでそこに集まって料理やゲーム(マリオカートやFIFA)をして、すごく賑わっていました。 Common Roomの横には寮の先生のオフィスがあり、何か問題などがあればすぐに助けてもらえます。毎週土曜日の夜には先生主催のパーティーがあり、アイスクリームやワッフルなどのデザートやタコスなどの料理が振る舞われました。 点呼は毎朝7時半と夜10時の2回ありました。夜10時までに寮に戻らないとStrike(注意)をもらい、それを3回もらうとDetention(罰としての居残り)を受けます。 毎日の3食はボーディングスクールの食堂で食べる コンコルドでは毎日3食が提供されます。食堂は一つしかなく、しかも学校の一番端にあるのでたどり着くまで歩いて5分ぐらいかかりました。生徒全員が長いテーブルに座り一緒に食事を取ります。定位置はありませんが、みんなほとんど毎日同じテーブルに友達と座っています。 朝食: 午前8時〜 朝ご飯は8時からで、メニューは毎日ほぼ同じです。典型的なイギリスの朝食がビュッフェ式で用意され、欲しいものをなんでも食べられます。ソーセージとベーコン、スクランブルエッグと目玉焼きはそれぞれ日替わりです。パン・オ・ショコラ、クロワッサンと食パンは毎日出てきます。4年間も通ってると本当に飽きました。他にもいろんな種類のコーンフレークがあり、加えて牛乳や豆乳、アーモンドミルクも充実しています。個人的にコンコルドの朝食はイギリスのボーディングスクールの中でもいい方だと思います。 朝ご飯のパン・オ・ショコラとクロワッサン 昼食: 午後12時〜、夕食: 5:30PM〜 昼ご飯は12時ごろで夜ご飯は午後5時半から始まります。朝食とは違って肉、魚、ベジタリアンの三つからメインディッシュを選べます。肉はポーク、ビーフ、チキン、ラム、ダックなどが日替わりで出てきました。魚は主にハドック(フィッシュ&チップスなどに使われる魚)しか出てきません。イギリス特有の文化で金曜日の昼ご飯には必ずフィッシュ&チップスが出ます。4年間のほとんど毎週フィッシュ&チップスを食べていたので日本に戻ってくるとたまに恋しくなります。 毎週金曜日に出されるフィッシュ&チップス 日曜日のブランチ 日曜日は特殊でBrunch(ブランチ)が朝ご飯と昼ご飯の代わりに、11時ぐらいからあります。BrunchではScampi(えびの揚げたやつ)やブリティッシュソーセージ、オムレツなどまさにイギリスのBrunchの定番メニューが出されました。個人的にBrunchが一番好きでした。 ブランチ イギリスのボーディングスクールの時間割り 午前8時35分: ホームルーム〜授業〜昼休み 朝の点呼を終え、朝食も済ませて8時35分にTutor(ホームルーム)が始まります。Tutorでは最近の出来事や連絡事項などを話し合います。1限目は9時に始まり、中休みと昼休みを挟み9限目、4時まで授業があります(1限35分)。 昼休みは40分しかなく、しかも食堂で長蛇の列ができるので実質食べる時間は20分しかありません。いつもめちゃくちゃ急いで食べていたのを覚えています。本当に時間がない時には全部食べ終わらないまま次の授業に出ていました。その後空腹で授業に集中できなくなり、途中で寮の部屋に帰ってお菓子などを食べていました。 A-levelの授業 Form 6からのA-levelでは4教科(物理、化学、数学、応用数学)と英語(IELTS)の授業をとっていました。一般的にA-levelでは3教科しかとらなくていいので自分は他の生徒よりも授業量が多く、Free Period(自由時間)が少ししかありませんでした。一週間のうち、1教科あたり8授業分あり、英語は4授業分ありました。 授業後の課外活動〜就寝まで 4時に授業が終わるとTwilight という自由時間があります。Twilightではスポーツやクラブ活動、補習などいろいろなことが行われます。僕はほとんどの場合寮に帰って昼寝をするか、テスト期間だったら勉強をしていました。たまにバレーボールやサッカーの練習があり参加していました。他の生徒たちは音楽室を借りてバイオリンやピアノの練習などをしていたり、ランニングなどに行っていたりしていました。 さすがに飽きた夕食メニュー 5時半からはSupper(夜ご飯)の時間になり食堂に行きます。1年目から3年目まで同じようなメニューを食堂で食べていたので4年目になるとさすがに飽きるので出前を頼むようになりました。しかし配達料金が8ポンド(約1520円)※だったのを見てすごく驚きました。日本では200円から500円のところイギリスでは3倍以上かかるのでショックを受けました。食べ物自体も結構な値段をするので週に数回しか頼みませんでした。 ※1ポンド=190円で換算 午後6時30分: Prep Time(自習時間) 夜ご飯が終わると、6時半から8時10分(100分間)までPrep Timeという時間があります。これは生徒全員が各教室に集まり、自習をする時間です。Prep Timeでは宿題をやったり土曜日のテストに向けて復習したりします。僕は通常月曜日と火曜日は宿題や他の課題をやり、水曜日、木曜日、金曜日はテスト対策をしていました。Prep Time中は先生たちが見回りに来るのでサボったりゲームをしたりしているとDetentionをもらいます。 Prep Timeのあとは夜の自由時間 Prep Timeが終わったら夜の自由時間に入ります。この時間では基本的にクラブ活動があまり行われず、まさに生徒たちの「真の自由時間」と言えます。 この時間は体育館が開かれているので希望者はバドミントンやバスケットボール、バレーボールなどを行うことができます。例えば月曜日はバスケットボール、火曜日はバレーボール、水曜日はフットサルみたいなスケジュールでした。コンコルドには体育館が二つあり、一つはバドミントン専用、もう一つは他のスポーツ用に分かれていました。バドミントンだけが一つのコートを独占できるのは、コンコルドのバドミントンチームがすごく強いからです。スポーツ終了後、10時までに寮に帰らなければいけませんでした。 午後11時: 就寝 10時以降は勉強したり友達と遊んだりしていました。11時になるとWi-Fiが切れます。加えてコンコルドはすごく田舎なところにあるので自分のモバイルデータ通信を使おうとしても電波が悪く、ユーチューブやインスタグラムなどインターネットを使うアクティビティが封じられました。そのためほぼ半強制的に11時に寝させられていました。ただ4年目のテスト期間中などは1時まで勉強することもありました。 土曜日午前9時〜11時: 毎週行われるSaturday Test Saturday Testとは毎週土曜日のテストのことです。テストは9時に始まり、11時ぐらいに終わります。各教科40分のテストが毎週2か3教科あります。テストの成績は次の週の月曜日か火曜日に返されます。Saturday Testの結果はEnd of Term Reportにも記載されるので毎週必死に復習していたのを覚えています。 End of Term Reportというのは毎学期の終わりに親に送られる通知表的なもの(レポート)です。このレポートでは各教科の先生からのコメント、全てのSaturday Testの平均点、End of Term Testの成績とEffort Grade(学習態度やクラスでの貢献度などの総合評価)が書かれます。このレポートは親に届くのでみんな親に怒られないよう(中にはあんまり気にしてない生徒もいました)に必死に勉強していました。 ボーディングスクールで大事なEnd of Term Test(期末テスト) Saturday Testの他にEnd of Term Test(期末テスト)が年3回あります。このテストはSaturday Testよりも重要で、生徒全員のストレスの源です。 End of Term Testは科目と学年によりテスト数が異なります。 End of Term Testの時間割 息抜きの時間:Saturday Town Trip 毎週土曜日に学校から無料でShrewsbury(シュルーズベリー)という街行きのバスが出ています。Shrewsburyはコンコルドから一番近い町で、どちらもShropshire(シュロップシャー)郡にあり、Shrewsburyが郡庁所在地です。そこまでバスで20から30分かかります。 バスはSaturday Testの後に3台出ていて、毎週結構な人数が乗ってShrewsburyに行きます。そこで昼ご飯を食べたり、買い物をしたり、髪を切ったりしていました。僕はよくThe Beefy BoysやHickory’s Smokehouseなどのレストランに行っていました。 帰りのバスは4時半にShrewsburyから学校に帰るので4時間ぐらいしか街にいられませんでした。 最後の2年間(Form 6.1、6.2)になると水曜日にもShrewsburyに出られるようになりました。 Shrewsburyの街の様子 特に何もすることがない日曜日 日曜日は基本的に何もすることがなく、僕は昼にサッカーチームの練習、夜はバレーボールチームの練習をしていました。日曜日にはよく友達とかとピザの出前を頼み一緒に食べていました。 最後に 以上がコンコルドでの1日でした。「ボーディングスクールってどんなところ?」とて気になっている人にとって、この1日の流れが少しでもイメージの助けになればうれしいです。イギリスでの留学生活に進む一歩のきっかけになれたらいいなと思います。 https://passporter-media.com/articles/18/

イギリスの大学の成績評価方法と課題をこなすコツ【現役ロンドン大学生が伝授】

こんにちは!Goldsmiths, University of London(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)でメディアを勉強しているKotokoです。 今はちょうど大学1年目が終わって夏休みに入り、1年次の成績も出ました。今回は、1年生の間に受けた授業のテストや課題をもとに、成績の評価方法についてお伝えしたいと思います。なお、ここで紹介する評価方法は私が通っているGoldsmithsでの一例であり、大学や専攻によって異なる場合があります。参考としてご覧ください。 イギリスの大学の学期と成績評価方法の概要 まず、イギリスの大学は日本と違い、秋入学で、秋(9〜12月)、冬(1〜3月)、夏(4〜6月)の3学期制を採用しているところが多いです。 また、評価方法も日本のように期末試験だけに重きを置くのではなく、エッセイや課題提出、プレゼンテーションなど多様な評価方法をバランスよく取り入れているのが特徴です。 私は1年生で秋タームに3つ、春タームに3つの授業を受けました。夏タームは授業がなく、主にテスト期間として設定されていたため、今回は秋と春の授業に絞って評価方法を詳しく紹介していきます。 ゴールドスミスカレッジ: 秋タームの授業と評価方法 Introduction to Promotional Media この授業では、私の専攻であるPromotional Mediaの基礎について、歴史的背景や主要な理論を中心に学びました。広告、PR、ブランディングといったプロモーションの役割や、メディアとの関係性について、理論的に深掘りする内容でした。 評価方法①:エッセイ(800 words) – 30% 授業で扱った理論を使って、ある事例を分析する課題でした。初めての大学の評価課題だったこともあり、リサーチや構成にかなり時間がかかりましたが、テーマが身近だったので、取り組みやすかったです。 評価方法②:エッセイ(2000 words) – 70% 先生が提示した7つのテーマから1つを選び、授業で学んだ内容を活かして深く掘り下げる課題でした。最低5つの学術文献を引用する必要があり、リサーチ力と論理構成力が求められました。プレッシャーはありましたが、時間をかけてじっくり書き上げることができました。 Introduction to Marketing この授業では、マーケティングの基本についてセミナー形式で学びました。 評価方法①:エッセイ(1500 words) – 50% 授業で学んだマーケティングの理論を使って、最近のマーケティング関連ニュースを分析するという課題でした。冬休み前の提出だったので普段の授業の予習と並行して進める必要があり、正直なところ計画的に取り組むのが難しかったです。 評価方法②:試験(1時間半) – 50% 夏タームに行われた手書きの筆記試験で、当日提示された3つの質問の中から2つを選び、エッセイ形式で回答します。お題が事前に知らされなかったので、重要な理論や研究者の名前をしっかり暗記して、スペルミスなく書く必要がありました。私にとって、この試験が最も難しく感じました。 カフェで試験勉強に取り組んでいる様子 Writing for the Media この授業は、これまで紹介した2つの授業とは違って、より実践的な内容でした。専攻生全員が2つのグループに分けられ、少人数で行われたのも特徴です。授業時間も1〜2時間ではなく、お昼休みを挟んで午後4時ごろまで続く長めの授業です。先生との距離も近く、実際に手を動かしながら学ぶスタイルでした。主に、新聞記事やSNS投稿など、“書くこと”に特化したメディア表現について学びました。 評価方法①:エッセイ(1000 words) – 30% 授業で習った理論を使って、SNS投稿など実際のメディアの例を1つ選び、分析するという課題でした。 評価方法②:ポートフォリオ制作 – 70% 自分で1つキャンペーンを考案し、そのキャンペーンに関する以下の内容を含んだポートフォリオ(2500〜3000 words)を作成しました: スローガンと概要 Q&A(インタビュー内容を記事化) プレスリリース ソーシャルメディア投稿(10個) 冬休み明けの提出だったため、冬休み期間を使ってじっくり取り組むことができました。実際に手を動かして作る経験ができる授業で、学びがとても濃かったです。 また、このポートフォリオ制作に向けて、フォーマティブ課題※としてプレゼンテーションを行う機会がありました。これは成績には含まれませんが、先生からのフィードバックをもとに自分の企画をより良いものにブラッシュアップできたので、実践に活かせる貴重な時間でした。 ※評価の種類 イギリスの大学では、評価には大きく分けてFormative Assessment(フォーマティブ評価)とSummative Assessment(サマティブ評価)の2種類があります。 フォーマティブ評価:成績には影響しない練習課題やプレゼンテーションなどを指し、学びの途中でフィードバックをもらうためのものです。自分の理解度を確認したり、本番課題の準備をしたりする目的で行われます。 サマティブ評価:最終成績に反映される正式な課題(レポート、試験、ポートフォリオなど)で、学期の終わりや一定のタイミングで提出します。 ゴールドスミスカレッジ: 春タームの授業と評価方法 Culture and Cultural Study この授業では、「文化」という広いテーマを、歴史、メディア、ジェンダー、ポピュラーカルチャーなど様々な視点から学びました。講義スタイルで進行し、理論的な内容が多かったのが特徴です。 評価方法:エッセイ(1000 words×2) – 各50% 春休みの2週間の間に、出された10個のトピックの中から2つを選んでエッセイを書く形式でした。 また、これに先立ち、春休み前にはフォーマティブ課題として500 wordsのエッセイがありました。TikTokの動画を選び、授業で習った材料を使って分析する内容です。私は先生からもらったフィードバックをもとに春休み中の本番エッセイに活かしました。 Media Art この授業では、メディアアートとは何かについて、様々なジャンルのメディアアート作品を通して学びました。 評価方法:メディアアート・プロジェクト(動画+エッセイ) – 100% この授業の評価は1つの課題に集約されていて、メディアアート・プロジェクトとして、自分で1〜2分の動画作品を制作し、さらにその作品のコンセプトや使用した手法などを900 wordsのエッセイで解説するものでした。動画はTikTokやCapCutなどの編集アプリを自由に使って制作し、YouTubeにアップロードして提出しました。春休み明けの提出だったため、時間をかけて仕上げることができました。 またこの課題に向けたフォーマティブ課題として、春休み前にエキシビションレポート(750〜800 words)がありました。メディアアートの展示を実際に見に行き、そこで出会ったアートワークとアーティストについて分析する内容で、本課題に向けた良い準備になりました。実際に自分で作品をつくるというユニークな経験ができた授業で、表現と分析を同時に学べる貴重な機会でした。 Tate Modernで見たCildo Meireles Web Design この授業は、先に紹介したWriting for Mediaと同様に、少人数グループでの実践的な内容でした。授業は朝10時から夕方4時までの長時間で、じっくりと制作に取り組める環境でした。 授業では、秋タームに作成したキャンペーンのポートフォリオをもとに、Webサイトを一から制作し、そのアクセス状況をGoogleアナリティクスを使って分析することが求められました。 評価方法①:Webサイトプランの提出 – 10% どんなWebサイトを作るか、ロゴやカラーなどのデザイン要素をまとめた企画書を提出しました。 評価方法②:Webサイトポートフォリオ – 90% 完成したWebサイトのリンクに加え、500〜800 wordsのGoogleアナリティクスを用いたアクセス分析レポート、そして1000〜1500 wordsのSelf-reflective essay(自分がWebサイト制作を通じてどのように成長したかを振り返るアカデミックなエッセイ)を含むポートフォリオを提出しました。 この授業では、企画から制作、分析、振り返りまで一連のプロセスを実践的に学べ、非常に充実した内容でした。 最終評価の仕組み ここまで秋タームと春タームでの各授業の評価方法をご紹介しましたが、最終的にPass(合格)かどうかは、それぞれの授業で得た成績の合計点に基づいて判断されます。私の通うGoldsmithsでは、各授業の評価で40%以上を取るとその授業はPassとみなされます。 秋の授業の評価結果は、冬休み明けに発表され、冬の授業は春休み明けに発表されます。そして、それらを合わせた1年次全体の成績は夏休みの初め頃に届きました。 私は無事すべての授業に合格することができましたが、万が一落ちてしまった場合でも、夏休み中に再提出や再試験の機会があるので、あまり過度に心配する必要はないと思います。 イギリスの大学で良い評価をとるためのコツ 実際に1年間、課題やエッセイに取り組んでみて、「これは大事だな」と感じたポイントを紹介します。 課題の指示書は注意深く読む エッセイやプレゼンの課題には、必ずassignment brief(指示書)があります。そこにはトピックだけでなく、フォーマット(段落構成・引用方法など)や評価基準も書かれています。書いている途中でも、何度も見返してちゃんと指示通りにできているか?を確認することがとても大事です。 言いたい内容を最初に伝える 英語のエッセイやプレゼンでは、最初のパラグラフで自分の主張やトピックをはっきりと伝えるのが基本です。これをthesis statementと言います。日本語の文章のように結論を最後に持っていくのではなく、英語では最初に要点を伝えるスタイルが好まれるので、意識してみてください。 指定のリーディングから引用する 授業ごとに、先生が選んだreading list(リーディングリスト)があります。そこに載っている文献や資料からの引用は、課題の評価を上げる上でとても効果的です。先生が大事と思っている資料を理解し、それを課題で活用することで、評価につながりやすくなります。 大学のサポートを活用する 多くの大学には、留学生や英語が母語でない学生向けに、文法やエッセイ構成を見てくれるAcademic Writing Supportのようなサポートがあります。Goldsmithsにも図書館にそのスタッフがいて、私は毎回予約してチェックしてもらっていました。質問もできて、エッセイの質がかなり上がるのでとてもおすすめです。 エッセイや課題で使える便利ツール&ウェブサイト 1年間を通して、課題などを進める中で先生や友達から教えてもらった、勉強に役立つ便利なツールを3つ紹介します。 Canva 私はプレゼン資料(パワーポイント)の作成や、エッセイの構成を考えるためのマインドマップとしてよくCanvaを使っていましたが、他にもチラシや履歴書(CV)、Webサイトまで簡単に作成できるのでとても便利です。テンプレートが豊富で、初心者でも見やすくおしゃれなデザインがすぐに作れます。私も春タームのWeb Designの授業でマインドマップをCanvaで作りました。 Web Designの授業で作ったマインドマップ My Bib My Bibでは、エッセイの最後に載せるreference list(参考文献リスト)を簡単に作ることができます。まず、大学に指定されている引用スタイル(例:Harvardなど)を選び、そのあと参考文献のタイトルやURLなどを入力すると、自動的にリストに追加してくれます。In-text citation(文中引用)にも対応していて、私はエッセイを書くときに毎回使っています。 Plagiarism / Grammar Checker エッセイを書くときに特に注意したいのがplagiarism(盗作)です。誰かの文章をそのまま使うときは “ ”(ダブルクォーテーション)で囲む必要がありますし、パラフレーズ(言い換え)をする場合も出典を明記する必要があります。私はエッセイを書き終えたら、Plagiarismで自分の文章をチェックし、無意識に盗作になっていないか確認しています。 同じサイトにはGrammar Checkerの機能があり、文法やスペルミスをチェックできます。特にイギリス英語とアメリカ英語でスペルが違う単語(例:colour / color)なども見直せるので、提出前の最終チェックにおすすめです。 まとめ ファウンデーションコースと比べて、大学1年生では毎週の予習(リーディングリストに沿った文献を読むこと)が増え、最初は少し大変に感じました。でも、留学生でもしっかり授業に参加し、課題にも時間に余裕を持って取り組めば、十分やっていけると実感しました。 今回紹介した授業の内容や評価スタイル、アドバイス、便利なツールなどが、これから入学される方や1年次を迎える方の少しでも参考になれば嬉しいです。 そして何より大切だと感じたのは、わからないことは遠慮せず質問すること、大学のサポートサービスを積極的に活用すること、そして無理をしすぎず、自分のペースを大事にすることです。 これからの大学生活が、皆さんにとって実りあるものになりますように。応援しています! https://passporter-media.com/articles/16/

イギリス医学部留学記:グラスゴー大学で学んだ5年間と研修医生活

こんにちは!Yuiです。イギリスに15歳の時に単身留学し、2022年にUniversity of Glasgow(グラスゴー大学)の医学部を卒業しました。前回までは大学に入る前までのことでしたので今回は医学部での経験について書きたいと思います。 https://passporter-media.com/articles/6/ https://passporter-media.com/articles/9/ イギリスの医学部受験 当時(2016年頃)のイギリスにはスコットランドを含め、医学部を持つ大学は30校ほどしかなく、すべて国立大学でした。定員は大学によって異なりましたが、留学生は全体の7.5%までという決まりがありました。 UCASを通して出願し、Medicine(医学科)は最大4校まで受けられますが、大学によって必要な試験が異なりました。A-levelなどでの良い成績はもちろんのこと、UKCAT(今はUCAT)やBMAT(現在は廃止だそうです―詳しくはこちらを参照ください)などの適性検査が必要でした。 それをクリアすると最大の難関は面接でした。面接では世界中の留学生が集められ、シンガポールやマレーシア、ヨーロッパからの志望者が待合室にいました。 イギリスの医学部選びのポイント PASSPORT運営元の留学エージェント「Moi Education」の医学部のページにもあるように、大学によって入試も異なればその大学の教え方も異なります。そのため、自分に合った方針の大学や、学生の多さなどを考慮して4つまでの大学を選びます。 授業スタイル イギリスの医学大学の授業はPBL(Problem Based Learning)、Traditional learning(伝統的な授業)あるいは両者混合のIntegrated learning style(統合型授業)という教え方の違いがありました。 PBLとは、レクチャーではなく小さいグループに分かれて話し合いながら勉強をするという方法です。Traditional learningはレクチャーのみで勉強する方法です。主にオックスフォード大学とケンブリッジ大学がそれを実施していました。ほとんどの大学がPBLを取り入れていて、統合型授業(PBLとレクチャーの混合)の場合とPBLだけの大学がありました。私が卒業したグラスゴー大学は統合型授業を採用していて、それも選んだ理由の一つでした。 私はそれに加え、あまり大きすぎない大学が良かったのと、当時数少なかった解剖学の授業で実際の人体の解剖ができると言われていた大学だったことを理由にグラスゴー大学を選びました。 グラスゴー大学医学部1、2年目の時間割: 解剖学 グラスゴー大学の医学部は他の理系の学部と別なので入学直後から医学の勉強が始まりました。最初から皮膚の構造について授業がありました。スコットランドに着いたばかりの私にはスコティッシュアクセントが難しく、教授のほぼ全員がグラスゴーの人だったので授業を聞き取るのにも苦労したのを覚えています。 入学したときにもらったgoody bagに入っていたもの 1年目のレクチャーは朝に医学部のホールで行われ、お昼休憩の後は解剖学などラボの時間でした。ホルマリンに漬けられたご遺体がいくつもある部屋に入り、実際にメスを渡されて解剖していきます。週ごとに習っているトピックに合わせて教授の指示に従って解剖していきました。始める前にはご献体くださった方に感謝の気持ちを込めてお祈りをしました。 週2くらいの頻度でPBLがあり、それ以外はレクチャーでした。PBLではレクチャーで習っていることと同じ内容で、患者さんの事例が渡され、担当の先生(教授ではなく医師)を含めてグループでディスカッションを行います。 PBLの授業で先生が描いた膵臓とその周辺の臓器 PBLの他にもVS(Vocational Studies)という授業があり、同じくグループに分かれます。この授業ではコミュニケーション力を上げたり、道徳的な話し合いをしたりする場でした。Breaking bad news(癌の診断報告といった残念な結果の告知の仕方など)や怒りを表す患者さん、そして性病の診断結果の報告など、難しいコミュニケーションの場でどう対応するかを習いました。 先生がまず見本を見せたあとグループ内で話し合います。その後1人ずつカメラのついた部屋に行き、患者役のボランティアさんに対して指定されたやり取りを行います。グループ全員で1人ずつのパフォーマンスを評価します。とても緊張しますが、毎週のようにあったので段々と慣れていき、自信がつきました。 病院実習の始まり 1年目は1ヶ月に1、2回だけ、病院に行ってグループでBedside Teachingがありました。これは実際に入院している患者さんに先生が許可をとり、患者さんの病名を知らない状態でグループごとに質問をし、病名を当てる授業でした。その後その病気について話し合い、学ぶ場でした。やはり最初の方でこれを経験できるのはとても楽しかったです。時々GP(General Practitioner/かかりつけ医)にも行き、GPでよくみられる病気の話や、対処法、そして在宅医療などの勉強もしました。 2年目からは2週間に1回くらいに増え、3年生では週2回ほどありました。 魔の3年目 グラスゴー大学では3年次が一番きついとされていました。最初の15週間は週3回朝から晩までレクチャーを受け、残りの2日は一日病院実習か、GP実習でした。時々レクチャーの時間の代わりにCBL(Case Based Learning)というPBLよりも実習につなげたグループ(私は正直PBLとの違いはあまり感じませんでした)での授業もありました。 その15週間が終わると、とても大きな大事な試験があり、それに合格すると本格的な実習が始まるのでした。 急な臨床実習漬けの毎日 試験合格の翌週から実習が始まりました。数人ごとに病院と科が分けられます。だいたい同じ病棟には1人、多くても2人でした。私は最初にCCU(Coronary Care Unit/冠動脈疾患集中治療室)に割り振られ、病棟に着きましたが私を待っているような人はいませんでした。みんな忙しなく動いている中ぽつんと立ち止まっていると、看護師さんが話しかけてくれました。医学部生だと言うと、「医師はみんなあっち行ってるよー」とだけ言われ、どうしたらいいかわかりませんでした。 そのまま動けないでいると、HCA(Healthcare Assistant)の方が荷物置き場を教えてくれ、荷物を置いて出てくると看護師さんが「もしかして臨床実習初めて?」と察してくれました。そうだと伝えると、医師を一緒に探し、紹介してくれました。 医師からはなんの指示もなく、とりあえず「Follow me」とだけ言われたので、ただひたすら必死について回りました。このように臨床実習では教えてくれそうな医師を捕まえ、同行していいか聞き、医師の仕事を見学します。運が良ければ結構教えてくれる医師もいて、運が悪ければ邪魔扱いされながら1日を過ごしました。 回診の時間には医師と一緒に病室を巡回し、ただよくわからないままついて回りました。決められた授業などがある時は抜けて授業に行き、大学から与えられたチェックリストをこなしていかなければなりませんでした。そのチェックリストには「問診をする」「循環器の身体診察をする」「血圧を測る」「心雑音を聞く」「心筋梗塞の患者さんの話を聞く」などいくつもの項目がありました。 GlasgowにあるQueen Elizabeth University Hospital その科の臨床実習が終わるまでにチェックリストの項目をすべて達成し、その科の医師からサインをいただき、提出することが必須でした。その他にもPhysiotherapist(理学療法士)やOccupational therapist(作業療法士)などの医療従事者について回る日もありました。 一応それぞれの科にEducational Supervisor(教育担当指導医)という実習生担当の先生(医師)がいて、実習が始まった数日後に1回、終わる時に1回ミーティングをします。しかしみんなとても忙しいので記憶にあまりないくらいその2回以外は関わってくれず、ミーティングの時間を確保するのも一苦労でした。最後に出席率や態度、やる気が評価されると“Merit”が与えられました。 3年生は一般内科と一般外科をいくつか回りました。3年目が終わると、Intercalationといって一旦医学部から抜け、他の学士号(提携している科目のみ)を1年で取得することのできるコースもありました。私は残念ながらやりませんでしたが、それで学士号をもう一つ取得することで就職に有利になることもあります。 4年目: 本格的な病院実習へ 4年生になると授業はほぼ病院内で行われるので、キャンパスに行くことはほとんどありませんでした。色々な病院を回るので車がないと不便でした。 コロナの後からできた医学生専用のscrubs(医療用白衣) 更に10週間ずつ一般内科と一般外科を回り、レベルアップしたチェックリストをこなすと同時にPortfolioの提出が必要でした。それには自分が選んだ患者さんのケースレポートと、その病気についての論文らしきものを書きました。 その合間にも授業があり、一般外科と一般内科が終わるとまた試験がありました。それに合格すると他の科の実習が始まりました。 私の代はここでコロナのパンデミックが始まり、一時中断になりました。 5年目と最終試験: OSCEとは 最終学年では最終試験に向けての勉強はもちろんのこと、実習や課題もひたすら出されました。神経内科、形成外科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科、小児科、救急科、精神科そしてGPを回りました。それぞれのチェックリスト、そしてレポートは相変わらず必須でした。 それに加え、Prescribing Safety Assessmentという処方するための試験もあり、それにも合格しないと卒業して研修医が始まってから処方だけできないことになるのです。ただしこの試験は当時おそらく年3回くらいチャンスがあり、研修医1年目の終わりまでに合格すればいいとのことでした。 実習の終了から試験までわずか2週間しかなく、実習も毎日5時まである中で勉強するのは大変でした。筆記試験では記述問題と選択問題の2つがありました。それに加え、OSCE(Objective Structured Clinical Examination/客観的臨床能力試験)という臨床試験もありました。 OSCEでは小部屋にそれぞれ試験監督の先生とボランティアの他の学年の学生や役者さん、病院の患者さんのいずれかがいます。受験生は1人ずつ部屋のドアの前に立ち、1回目の笛が鳴るとドアに貼ってあるInstructionを読みます。そこには「あなたは2年目の医者です。患者は38歳の女性、主訴は頭痛。問診をし、CNS examinationをしなさい」などという情報があります。2回目の笛が鳴るとノックをして部屋に入り、自己紹介から始めます。 そこでコミュニケーション力、理解力、知識、そして与えられた項目を正しく実施するかなどで総合得点がつけられます。試験監督がその後質問をしてくることもあります。患者さん役の人があえて難しく反応してくることもあり、対応力を試されます。 このような形式の試験を連続で4つ行い、それが4日間続きました。 この試験もある一定の数を合格しないと卒業できません。毎年多くの学生が落第しますが、筆記は得意でもOSCEのせいで落第してしまった学生も少なくありませんでした。 そのくらい重要でしたので、試験勉強しながらも週末に何人かの友達と集まり、3、4時間かけてお互いに模擬OSCEをして練習しあいました。 イギリスの医学部卒業後と研修医生活 今は変わってしまいましたが、私たちの代は最終試験の前にもう一つ適性検査があり、その結果に応じて研修先の病院が決められました。現在はこの試験は廃止され、研修医の勤務先はランダムになったそうです。しかし、これも不評のため再び変更される可能性もあるようです。 最終試験に無事合格すると6月末に卒業式があり、そこからは正式に自分のことをドクターと呼べます。そして8月の最初の水曜日から与えられた病院で研修医が始まります。最初は仮免許状態で働くのですが、オピオイドの処方ができないなどの小さな制限以外は他のジュニアドクターとほぼ同じでした。 医学部の卒業式典の様子 卒業式 研修医の時にも担当のSupervisorがいて、定期的に業務の経過報告をします。お給料も入り、本格的に医者としての仕事ができ、医学生の時よりも毎日が充実していて楽しかったです。 研修医の間も同じくチェックリストのようなものがあり、しっかりとすべてをこなさないといけませんでした。授業も週1でお昼休みにあったのでその出席や、ケースレポート、先輩医師とのディスカッションなど、仕事の合間を縫って行わなければなりませんでした。CAPSというClinical procedure(臨床手技)のチェックリストもありました。 同期や他の医療従事者からの評価も必要で、それをすべてクリアすると2年目に上がれます。2年目は本免許になるのでできることが少し増え、同様にクリアすると研修医修了書がいただけます。 その後のキャリアは人それぞれで、専門医になったり、いろいろな科を転々としたりするなどさまざまです。最近ではイギリスの医師免許の書き換えだけで行けるオーストラリアに1、2年行く人も増えました。 最後に 医学部の勉強は決して楽ではなく、試験のたびに涙しながら勉強していました。卒業の日を夢見て頑張ってきたからこそ、最終試験に合格した時の気持ちは今も忘れられません。 医者の道を進んで本当に良かったと思いますし、私を育ててくれたグラスゴー大学にも感謝の気持ちでいっぱいです。

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イギリスのNHS利用|留学生が知っておきたい医療サービス

イギリスの病院に行くとき、多くの人はNHS(エヌ・エイチ・エス National Health Service)という公共の医療制度を利用しています。留学生もビザ申請時に健康保険付加料(IHS)を支払えば、NHS提携の公立病院を受診できます。ですが、NHSをうまく活用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があるんです。 この記事では、留学前に知っておきたいNHSの基本的な使い方や、ビザ申請時に支払うIHSについて、さらに病院やGP(かかりつけ医 General Practitioner)の違い、実際に病気になったときの流れまでわかりやすく解説します。 Haruna これまでに何度もイギリスの病院を利用している現地在住者が解説します!どんな流れで医療サービスが受けられるのか、ぜひ参考にしてみてくださいね。 イギリスのNHSって何?医療制度の基本 はじめに、イギリスの公的医療制度「NHS」の仕組みや利用方法についてわかりやすく解説します。 NHS(National Health Service)の概要 1948年にスタートしたイギリスのNHS(National Health Service)は公的な医療制度です。特徴は、多くの医療サービスが無料だったり、もしくは低料金で受けられること。留学生ももちろん対象。ビザ申請時にIHS(健康保険付加料)を支払うことで、NHSのサービスを使えます。 一部は自己負担になる場合もありますが、一般診療、救急医療、入院治療、妊産婦ケアなど幅広いサービスが無料です。 IHS(Immigration Health Surcharge)について イギリスに6か月以上滞在する留学生は、ビザ申請時に「IHS(Immigration Health Surcharge)」を支払っておくことで、ビザの開始日からNHSの医療をイギリス住民と同じように利用できるようになります。料金はビザの有効期間によります。 ビザの期間ごとのIHS料金 ビザの期間料金 ポンド/円6か月以下なし(申請がイギリス国内の場合は£388 / 約73,720円必要)6か月超〜1年未満£776 / 約147,440円 (1年分)1年£776 / 約147,440円1年超〜1年6か月以下£1,164 / 約221,160円 (1年半分)1年6か月超〜2年未満£1,552 / 約294,880円 (2年間分)2年£1,552 / 約294,880円 参考 https://www.gov.uk/healthcare-immigration-application/how-much-pay ※上記の内容は2025年5月時点での料金と為替レート(1ポンド=190円)です。IHS支払い時には最新の情報を必ずご確認ください。 オンライン上でビザ申請時にコースの開始日と終了日を入力し、デビットカードかクレジットカードで支払います。もしも支払いを忘れたり、金額が足りていないと UK Visas and Immigration(UKVI)からメールで知らされます。指定期間内に全額を支払わない場合はビザの申請が却下されてしまいます。 病院とかかりつけ医の違い(Hospital と GP) 日本では、自分の症状をベースに専門医を選んで直接病院に行くことが多いですよね。しかし、イギリスではまずかかりつけ医であるGP(General Practitioner)を訪問し、そこから病院(Hospital)の専門医を紹介してもらう流れです。 病院の外来は基本的に紹介制で、専門的な検査や手術、入院治療が必要な場合に利用します。救急(Accident and Emergency)でなければ、基本的にはGP→病院の流れが一般的です。 GPで相談できること GPは地域の診療所、かつ最初に相談する窓口で、必要に応じて病院や専門医を紹介してくれます。風邪や体調不良、慢性的な症状など病気や健康全般について相談でき、処方箋も出してくれます。 GPで診てもらい検査に進む場合は、その結果が出てから精密検査や追加診療で専門医のいる病院に紹介されるケースが多いです。診察は対面のときもあれば、GPに行かずに電話で遠隔診療する場合もあります。 閑静な住宅地にひっそりとたたずむGP 渡英後はまず「GP登録」から始めよう イギリスに到着したら、なるべく早めに「GP(かかりつけ医)」への登録をしましょう。登録のタイミングや方法をここからお伝えします。 登録のタイミングと方法 GPの登録方法は、直接GPに行くかオンラインのどちらかです。大学によってはキャンパスに近いGPを紹介しているので、スタッフに尋ねてみましょう。 GPの登録方法 ①GPを探す NHSの公式サイト「Find a GP(GPを探す)」から、新規登録者を受け入れているか、受付時間、利用者の口コミを確認できます。自宅から近く便利なGPに登録する人が多い傾向にあります。 ②登録フォームに入力/記入する 登録フォームは、各GPのウェブサイト、NHSアプリから入手できます。GPで渡される用紙も可能です。 【登録に必要な情報】 氏名 住所 生年月日 学生ビザ証明の共有コード(Share Code) 連絡先(緊急連絡先も含む) 現在の健康状態・病歴 アレルギーの有無 服用中の薬 など 身分証明や住所証明についてはGPによります。地域内の住民のみを受け入れているGPへの登録には、住所証明を用意した方が無難です。また、なかには新規の登録者を受け入れていないGPも。 もしも、留学中に住所が変わる場合はGPへ報告しましょう。NHSの予約に関することや検査結果などが郵便で送られてくることがあります。引っ越し先が登録中のGPの地域外でも、新居に近い新しいGPに移ることができます。 GPの予約方法・診察の流れ 診察は予約制です。コロナのパンデミックを経て、多くのGPでは感染拡大を避けるために、予約をしてからGPへ来てもらう形を取っています。予約方法は、電話、もしくはオンラインです。電話予約はすぐにつながらず、かなり待たされる場合も。オンライン予約を実施しているGPでは、NHSアプリや各GPの予約サイトからリクエストできます。 私が登録しているGPの場合は、GPの予約システムからメッセージ形式で問い合わせをし、少し待ったあとにメッセージや電話で返信があります。問い合わせ内容によっては、看護師や医師と遠隔で会話し、そこで診察が終わる場合もあります。もしくは対面での予約日を決めていきます。 オンラインのいいところは、問い合わせ内容を細かくテキストで伝えられるところです。電話での会話では医療専門用語がすぐに出てこず、詳細をすべて伝えきれないことも。オンラインで履歴を確認できるため、あとで詳細を振り返るのにとても便利です。近年どんどんオンライン化が進み、以前よりサービスの手軽さが上がったと感じています。 夜間や土曜日に予約が取れることもあり、大学のスケジュールに合わせて利用できるのは留学生にとってもうれしいですね。 実際に病気になったら?病院の使い方ステップ 実際に体調を崩したとき、どうすればいいのか不安に感じる方も多いかもしれません。ここでは、症状が出てから病院で診てもらうまでの流れや、緊急時の対応まで、具体的なステップをわかりやすく解説します。いざというときの参考にしてくださいね。 【NHS利用】症状が出てから病院へ行くまで ここでは、GPや病院などNHSを利用するフローの例をご紹介します。長年NHSを利用しているなかで遭遇した、よくあるパターンをシェアさせていただきますね。 NHS利用の流れ 問い合わせ(電話、オンライン) 問診(GP、電話、ビデオ通話) 必要に応じて診察や血液検査や尿検査などの実施(処方箋のみの場合もあり) 検査結果を聞く(GPか電話の場合が多い) 治療が必要な場合は処方箋をもらう or 病院紹介 【病院紹介の場合】 病院での診察予約に関する手紙が届く(病院が指定する予約日時の記載あり) 指定された予約内容を変更したい場合は病院に電話 予約日時の希望を伝え、確定 病院で診察・検査 GPで結果を聞く(病院の検査結果がGPに送られる場合) ※追加で検査を実施する場合は医師から連絡があり、新しい予約日時を相談する流れになります。 病院はGPと違って、多くの専門科が揃っており規模が大きいです。施設が広いため、初めて訪れる場合は指定の場所を見つけるのが難しいことも。予約時間の前に早めに到着しておきましょう。 病院の内部 NHS 111の使い方 NHS 111は、電話やオンラインですぐにGPにつながらない場合や、GPの診療時間外でも相談したいときに利用できる便利なサービスです。まずは電話かオンラインで問い合わせることで、どういったアクションを踏めばいいかをアドバイスしてくれます。相談内容によって対応は変わりますが、以下のような例があげられます。 看護師からの折り返し電話を予約 夜間・週末のGP診療を案内 歯科やメンタルヘルスなどの専門サポートを紹介 登録しているGPに連絡するよう指示 薬剤師に相談するよう案内 自宅で経過観察するよう指導 NHS 111では、病院の予約・キャンセルや診断書の発行はしてもらえないので注意してください。 参考 https://www.nhs.uk/nhs-services/urgent-and-emergency-care-services/when-to-use-111/ 緊急の場合はどうする? GPの診察を待てずに急いでいる!そんなときは緊急外来(A&E)や救急車(999)を利用します。 まず、A&Eについて。 A&E(Accident and Emergency/事故・緊急外来)は、GPの予約を待っていられないほどのつらい症状や怪我があるなど、緊急性の高い場合に利用します。Accident and Emergencyのほか、Emergency Department(救急部)やCasualty(救急)とも呼びます。着いたらまず受付で症状を伝えます。 過去に利用した感想は、とにかく待ち時間が長いということです。予約を取らないことと、重症患者が優先されるため、先に着いているのに後から来た人が早く診てもらっていたりします。診察の流れは、各自の状態によって変わります。 緊急時の例 緊急性が低く深刻でないと判断→GPの予約をすすめられる、処方箋をもらう 緊急の場合→専門病棟に移り場合によっては入院 病院の正面玄関と別にある緊急外来用の入り口 緊急外来ではとても待てないような、命に関わる緊急時であれば、999へすぐ電話を。交通事故や発作など重大なシチュエーションには迷わず利用しましょう。電話で聞かれる内容は、場所、999にかけた理由、連絡先など。救急隊員の到着を待っている間ににできることや、どれくらいで着くかも教えてくれます。 黄色と緑が目印の救急車  処方薬と薬局の使い方 診療後に薬が出されたら...?ここからは、NHSの処方薬の受け取り方や薬代について、基本的な情報をわかりやすくまとめました。 薬はGPが発行する「処方箋」で薬局でもらう GPでの診察が終わり、処方薬が必要であれば処方箋が出されます。診察後にGPと連携している近隣の薬局(Bootsなど)に行き、Prescription(処方箋)というコーナーでスタッフに自分の生年月日、名前、住所を伝えると、あらかじめ用意してある薬が手渡され、支払いに進みます。 薬局内の処方薬受け取りカウンター 薬代の仕組み NHSで処方してもらう薬の料金は、2025年の時点で処方薬1品につき※£9.90(約1,880円)です。ひとつの処方箋に複数の処方薬がある場合は、すべての薬の合計金額を支払います。ですが、留学生でも18歳以下で大学やカレッジでフルタイム教育を受けている学生はNHSの薬代が無料です。 処方薬が頻繁に必要な人は、処方箋前払いシステム(Prescription Prepayment Certificate)を利用するのも手です。各自のケースが対象になるかの確認は必要ですが、利用できる場合はかなりお得です。 例えば有効期限が3か月間のPPCは、事前に£32.05(約6,090円)支払えば、有効期間中にいくつでも薬を受け取れます(一部は適用外)。PPCの購入はオンラインがメインで、申請日から有効です。申請を完了すると、メールでPPCの証明書が送られてくるので、薬を受け取るときに提示できると便利です。 ※上記の内容は2025年5月時点での料金と為替レート(1ポンド=190円)です。 参考 https://www.nhs.uk/nhs-services/prescriptions/save-money-with-a-prescription-prepayment-certificate-ppc/ 市販薬はスーパーや薬局でも買える 処方薬以外はどうでしょうか。結論として、スーパー、薬局で簡単に手に入ります。痛み止めや風邪薬、胃腸薬、花粉症などのアレルギー薬、目薬、塗り薬など種類は豊富です。自分に合えば、留学中にイギリスで薬を買って服用することもできるので、必ずしも日本から持ち込まなくてもなんとかなる場合もあります。 ※個人差がありますので、薬の調達については慎重に判断されることをおすすめします。 NHSと留学保険の違い これまでNHSのサービスについてご紹介してきましたが、イギリス留学中に本当にNHSだけあれば安心なのだろうか?と不安に思う人もいるでしょう。ここからは、NHSのサービスが対象外になる場合と、留学保険との違いについてお話ししていきます。 NHSで医療費の支払いが発生する例 処方薬1品につき£9.90(約¥1,880円)かかるとお伝えしましたが、そのほかにも支払いが発生する例があります。 ・歯科医療 ・眼科治療 ・かつらや布製の医療用サポーター NHSのサイトでは、歯科医療について、治療が始まる時点で18歳未満、または19歳未満で所定のフルタイム教育を受けている場合は、NHSでの歯科治療が無料になると伝えています(治療内容によっては費用が発生する場合もあり)。 治療費がかかる場合には、日本より高いと言われていますので、渡英までに歯の状態を診てもらうと安心ですね。 眼科の例では、街中の眼鏡屋で行っている一般的な視力検査なら£20(約3,800円)ぐらいから受けられますが、専門的な検査になるとさらに費用がかかります。眼鏡を作る場合、場所によっては学生割引が使えるので、検査の前にリサーチしてみましょう。 NHSを使って治療ができる街中の歯医者 Haruna 実は私も、イギリスで歯の詰め物が取れてしまって、数ヶ月放置したあとに日本の歯医者にかかったのですが、衛生的に良くない!こんなに放っておくなんて!とすごく怒られた記憶があります…。 留学保険で補える部分もある NHSのサービスがこれだけ充実しているのなら、留学保険はいらないんじゃ?と思う人も多いでしょう。しかし、留学保険に入ることで受けられる恩恵も多いのが事実です。 NHSの病院、つまりはイギリスの公立病院を利用するとなると、無料で診療が受けられる分、長く待たされることもザラです。問題の症状が落ち着くまでに、ある程度の時間を要すこともめずらしくないのです。その点、留学保険に入っておくことで、プライベートの私立病院が利用できます。ロンドンには日系クリニックが数件あるため、日本人ドクターに日本語でサポートしてもらえる点もありがたいです。 私がまだ学生だったころ、もうダメかと思うような辛い症状があったときや、小さな手術を受けたときもすべて留学保険が適用され、プライベートの日系クリニックを利用しました。電話一本ですぐに予約がおさえられ、スムーズな日本語のサービスが受けられたことで、改めて保険の大切さを知りました。 ※持病や既往症は補償されない場合がありますので、各保険会社に問い合わせてみてください。 医療以外のトラブルにも留学保険が活躍します。加入するプランによりますが、盗難や破損、飛行機の遅延も補償されるケースがあります。 「何がどこまでカバーされているか」知っておくと安心 NHSのサービスだけでいいの? 心配だから留学保険に入る?答えは人それぞれ。留学生のなかには、医療サービスにおいてはNHSだけでじゅうぶんだった、という人もいれば、留学保険があってよかった、という人も。しっかりとそれぞれの特性を把握したうえで、自分に合った選択をしてみてくださいね。 医療の備えは安心な留学生活の第一歩 イギリス在住の筆者も、これまでに何度もNHSのお世話になってきました。幸い、GPの受付スタッフや看護師、医師たちには毎回親切にしてもらっています。電話やオンラインでの問い合わせには、ほとんど返信があり、しっかり話を聞いてくれます。ただ、サービスの質に関してはGPによりけり、という声も多いです。GP登録をする際には、口コミをチェックしたり、同じGPに登録している学生の話を聞いたりと、下調べをしておくとより安心です。 安心して留学生活が送れるように、医療面での準備を万全にしておきましょう! https://www.nhs.uk

【実体験】イギリス留学準備術: 合格通知からビザ取得までの記録

3月に入り、イギリスの大学や大学院から合否結果が届いてきたと思います。大学からオファー(合格通知)を受け取るといよいよ本格的な留学準備が始まります。入学までには多くの手続きがあり、スムーズに進めるためには計画的な準備が必要です。本記事では、オファーを受け取った後の具体的な準備プロセスについて、僕の経験を踏まえて詳しく解説していきます。 合格結果の確認と入学手続き 出願してからオファーをAcceptするまで 合格結果が届く時期は大学や学科によって異なり、ここは待つしかありません。僕は出願した5校のうち4校は2月初旬までに結果が届きました。しかし第一志望の大学だけ3月までオファーが来ず、もどかしさを覚えました。遅くて7月ごろに結果が出る場合もあるそうなので、気長に待つことが大事だと思います。UCASのTrackシステムをこまめにチェックしましょう。 オファーの種類(Conditional・Unconditional) イギリスの大学からのオファーには、「条件付きオファー(Conditional Offer)」と「無条件オファー(Unconditional Offer)」の2種類があります。条件付きオファーは、IELTSスコアや最終成績の提出といった特定の条件を満たすことで合格となります。UCASで出願した全ての大学から合否が届いた後は、Firm Acceptance(第一希望)とInsurance Acceptance(第一希望に合格できなかった場合の第二希望)の大学とコースを選択します。第一希望の大学からUnconditional Offerをもらった場合はInsurance Acceptanceを選択する必要はありません。 オファーを受け取った後の対応 自分が受け取ったのが条件付きオファーの場合は手続きを早めに済ませることが大切です。通常、オファーの承諾期限が設定されているため、遅れないように注意しましょう。一部の大学ではInternational Students(留学生)がオファーを承諾する際、デポジット(Deposit - 入学金)の支払いが必要です。この金額は大学によって異なりますが、£1,000~£5,000が一般的です。支払期限も設けられているため、期日を確認して早めに対応しましょう。 不合格だった場合の選択肢(Extra・Clearing) もし出願した全ての大学が不合格(Unsuccessful)だったとしても、結果をもらった後に追加で一つのコースに出願できる「エキストラ(Extra)」と定員に達していないコースに出願できる「クリアリング(Clearing)」というシステムがUCASにあります。Extraは2月末から7月初旬まで、Clearingは7月中旬から9月~10月ごろまで行われます。期待した結果が出なかった場合でも諦めずに他の大学やコースにトライしてみましょう。  イギリス学生ビザ(Student Visa)の申請を徹底解説 イギリスでの長期留学には学生ビザ(Student Visa)が必要です。申請にはいくつかの書類が必要で、その用意やビザ発行までに時間がかかります。とにかく早めの行動が大事です。  必要書類 CAS 大学からのオファーを承諾し、パスポートなどの書類を提出すると、「CAS(Confirmation of Acceptance for Studies)」という入学許可証が発行されます。CASはビザ申請に必須な書類で、入学証明となる番号(CASナンバー)が書かれています。発行には通常数週間かかりますので、余裕を持って手続きを進めましょう。  パスポート パスポートの有効期間が留学期間をカバーしている必要があります。期限が短い場合、事前に更新しておきましょう。申請時にパスポートを提出し、そこにビザが発給されることになります。また、見開き2ページ以上の余白ページがあることも確認しておきましょう。  過去のパスポート 過去10年間の渡航歴を聞かれた時、昔使っていたパスポートがあると便利です。ただし、トランジットで立ち寄り、滞在期間が1日未満だった国も渡航歴に含まれます。こういった場合はパスポートにその記録がない時があります。できるだけ正確な情報を書くことが推奨されているので、僕は法務省の出入国在留管理庁というところで自分の渡航歴に関する開示請求を行いました。500円程度で調べてもらえます。https://www.moj.go.jp/isa/publications/privacy/record.html 英語力の証明書 大学によってビザ申請時に英語力の証明を求めるところもあります。GCSEやIBなどのスコアで証明できる場合と、イギリス政府が認定するSELT(Secure English Language Test)の結果しか受け付けてくれない場合があります。このSELTはイギリスのビザ取得専用の英語力試験です。中には「IELTS for UKVI」や「Pearson PTE Academic UKVI」などがあります。IELTSとは異なるもので、指定のスコアを満たすため改めて受験する必要があります。 申請費用と健康保険料(IHS) 申請時にはビザ申請料(£490)の支払いが必要です。さらにIHS(Immigration Health Surcharge)という健康保険料(£776×コースの年数)も支払います。IHSを支払うと、イギリス滞在中にNHS(国民保健サービス)を原則無料で受けられます。 ビザ申請の流れ 書類の準備ができたら、イギリス政府のUKVI(UK Visas and Immigration)の公式サイトから専用の申請フォームに情報を入力し、書類をオンラインで提出します。オンライン上の手続きが済んで、申請料及びIHSを支払うとVFS Globalのビザ申請センターの来館予約ができるようになります。日本には東京と大阪にビザ申請センターがあります。予約した日にパスポートを提出し、生体認証情(指紋と顔写真)を登録します。審査は通常3週間ほどかかり、終了しないとパスポートが返却されません。ビザはパスポートと共に返却されます。ビザ申請センターで受け取るか、郵送してもらうかを選べます。 審査開始後に財政能力証明書の提出を要求される場合があります。これはイギリスでの生活費をカバーできる資金があることを証明するためのものです。ロンドンの大学で勉強する場合は£12,492以上。ロンドン以外の場合は£10,224以上(授業料を除く)。つまりロンドンでの生活費: £1,438/月、ロンドン以外での生活費: £1,136/月: 9ヶ月分の生活費をカバーできる証明が必要です 。預金通帳や金融機関の取引明細書を英文に翻訳したものが必要です。あらかじめ準備しておくとビザ申請がスムーズに進むでしょう。  より詳しい流れについては下のサイトに説明してあるので、確認してください。https://www.westminster.ac.uk/sites/default/public-files/general-documents/student-visa-application-guide-applying-from-outside-uk-v2.pdf  申請は「何事も早めに」が鉄則! 前述の通りビザの審査には通常3週間ほどかかると言われています。繁忙期にはそれ以上の時間がかかることもあります。ビザ発行が渡英日に間に合わずフライトを変更せざるを得なかった友達が何人かいました。審査期間が多少長くなってもいいように、早めに必要書類を集めて申請することが大事です。「ビザ申請ドットコム」や「IMMIGRATION.UK」といったビザ申請を代行してやってもらえるサービスがあり、書類の翻訳など自分でできるか不安があった僕は活用しました。利用すれば必要な書類を揃えて代行者に提出するだけです。その後の申請フォームの入力やビザ申請センターの予約などは全部やってもらえます。  寮とシェアハウスの探し方 ビザ申請と並行して、イギリスでの住居を確保する必要があります。選択肢としては大学が運営している大学寮、民間の学生寮、シェアハウスなどがあります。 大学寮 vs 民間の学生寮の違い 同じ大学の人と交流できる大学寮は、初めての留学で最も安全で便利な選択肢だと思います。特にロンドンなどの都市部では、民間の賃貸物件の家賃が高いです。そのため、大学寮を利用することでコストを抑えられます。僕は大学1年の時に大学寮で暮らして、2、3年の時は民間の学生寮で暮らしていました。民間の学生寮だと、ロンドン中の大学から学生が集まるので他大学生との交流が深まります。ただし、これらの寮は人気が高く、申込期限が早いです。オファーを受け取ったらすぐに申し込むことをお勧めします。早めに申し込みをしなかったせいで、キャンパスから遠い場所にあったり、家賃が高い寮しか残っていなかったりという話も友達から聞きます。 大学が寮の情報を発信していますし、部屋の予約ができるResidence(住居)のサイトやWebポータルにも情報があるので、そこのSNSなどに登録して最新情報をチェックしましょう。  僕が住んでいた民間の学生寮 シェアハウス探しの注意点と便利サイト シェアハウスは費用を抑えつつ、学生のみならず現地の人々と交流できる点が魅力的です。ただし、契約詐欺や知らない人とシェアしなければいけないというリスクもありますので、信頼できるサイトを利用して物件を探し、可能であれば現地で内見してから契約を結ぶことが望ましいです。住居探しには、Rightmove(https://www.rightmove.co.uk/)やZoopla(https://www.zoopla.co.uk/)などの物件検索サイトが便利で、よく使われています。また、SpareRoom(https://www.spareroom.co.uk/)を利用すれば、ルームシェアの相手を見つけることもできます。  必須手続き: eVisaについて 返却されたパスポートに載っているビザはあくまで仮のEntry Clearance Visa(入国許可証)というもので、発行されてから90日まで有効です。正式なビザはeVisa(Online immigration status)という電子書類です。UKVIから送られてくる案内に従い、オンライン上でビザの申請番号やパスポート番号を登録して、アカウントを作成します。 イギリスに入国する際、パスポートのビザだけでなくeVisaの提示が求められる場合があります。そのため渡航前に手続きを済ませておくといいでしょう。これまではBRP(Biometric Residence Permit)カードという物理的な書類だったのでした。2025年の1月からオンラインに置き換わりました。 今回紹介したプロセスの他にも航空券を予約したり、持ち物を準備したりするなど、渡英までにやっておく必要があることはたくさんあります。それらについてはまた別の記事で書きますので、楽しみにしていただければ幸いです。CASやビザの発行などには思っている以上に時間がかかるものもあります。留学生活がスムーズに始められるよう、計画的に準備を進め、安心して渡英しましょう。  https://www.gov.uk/student-visa

UCL現役大学生の留学体験記!イギリス留学のリアルと道のり

京都からイギリスへ: UCL大学留学を決めるまで 自己紹介・バックグラウンド  はじめまして。Nanaです。京都市出身で、中学まで地元で過ごし、高校からイギリスの学校に進学しました。  現在は、University College London(UCL、ユニバーシティカレッジロンドン)でArts and Sciences(アーツアンドサイエンス)学科で勉強しています。一つの専門分野を3年間かけて学ぶ一般的なイギリスの大学とは異なり、この学科ではリベラルアーツ教育に似ていて、文理問わず幅広い分野の科目・デパートメントの授業を取ることができます。  留学を決意したきっかけ 中学2年生の時にスイスでサマースクールに参加した体験が留学を志した原点です。いろいろな国から生徒が来ていて、英語だけでなく、ドイツ語、イタリア語、フランス語などを操る同年代の生徒と出会いました。言語がもたらす新しい人との出会い、つながりや発見に心躍らされました。私もグローバルな世界で過ごしたいと強く思った経験でした。 学校選びから出発まで 本格的に留学を考え始めたのは中学2年生の冬あたりでした。サマースクールで訪れたスイス、友人がすでに留学していたアメリカとイギリスを留学先の候補にしましたが、結局イギリスとアメリカの学校に出願し、先にオファーが来たイギリスの学校に入学することに決めました。 友人に紹介してもらった留学エージェントを通して、学校の選定、受験、インタビュー(面接)を経て、イギリス南西部にあるTaunton School International(TSI、トーントンスクールインターナショナル)への入学が決まりました。インタビュー(面接)や試験はすべて、オンラインで行いました。 Taunton School International(トーントンスクールインターナショナル) の校舎 しかし、この時期(2020年)にちょうど新型コロナウイルス感染症が流行り始め、4月に予定していた渡英は先送りされてしまいました。イギリスには行けなかったものの、学校側がいち早くオンライン授業を導入したため、4月-6月の1学期間は日本の自宅で授業を受けました。思い描いていた留学の始まりではありませんでしたが、振り返ってみればホームシックにならず、少しずつ英語に慣れていく良い機会だったと思います。 Lancing College(ランシングカレッジ)のチャペル TSIではGCSEと呼ばれる中学課程に当たるものを1年間学習しました。2年目からはLancing College(ランシングカレッジ)という現地校に入学し、A-level経済、数学、応用数学、日本語を履修し、受験を経て、UCLに入学しました。 UCL大学生のキャンパスライフ ロンドンならではの魅力と学びの日々 現在通っているUCLはロンドン中心部にあり、1826年に設立された大学で、150を超える国から学生が集まる国際性と400以上のコースを提供し幅広い研究分野を持っているのが特徴です。ロンドンという大都市ならではの刺激的な環境もあり、学びだけでなく生活面でも多くの発見がある大学です。 University College London(UCL)に入学 リベラルアーツ型の学び: Arts and Science学科の特徴 大学ではArts and Science(アーツアンドサイエンス)と呼ばれるリベラルアーツの学科で勉強しています。この学科はイギリスの大学にしてはとてもユニークです。イギリスの大学では基本的に高校で専攻した教科を中心により深く学びます。例えば高校で経済を専攻すると大学でも経済学部やビジネス系の学部に進み、その学部で必修授業をとります。 しかし私の学部では多くの学問の知識をいかに融合させて社会課題の解決策にアプローチするのかに重きを置いています。こういった学問を英語ではInterdisciplinary studiesと呼び、分野横断的(学際的)な学びを意味します。社会課題を解決するのにもさまざまな切り口や専門知識が必要なうえ、分野が異なる人々と協力することも欠かせません。そのようなことを中心に学んでいます。 そのため、履修する授業の半分以上を自分で選択できます。学科の中で、3年間を通して全く同じクラスの組み合わせを取っている学生は誰一人いません。こういった環境が自分の学習生活を唯一無二にします。 実際に履修している授業紹介 私が今年取っている科目は、Principle of international public law(国際法)、Mathematical analysis, Real analysis(解析学)、Database system(データベースシステム)、Macroeconomics/Open and Closed economy(マクロ経済学)、Quantitative methods(定量調査)、Sustainable energy(持続可能エネルギー)、Mandarin(中国語)です。 分野がバラバラでそれぞれ全く関係なさそうに見えますが、Sustainable energyで学ぶエネルギー政策はMacroeconomicsの経済政策につながっていたり、Quantitative methodsで習得する基礎プログラミングはDatabase systemで応用できたりと、他の学生とは違った視点で問題の解決法を見いだすことができます。 課外活動とロンドンでの暮らし 日本語を教えるJapan Societyでの活動 授業外では、Japan Societyと呼ばれるソサエティ(サークル)に参加していて、2週間に1度、学生に日本語を教えています。 Finance and Economics Societyで得た学びと人脈 また、Finance and Economics Societyにも参加しており、週1くらいの頻度で開催されるロンドンの投資銀行などの金融業界で働く方によるセミナーに参加しています。UCLのネットワークはかなり広く、トップ企業で働く卒業生も多いので、いろんな人から話を聞けるチャンスがたくさんあります。 ロンドンの美術館・博物館巡りで深める学び ロンドンには大英博物館(British Museum)やナショナルギャラリー(National Gallery)など、たくさんの権威ある美術館と博物館が集まっていて、ほとんどが入場無料ということもあり、休日にはなるべく行くようにしています。 昨年取ったSocial Theoryの授業ではオリエンタリズム(西洋が東洋をどのようにとらえていたのかを研究する学問領域)のトピックを扱ったのでテムズ川畔にあるTate Britain(テート・ブリテン) の絵画を見に行きました。 Colonialism(植民地主義)などのトピックを考える際、博物館の作品は貴重なソースとなり、実際に鑑賞することでコンテンツの理解をより深めることができます。 高校留学・大学留学を通じて得た学び 広がった視野と情報へのアンテナ 留学して良かったことは、視野が広がったことと得られる情報が増えたことです。異なる文化や価値観を持つ人たちと関わる中で、自分が当たり前だと思っていた考え方が、実は国や環境によって大きく異なることに気づきました。Taunton School時代のルームメートはブルンジ人でした。初めて聞く国からの生徒だった彼女とどうしても話をしたくて、どんな国なのか、何語を話すのかなどを調べた記憶があります。 多様な視点を学べる国際的なクラスメートとの出会い 授業では、さまざまなバックグラウンドを持つクラスメートと意見を交わす機会が多く、同じテーマでも多様な視点があることを学べたのは、とても刺激的でした。日本では、自分がどの政党を支持しているか、政策まで議論することはなかったですが、イギリスでは自国の政策はもちろん、他のヨーロッパ諸国の政策まで網羅している学生も何人かいて、意識の高さがうかがえました。 経済の授業では特に、GDP(国内総生産)成長率やインフレ、利子率を必ず頭に入れておく習慣ができました。円安など、身の回りで起きていることが身につけた知識で理解できるようになっていくのが楽しかったです。 英語力と自己発信力の向上 また、英語でコミュニケーションを取る力が自然と身につき、自信を持って自分の意見を発信できるようになったのも大きな成長です。さらに、留学生活を通じて新しい友人や経験に出会い、自分自身の挑戦する力や柔軟性も養われたと感じています。 留学生活で感じた辛さと乗り越えた経験 言語の壁とコミュニケーションの葛藤 留学で辛かったことのひとつは、最初の頃に感じた言語の壁です。英検2級を取得後に渡英しましたが、授業では、ネイティブスピーカーや先生たちのスピードについていけなかったです。留学当初は宿題を終わらせるのにも、クラスメートの3倍時間がかかりました。 授業がわかるようになっても、友達との会話や冗談を理解し、話すまでにはかなり時間がかかりました。小学校の間に英会話塾に週1で通っていましたが、実際に会話しようとすると、自分のシャイな性格も相まって単語が出てこない場面が多くあり、自分の意見を思うように表現できず、もどかしさを感じることがありました。 辞書を片手に専門用語と格闘する日々 大学に入ってからは、専門的な単語も多くて、今でも辞書は手放せません。ですが、一つ一つの単語の意味を調べる習慣がついたことで、理解できない単元があっても、わかるまで調べたり文献を読んだりして、人一倍深い学びを得たと思います。 これからイギリス留学を目指す人へのメッセージ 留学は挑戦の連続ですが、ぜひ恐れずに一歩踏み出してみてください。その経験が、自分自身を大きく成長させ、未来への大きな力になるはずです。 https://passporter-media.com/articles/10/ https://jp.education-moi.com/article-51-ucl

インペリアルカレッジロンドンに入学!1年生最初の1週間の様子

こんにちは!Kenshuです。今回は9月に始まったImperial College London(インペリアルカレッジロンドン)での新学期の最初の1週間を紹介していこうと思います。海外の大学での新学期の始まりはどんな感じなの?って疑問を持っている皆様の参考になれば嬉しいです。 イギリスの大学はいつ始まる? イギリスの大学が始まるのは大体9月から10月です。大学によって始まる日にちは違います。例えば今年(2025/26年度)だとUniversity College London(UCL)は9月22日、King’s College London(キングスカレッジロンドン)だと9月22日、University of Cambridge(ケンブリッジ大学)だと10月1日などと大学ごとに変わります。僕の通っているImperial College Londonでは9月29日に始まりました。 大学によってはWelcome WeekやOrientation Weekと呼ばれる期間が設けられていて、本格的な授業はその翌週から始まることが多いです。 いつイギリスに行けばいい? 学期が始まる数日前に着くことをおすすめします。自分の住む家(寮やアパートなど)の入居可能日や家族と一緒に来るのかなどを総合的に考慮して決めるといいと思います。僕は一人で渡って、寮に入ったので学期が始まる2日前の27日に行きました。 初日は時差ボケや荷解き、買い出しなどで結構忙しくなります。そのため最低でも1、2日前には到着しておくと余裕をもって学期開始を迎えられて安心です。 インペリアルカレッジロンドンの寮はどんな感じ? インペリアルの1年生は寮に入れることが確約されています。入学する年の5、6月ぐらいにインペリアルからフォームが送られてきて、希望する寮を記入します。 インペリアルには6つの寮があり、キャンパスからの距離、設備、値段などがさまざまです。僕がいるWoodward Buildingsはキャンパスから一番遠い分、値段が安いです。キャンパスに近いSouthside HallsやEastside Hallsでは値段が倍ぐらい違うことがあります。 インペリアルカレッジロンドンの寮 WoodwardにはBlock A、B、Cがあり、各棟に200人ほどが住んでいます。各フロアには10人ほど住んでいて2つのキッチンを共同で使っています。キッチンは結構充実していてIH式のコンロが8つ、オーブン、冷蔵庫がそれぞれ2つ、電子レンジなどがあります。 毎日夕方の6、7時になるとみんなが料理をしに来るのでその度に仲良く話しています。共同生活ならではの出会いや会話が生まれやすく、友達を作るきっかけにもなります。 寮に着いた初日に学生全員がStudent Cardをもらいます。この学生証は講義棟や寮、自分の部屋に入る時などに使います。僕は入居して間もない時に一度Student Cardを部屋に忘れ、1階にあるReceptionまで行ってドアを開けてもらいました。10~15分かかったので絶対になくさないで常に持ち歩くようにしないといけないなって痛感しました。 寮からインペリアルカレッジロンドンまでの通学路 寮はNorth Acton駅の近くにあり、ヒースロー空港からは比較的簡単に辿り着けました。Central Lineが通っているのでロンドンの中心街(SOHO)にも乗り換え無しで行けます。 寮からインペリアルのSouth Kensingtonキャンパスまでは電車を2本乗り継いで行けます。でも個人的には乗換駅で次の電車に乗らず、そこから徒歩でHyde Parkを通過して大学まで行くのが好きです。毎朝友達とHyde Parkを歩くのは気分が晴れます。ビル群ではなく、自然の中が通学ルートになるのはとても魅力的です。 毎朝登校中に通り抜けるHyde Park Hyde Parkのすぐ近くにあるRoyal Albert Hall イギリスでの生活用品の準備 渡英してすぐに必要になのが生活用品の買い出しです。寮には家具が備え付けられていますが、枕、布団、調理器具などは自分で揃える必要があります。僕は到着した日に近くのJohn Lewis(家具量販店)で寝具一式、数日後によくわからない地元の店でフォークやスプーンなどを調達しました。Amazonを活用する人も多く、寮に直接届けてもらえるので便利です。 インペリアルカレッジロンドン: 年度初めのイベント Freshers Fair Freshers FairとはいろいろなSociety(サークル)やスポーツクラブなどが一堂に会して1年生に活動内容を紹介する新入生歓迎祭です。このイベントは2日間にわたって開催されます。 インペリアルには300を超えるSocietyがあり、文化、スポーツ、趣味などいろいろな種類があります。スポーツクラブだとトライアウトがあり、2、3回チャンスが与えられます。大学生活で勉強だけではなくスポーツにも打ち込みたいっていう人にはいい機会だと思います。 無料のグッズやクーポンを配っているブースもあるので、気軽にいろいろ回ってみるのがおすすめです。 Freshers Event 最初の1週間は寮単位や学部単位、Student Union(学生連合)主催のいくつものイベントが行われます。Halls Mixersやクラブを貸し切るイベントもあります。 Halls Mixersでは自分の寮の人たちとお酒を飲みながら交流します。新しい友達を見つけられることもあります。 他にはクラブを貸し切ってインペリアル生だけのパーティが行われます。ビールやテキーラなどのショットだけで6ポンド(約1200円※)以上するのでお金に余裕がない人にはあまりおすすめしません。経験を得るため友達やFlatmatesなどと行くにはめちゃくちゃいい機会です。 ※1ポンド=200円で換算 各コースのイベント 各専攻にもイベントが開催されます。僕はChemical Engineeringを専攻しているのでそれに関する講演やアクティビティなどがありました。インペリアルの学長やChemical Engineering Departmentの学部長によるスピーチ、自分と同じ専攻の新入生たちと一緒にランチを食べながら情報交換するなどいろいろ充実していました。 最後に 最初の1週間は勉強というよりかは学校のことをよく知り、周りの人たちと仲良くなる期間です。そのため比較的時間に余裕ができるので、友達や家族などとロンドン観光をしてみてもいいかもしれません。Natural History Museum(ロンドン自然史博物館)やいくつかの美術館などがインペリアルから徒歩数分のところにあるので行きやすいです。 https://passporter-media.com/articles/27/

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オックスフォード発祥のPPEをキングスカレッジロンドンで学ぶ|1年目で履修した科目

こんにちは!キングスカレッジロンドン(KCL)でPPE(哲学・政治学・経済学)を学んでいるAyanoです。2025年の秋に入学し、これまでに2学期間の授業を終えました。3学期は試験のみのため、1年次のカリキュラムはひと通り履修したことになります。 今回は私が1年生で学んだ内容を紹介していきます。 キングスカレッジロンドンで学ぶPPE(哲学・政治学・経済学)とは? オックスフォード大学発祥のコース PPE(Philosophy, Politics and Economics)は哲学・政治学・経済学の3つの分野を組み合わせて、社会の仕組みを多角的に考えることを目的とした課程です。もともとはUniversity of Oxford(オックスフォード大学)で始まったコースですが、現在ではイギリスの大学を中心に、ヨーロッパの他地域などでも提供されています。 理論的な哲学、政治の仕組み、そして経済学的な分析の3方向から考える力を養える学問なのが特徴的です。2年生以降は3つの学問のうち2つに絞る人が多いです。1年生では広くこれらの基盤を学びつつ、ある程度の専門性も得られるのが魅力的かなと思います。 同時に3つの学問を学べるPPEの魅力 私がPPEを学びたいと思った理由はいくつかあります。 まず、もともと飽きっぽい性格なので、ひとつの分野に絞るよりも、幅広く学べる点に魅力を感じたからです。また、私は将来やりたいことが明確に決まっていないので、幅広く社会科学分野を学ぶことでキャリアの選択肢を幅広く残せるのではないか、と思ったのも理由のひとつです。 授業が行われるキングスカレッジロンドンのキャンパス 学部課程に進学する前のファウンデーション*では、実際の社会問題がどのように3分野にまたがっているのかを学ぶことができ、さらに興味が深まりました。 環境問題はその一例です。政治学では「どうルールを作るか」「国の介入の範囲」を、経済学では「環境保護と経済成長の両立方法」などを考えます。哲学では「何が正しいか」という価値判断が問われ、経済成長の重要性そのものも議論の対象になります。 環境問題の例に限らず、多くの社会問題は多面的です。もちろん、PPEの3分野だけで社会の複雑さをまかなえるわけではありませんが、それでも1つの視点だけでは捉えきれない問題について考える力を養えるのが、PPEの面白さだと感じました。実際に1年間学んでみて、「社会をどう見るか」という視点が鍛えられていると感じています。 *ファウンデーションコースって何?と気になる方は最後に貼っている過去記事をチェックしてみてください キングスカレッジロンドンのPPE: 1年間で実際に履修したモジュール ここからは、私が1年生で学んだことを紹介していきたいと思います。 まず私が今年度履修したのは以下のモジュール(科目)です。 Comparative Politics(比較政治学) Introduction for Economics(経済学入門) Introduction for Philosophy(哲学入門) Political and Economic Philosophy(政治哲学・経済哲学) Quantitative Methods(定量的手法) 最初の3つは1年(2学期分)を通して学びました。最後の2つのみ1学期分だけの科目で、かつPPE生だけに提供されている科目です。Quantitative Methodsに関しては似たような内容のモジュールが他コースでも提供されていますが、この科目はPPE生向けのようです。 1学期あたり4つのモジュールを履修する仕組みとなっています。1年次に取る科目は全て必修となっていますが、2年生以降の必修科目は1つだけで、それ以外は幅広い科目から選べるようになっています。 Comparative Politics(比較政治学) 比較政治学という名前ですが、他のモジュールと同じように政治学入門のような感じで、政治について幅広く学びました。名前の通り、複数の国や地域を“比較”分析します。特に政治体制・制度・プロセス・政治の結果などに着目し、特定の国だけでなく地域や時代を超えて通用する「普遍的な理論」を構築するのが目的です。ここでは主に「国内政治の比較」に焦点を当てています。 特に面白いと思ったのは、国ごとに違う条件があるから、違う答えを生んでいるということです。例えば同じ民主主義の中でも、国の運営の仕方にはその国の背景(歴史・民族などの社会構成・価値観・目的など)が反映されていて、異なる制度が採用されているのが印象的でした。 Introduction for Economics(経済学入門) この科目では1学期にミクロ経済学、2学期にはマクロ経済学といった構成で、経済学の基礎を幅広く学びました。 PPEの経済学のセミナーの様子 ミクロ経済学では、個人や企業がどう行動するかを学びました。その後のマクロ経済学では、GDPやインフレ、金融政策など、政策まで視点を広げて学ぶことができ、より面白く感じました。 一方、経済学では一つの変化が次の変化を生み、それがさらに別の影響につながっていくというような、影響が連鎖している考え方が多く、因果関係をずっと考え続けることに難しさも感じました。 Introduction for Philosophy(哲学入門) この科目は全部で20週間分の授業を5週間ずつに分けて、順にLogic(論理学)、Ethics(倫理学)、Metaphysics(形而上学)、Epistemology(認識論)の4分野を学びました。 論理学は正しい議論構造を学ぶ分野なので、哲学の基礎として最初に学びました。哲学という分野の中でどういう論理や議論の構造が「有効」と見なされるのかを学んだため、その後に学んだ他の哲学分野でもベースとなる考え方でした。数学のような証明も行うのですが、難しくて期末試験が不安です。 PPEの論理学の勉強 PPEの論理学の講義の様子 続いて倫理学は「何が正しいのか」という価値判断の基準を複数の理論を比べながら学びました。 2学期に学んだ形而上学と認識論はどちらも抽象度が一気に上がり、セミナーでの内容も難しくなったように思います。形而上学は「根本的な性質や存在の仕組み」を考える分野です。「時間や空間はどんなものか?」「物事の原因や性質はどう決まるのか?」といった質問を考えます。ある現象の前提を疑うような分野です。 そして認識論では名前の通り「人はどうやって物事を知るのか?何をもって“知っている”と言えるのか?」ということについて考えます。もっと具体的に言えば、「知るとは何か?」「誰かが正しいと信じることは本当に正しいのか?」「知識になるための構成条件」など、知識に関する根本的な問いです。 形而上学や認識論では、「どこまでが自分自身のアイデンティティなのか?」「どういう性質を持って私自身が私になるのか?」「自分の内と外の世界について」などについて考えました。ずっと当たり前だと思っていたことを新たに理論を用いて考えるので、今までの前提がまた揺らいだような感覚になることも多くありました。 「哲学を学ぶ」と聞くと、有名な古代ギリシャの哲学者などのアイディアを学ぶのを想像するかもしれませんが、実際はもっと論理的に話が進み、知識的な学びはごく一部でした。実際この科目では、哲学者の名前に沿って学ぶのではなく、アイディアや理論ベースで学ぶ現代的な手法をとっているのが特徴的です。1年間の哲学の授業を通して、いまだに私は「プラトンやアリストテレスが何をしたか?」「一番お気に入りの哲学者は誰か?」などといった質問にははっきり答えることができない状態です。 しかし、それより先に哲学的な問いに対して自分で考え議論し、論理的に自分の考えを構築する力を身につけられたと実感でき、それが最もKCLの哲学の授業で気に入っている点です。 Political and Economic Philosophy(政治哲学・経済哲学) この科目は1学期の間だけ学んだ科目です。名前の通り、政治・経済のテーマを哲学的なアプローチで考える科目でした。例えば、「政府はどこまで介入するべきなのか?」「平等と自由のトレードオフ」「富の分配は何を基準に決めるべきか?」などの質問について考えました。実際の哲学の授業で学んでいることを、現実の政治・経済に応用するような学びだったように感じます。 例えば、実際に私は民主主義は良い政治体制だと思っていましたが、この授業では「何を持って民主主義をよしとするのか?」ということも考えたので、新鮮に感じ楽しかったです。 Quantitative Methods(定量的手法) 最後に定量的手法です。このQuantitative Methodsという名前ですが、統計学を基礎にしたデータ分析の授業と言った方がわかりやすいかもしれません。確率や統計、Stataというデータ分析や統計処理を行うツールを使って、コーディングを学びながら、実際にデータを分析するツールにも慣れていきました。学期末にはStataを使って与えられたデータを分析するコースワークもありました。 Quantitative Methodsで出されたデータ分析のコースワーク この画像はコースワークのうちのStataを使った流れがわかるようにコマンドを書いたファイルです。これとは別にStataを使ったデータの分析結果を書くファイルも提出しました。 政治学や経済学は社会科学の分野であり、社会科学自体が「社会やその中での現象を“科学的な手法”を用いて客観的に解明する」学問分野であるため、定量的手法をPPEの1年次必修として組み込まれているのかなと感じます。 キングスカレッジロンドンのPPEで1年目の学びを通して PPEでの最初の1年は、大変な時の方が多かったように感じますが、それでも多くのことを幅広く学ぶことができ、充実した学びでした。毎回の授業の分野がガラッと変わるのが普通なので、複雑に感じることもありましたが、1年次での学びを基礎に、2年次以降、もっと深く学びたいことを絞っていけるのがとても楽しみです。 キングスカレッジロンドンのキャンパスがあるロンドンの景色 KCLのPPEについて特に気に入っているのは、哲学モジュールが知識習得よりも、「考えることそのものを鍛える」方向で授業が進んでいったこと、そしてPPE生向けの独自科目があることで、単なる入門ではなく、PPEらしい横断的な学びを1年生から経験できることです。セミナーも1クラス約10人と規模が小さく、ディスカッションに参加しやすいのも良かったです。どのセミナーでも、学生自らが学んだ知識をもとに議論することができました。 1年生での学びを通して、PPEでは単に知識を得るだけでなく、「社会をどう見るか」「どう考えるか」を深めることができると感じます。ちょうどこの春は2年次のオプショナルモジュールを選ぶ時期なのですが、これから2年生でさらに学びを深め、より専門的なテーマに取り組めるのが楽しみです。 最後まで読んでくださりありがとうございました。これからPPEや似たような社会科学分野に進もうとしている方にとって、実際の学びやイメージが少しでも参考になれば嬉しいです。皆さんの挑戦を応援しています! キングスカレッジロンドンGlobal Politics and Social Sciencesのファウンデーションコースで履修した授業や学部への進学方法についてはこちらをご覧ください↓ https://passporter-media.com/articles/41/ 日本の高校からキングスカレッジロンドンのファウンデーションコースへの進学についてはこちら↓ https://passporter-media.com/articles/30/ https://passporter-media.com/articles/49-kcl-foundation/

King's College Londonに入学!新入生の1週間どう過ごした?

こんにちは、キングスカレッジロンドン(KCL)のAyanoです。 私が通っているKCLでは、実際に授業が始まる週の前に、1週間「新入生オリエンテーションウィーク」のようなものを設けています。この週では自分のコースの説明会や、サークルを紹介するWelcome fairをはじめとした大学のイベントがたくさん開催されていました。今回はロンドンに到着してからの最初の1週間をどう過ごしていたのかを紹介していこうと思います。 キングスカレッジロンドンの最初の1週間 大学寮の入寮日は、オリエンテーションウィークが始まる直前の週末でした。学生のほとんどがこの週末に入寮するため、寮内でのウェルカムイベントもこの週末にありました。アイスブレーカーや、ピザパーティーなどがあったと思います。また寮は早期入寮することもできます。 キングスカレッジロンドンのAtlasに入寮! 入寮してからは日用品を買ったり、持ってきた荷物を片付けたりする必要があるので、大学が始まる数日前にはロンドンへ来ておくといいのかなと思います。入寮日に寝られるように、寝具や枕などは事前にオンラインで注文し、入寮日までに届くようにしておくのがおすすめです。 オンラインで注文しておいた荷物 寮のルーフトップからの景色が綺麗だったのがお気に入りです! 大きめのスーパーが近くにあれば、食料品だけでなく、フライパンや食器などのキッチングッズのほか、タオルなどの日用品も売っていますし、今はロンドン中心部にIKEAもあるのでおすすめです! コースの説明会とオリエンテーション 最初の1週間では、どのコースも説明会のようなものを行います。オンラインと、キャンパスでやるものがあります。私がファウンデーションの時は、説明会はオンラインで、その後に対面でオリエンテーションイベントがありました。1年後の学部課程の説明会ではキャンパスで行われました。 対面のオリエンテーションで配られたお菓子 キングスカレッジロンドンのコース説明会 ファウンデーションの時は学部課程の進学までの流れを中心とした説明でしたが、学部課程の説明会では3年間のコースを通しての説明で、卒論の流れや、交換留学についてなども説明がありました。まだ授業が始まっていない時期なので少し緊張もありましたが、説明会に参加して「いよいよ大学が始まるんだな」という実感が湧きました。 学生証の受け取りと事前の予約手続き 学生証の受け取りは事前に予約する必要がありました。学生証受け取り予約にはイギリスに到着していることを証明するため、パスポートのスタンプや航空券を大学側へ送った気がします。 新学期の間は学生証がなくてもキャンパス内に入れるように手続きをするブースがあるので、それがキャンパス内にあるうちに学生証の受け取りを済ませておくと楽かなと思います。 学生証をもらいにキングスカレッジロンドンのキャンパスへ! キングスカレッジロンドンの学生証 キングスカレッジロンドンのWelcome fair 新学期に開催されるWelcome fairにも参加しました。これはSociety(サークル)などが集まってブースを作り紹介している新歓のようなイベントです。KCLには約400のSocietyがあります。スポーツの他、文化系やアカデミックなものもあります。 気になっていたサークルがあればこのWelcome fairで話を聞くこともできますし、私は行くまで知らなかったサークルも見つけたので面白いなと思いました。 キングスカレッジロンドンのWelcome fairの様子 キングスカレッジロンドンJapan Societyのブース キングスカレッジロンドンのWelcome fair会場に入るまでの長蛇の列 これはキャンパスではなくイベントスペースを借りて開催され、無料のチケットを事前に予約しておく必要があります。私は2、3週間前に予約していたのですが、ロンドンに来てからの予約だと売り切れになってしまうことがあるので、事前に予約しておくといいと思います。 またスポーツ系のサークルを中心に新学期が始まって最初の数週間はメンバーシップを購入しなくてもテスターのセッションやレッスンに参加することができます。その宣伝もここで行われていました。 最後に 最初の1週間は授業がないとはいえ、ロンドンでの新生活に慣れるのに大変だったなと思います。イベントや、荷物の整理など思っていたよりも忙しく過ぎていきました。新しい環境に慣れる時間でもあり、大学生活が始まる前の準備期間としてとても大事な1週間だったと思います。オリエンテーションウィークのイベントをうまく活用して、大学生活のスタートを楽しんでほしいなと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございました!みなさんの留学を応援しています! https://passporter-media.com/articles/49-kcl-foundation/

イギリスのファウンデーションコース|現役KCL生が日本の高校から進学するまで

こんにちは、キングスカレッジロンドン(KCL)のAyanoです。今回は日本の高校からイギリスのファウンデーションコースに進学するまでの各段階でどういう準備をしたのかを紹介していこうと思います。 ファウンデーションコースとは? ファウンデーションコースは、日本の高校など、イギリスの大学入学資格(A-levelやIB)を持っていない高校を卒業した生徒が、イギリスの大学に進学するために必要な準備をする1年間のプログラムです。 このコースでは必要な英語力に加えて、学部課程で希望する専攻に近い内容を学びます。 私が通っていた日本の高校の卒業資格では直接イギリスの大学の学部課程に進学できなかったため、高校3年生の時にファウンデーションコースに出願しました。 イギリスのファウンデーションコース: 出願準備〜合格まで 高校2年生の終わり〜3年生の春: 進学先決め この時期にイギリスの大学に出願することを決め、本格的に出願準備を始めました。ファウンデーションコースはイギリスの大学が提供しているものと、大学以外の教育機関が実施しているものがあります。大学が実施しているファウンデーションコースだと、ファウンデーションコースからその大学への入学がある程度保証されているため、そちらを選びました。 この時期はイギリスの大学を調べながら、 どういう大学に行きたいか 行きたい大学があればそこはファウンデーションコースも提供しているか そのファウンデーションコースから進学したい学部へ行けるか などを調べ、いくつか候補を絞っていきました。 当初は生活費が高いため予算的にロンドンは選択肢に入れておらず、最終的に進学し今も在籍しているKCLはもっと後になって出願することを決めました。 この時期に候補に入れていたのはThe University of Sheffield(シェフィールド大学)、Lancaster University(ランカスター大学)、University of York(ヨーク大学)などのファウンデーションコースだったと思います。 同時にIELTSの受験準備も進めていました。 高3の6月: IELTS受験 この時期にIELTSを受験しました。IELTSには主に2種類の試験があり、留学を目指す人が受けるIELTS Academicと移住や就労を目指す人が受けるIELTS General Trainingに分かれます。高2の時には現状を知りたいと思いGeneralのIELTSを受験しましたが、この時に受けたIELTSが初めてのAcademicでした。 ファウンデーションコースの場合は、英語要件がIELTS Overallで5.5〜6.0程度と、学部への直接進学要件に比べるとかなり低いのでありがたかったです。 この時Overallで6.5を取れたため、これ以降IELTSは受験していません。 IELTSの有効期限は2年なので、高校2年生ぐらいから早めに準備し受験しておいてもいいのかなと思います。 https://passporter-media.com/articles/8/ 高3の夏: Personal Statementや出願書類の作成 この時期は大学へ提出するPersonal Statement(パーソナルステイトメント)を書きました。私はUCASを経由して出願していないのですが、Personal Statementと同じようなものがファウンデーションコースの出願にも必要でした。 また10月ごろに出願開始となるので、高校側に必要な書類を依頼しました。予想の成績証明書や卒業見込証明書は日英両方で作ってもらい、英語での推薦書も依頼しました。推薦書は英語の先生に依頼しました。 私が通っていた高校から海外進学する人はほぼいなかったと思うのですが、それでも先生方が協力してくださり、とても恵まれたと思います。 高3の秋: イギリスの大学見学 この時期に、実際にイギリスの大学を見てみようということで、母と2人で1週間ほどイギリスへ行きました。出願する大学に実際に足を運んでキャンパスを見学しました。また、それまでイギリスに行ったことがなかったので、母とロンドン観光もしました。 見学したシェフィールド大学 見学したイギリスの大学の図書館の様子 そしてロンドンを観光する中で「ロンドンに住みたい!」と思うようになり、ロンドンにある大学にも出願することを決め、日本に帰ってきてから急いで出願準備を始めました。 当初は経済的な負担が大きくなると思いロンドンは避けていたのですが、やっぱりロンドンの大学に進学したいと両親に伝えたらあっさりとOKしてくれたので、最初から両親としっかり話しておけば良かったなと思っています。 ここで新しく出願することにしたのがQueen Mary University of London(ロンドン大学クイーンメアリー校)と、今通っているKCLです。 実は母とロンドン観光している時に、KCLのキャンパスのすぐ隣にあるCourtauld Galleryという美術館に行ったのですが、その時すぐ隣にあるKCLを見て、「これがロンドンの大学なんだ〜」とぼんやり思ったのを覚えています。その後実際にそこに出願し、通うとは思いもしませんでした。 キングスカレッジロンドンの隣にあるCourtauld Galleryに向かう途中 高3の12月: ファウンデーションコースへ出願完了 ロンドン以外のファウンデーションコースは全て出願が始まった10月ごろに願書を出しました。新しく出願することになったロンドンの2校には12月に出願して、この時期に出願は全て終わったという状態でした。 高3の2月: キングスカレッジロンドンからファウンデーションコース合格通知 2月上旬に第一希望にしていたKCLから合格通知が来たので、KCLに進学することにしました。ファウンデーションコースでも学部と同じようにConditional offer(条件付きオファー)という形でもらったのですが、その条件が「高校を総合成績4.0以上で卒業すること」だったので、問題ないだろうと思い、すぐにデポジットを払った記憶があります。 イギリスのファウンデーションコース: 受講開始までの流れ 高3の3月: キングスカレッジロンドンの寮の予約 確かこの時期に大学の寮のポータルがオープンしたので寮を予約しました。KCLの寮は一度予約してデポジットを払っても1回までなら変更可能ですし、8月ごろまでにキャンセルすれば、そのデポジットが返金される仕組みでした。そのためオファーを受諾するかわからなくても、とりあえず予約する人が多いのかなと思います。 どの寮にするか迷ったのですが、Atlasという寮にしました。 キングスカレッジロンドンのAtlasという寮の部屋(https://www.kcl.ac.uk/accommodation/residences/atlasより) 幹線道路沿いのため音が気になりましたが、綺麗な寮で駅や大型スーパーにも近くて良かったと思います。キッチンのみシェアのEn-suiteでした。 KCLはロンドンの他の大学と比べて、どの寮も大学まで少し遠い場所にあるのが残念です。私が住んでいたAtlasもZone 1にあるのですがキャンパスまでは電車を乗り継いで30分ほどかかります。 ロンドンのZone区分(https://www.graddinghomes.com/blog/uk/london-zonesより) もう少し通いやすい場所に寮を作ってくれたらいいのにと思っています。そのためか、1年生でもプライベートの寮やフラットに住んでいる人も意外と多かったです。 ファウンデーションコース開始前の7月: イギリス留学のビザ申請 渡航まであと2ヶ月となったところで、大学からCASが発行されビザ申請の準備ができたので、東京のビザセンターに行ってきました。ビザ申請は全て自分で行いました。日本人の場合、財政証明は基本的に必要ないため、特別に準備する書類もなくスムーズにできました。審査には3週間ぐらいかかると聞いていたのですが、5日ほどでビザが下りました。 この時に申請したビザはファウンデーションコース用のビザだったので期限が1年ほどです。そのため翌年、学部課程用にまたビザを申請したのですが、この時も5日ほどでビザが下りました。 多くのファウンデーションコースで同じかもしれませんが、KCLのファウンデーションコースでは、ファウンデーションコースが終わる日と、その後の学部が始まる日の間の日数の関係で、ファウンデーションコースが終わった後の夏休みにイギリス国内でそのままビザを申請することができません。そのため、ファウンデーションコースが終わった後はビザ申請のため日本に帰る必要があります。 https://passporter-media.com/articles/5/ ファウンデーションコース開始前の9月: いざ渡英! そして無事にロンドンへ向かうことができました!この時は、両親と一緒にロンドンへ来ました。両親は私の入寮の手伝いなどもしてくれました。また、一緒に大学周辺を散策したり、ロンドンを観光したりできてとても良かったです。 キングスカレッジロンドンのファウンデーションコース入学のため渡英 イギリスでファウンデーションコースを実際に受けてみて 日本の高校からの出願で大変だったのは、イギリスの大学に関する情報収集、共有し合える仲間が身近にいないこと、そして英語での書類作成に学校側も慣れていなかったことなどです。しかし、最終的にスケジュール的に問題もなく出願でき、今振り返ると意外となんとかなるんだなと感じます。 ファウンデーションコースで学ぶことで、英語でのエッセイやプレゼンなどの基礎的なスキルを身につけてから学部課程へ進学できるので、とても良かったと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございました!みなさんの留学を応援しています! その後のファウンデーションコースでの学びや学部への進学プロセスについて気になる方はこちらの記事もチェックしてください! https://passporter-media.com/articles/41/

留学生が知っておきたい「英語メールの書き方」: メールから見るイギリス文化

こんにちは。ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)で物理学を専攻しているAyatoです。今回は、イギリスでの生活や学業において避けては通れない、電子メールの作法について深く掘り下げてみたいと思います。 イギリスという国で生活を始めると、日本とはまた違った種類の礼儀作法や、言葉の裏に隠された機微に驚かされることが多々あります。特に電子メールという、相手の顔が見えない文字だけのコミュニケーションにおいては、その傾向が顕著に現れます。 イギリス人にとってのメールは単なる情報伝達の手段ではなく、相手との良好な関係を維持し、お互いのプライバシーや時間を尊重していることを示すための、きわめて高度な社交ツールなのです。 英語メールの実践的な執筆例とテンプレート まずは実際の執筆例をテンプレートとして見てみましょう。例えば、大学のIT担当者にプログラムの環境構築について質問する場合、以下のような構成が理想的です。 件名:Query regarding Environment Setup for Project A - Student ID 1234567 本文: Hello [相手の名前(宛名の詳細は後述)], I hope your week is going well. I am writing to kindly ask for some guidance regarding the environment setup for Project A. I have been following the instructions provided, but I seem to have encountered a small issue with the dependencies. I was wondering if you might be able to offer some advice or point me in the right direction when you have a spare moment? I have attached a screenshot of the error message for your reference. Thank you very much for your time and help. Kind regards,Ayato この短い文章の中には、週の半ばの挨拶、「kindly ask」というクッション、「I was wondering if」という婉曲表現、そして相手の負担を最小限にするための資料添付という配慮がすべて凝縮されています。こうしたテンプレートを基盤に、AIと共に自分の意図を肉付けしていくのが上達への近道です。それぞれの詳細については後述します。 英語メールの宛名の書き方 宛名の書き方は相手の立場や関係性によって異なり、ケースバイケースなので表にして以下にまとめました。始め方が丁寧でないのではないか、と気になる場合は、最も丁寧な形にすると良いでしょう。 相手の立場関係性宛名大学職員/その他初コンタクト/ 名前不明To whom it may concern/ Dear 〇〇 Team大学職員/その他相手からの返信に対する返信Dear Ms./ Mr. [Surname]大学教授(Professor)初コンタクトDear Professor [Surname]/ Dear Prof. [Surname]大学教授(Professor)顔見知り/親しいHi Prof. [First name]※教授との距離による。Surnameの方が丁寧大学教員(Dr.)初コンタクト/ 親しいDear/ Hi Dr. [Surname]/ [First name] 挨拶という名の社交儀礼と時間軸 ここからはイギリス人とメールでやり取りする際に、気を付けるべき事項についてお話しします。メールを書き始める際、まず直面するのが挨拶の書き方です。事務的な問い合わせであれば依然としてフォーマルな表現が使われますが、大学内でのやり取りや一度会ったことのある相手であれば、かなり早い段階で“Hi 〇〇” (〇〇さんこんにちは)といった親しみやすい挨拶に移行します。しかし、ここで重要になるのが挨拶の直後に続く一言です。 イギリス人は本題に入る前に、必ずと言っていいほど相手の近況を気遣う一言を添えます。月曜日であれば週末がどうだったかを尋ね、週の後半であれば週末の予定が良いものになるよう願う言葉を添えるのが、もはや儀礼的な習慣となっています。週の半ばであれば、一週間が順調に進んでいることを願うといった具合です。 この一文は、単なる社交辞令以上の意味を持っています。相手が仕事や勉強以外の生活を持っていることを認め、その時間を尊重しているという意思表示なのです。 ロンドンという多種多様な背景を持つ人々が密集して暮らす都市において、この一見無駄に見える数行が、コミュニケーションの摩擦を抑えるために不可欠な役割を果たしています。これを省略してすぐに用件に入ってしまうと、相手に「事務的すぎる」、あるいは「余裕のない人間」だという印象を与えかねません。こうした細やかな配慮の積み重ねが、長期的な信頼関係を築くための第一歩となると考えています。 イギリスの英語メールならでは: 婉曲表現の扱い方 冒頭のテンプレートでも紹介しましたが、イギリスのメールで最も難解であり、かつ面白いと思うのが婉曲表現です。 「行間を読む」重要性 彼らは自分の意見や不満を伝える際、驚くほど柔らかい言葉を選びます。しかし、その柔らかい言葉の裏には、時として非常に強いメッセージが隠されています。この曖昧さや遠回しな表現は、日本人にとっては結局何が言いたいのかと困惑させる原因にもなりえます。 しかし、この「行間を読む」作業こそがイギリスでの生活を豊かにします。 例えば、教授からのフィードバックに「これは興味深い視点ですね」と書かれていた場合、それは必ずしも面白いねと絶賛されているわけではありません。文脈によっては「少し的外れだが、まあ着眼点は分からなくもない」という非常に丁寧な否定であることもあります。 彼らは対立を避けるために、肯定的な言葉の中に否定的なニュアンスを忍び込ませる、受動的攻撃性、いわゆるpassive aggressive(パッシブ・アグレッシブ)と呼ばれる技術に長けています。 イギリス人の受動的攻撃を受けた実体験 これを理解していないと、メールでのやり取りで致命的な誤解が生じることがあります。 私が以前、プログラムの環境構築の方法について担当者に問い合わせた際のこと。担当者から「マニュアルの中に解決策があると確信しています」という返信が来ました。言葉通りに受け取れば非常に前向きで親切な言葉に見えますが、その真意は「そんなことはマニュアルに書いてあるのだから、わざわざメールで聞かずに自分で調べなさい」というかなり強い釘刺しであったことに後から気づきました。 こうした言葉の裏側を読み取る力は、単なる語学力ではなく、現地の文化に浸り、人々の反応を観察することでしか養われない感覚です。 クッション言葉の使用 また、何かを頼む際にも、「もしよろしければ(I would be more than happy if you wouldn’t mind doing ~)」や「もしお手すきであれば(I was wondering if you could ~ in your good time)」といったクッション言葉を多用します。これにより、相手に断る余地を与えつつ、こちらの要望を伝えることができます。こうした控えめな姿勢は、相手に対する強要を避け、自由な意思を尊重しているというメッセージになります。 結びの言葉に宿る微かな感情 メールの最後を締めくくる結びの言葉も、相手との距離感を示す重要な指標です。ビジネスやフォーマルな場では一般的で礼儀正しい「Best regards」といった表現が好まれますが、より親密な関係であれば、温かみのある言葉「Warm regards」「 Yours」「 Best wishes」、時にはイギリスらしいカジュアルな表現「Best」が選ばれます。 面白いのは、これらの言葉から相手の感情の変化を読み取れることです。それまで非常に丁寧で温かい結び言葉を使っていた相手が、急に事務的で短い「Regards」という一言だけの結び方に変えた場合、それは何らかの理由で不快を感じているサインかもしれません。 あえて温かい言葉を意図的に抜き去ることで、自分の不快感を示すわけです。これは非常にイギリス的な、声高に叫ばない抗議の形です。結びの一語にまで気を配ることで、相手との現在の関係性を再確認することができるのです。 AIを活用したイギリス式英語メールの実践的な練習法 さて、こうした複雑なニュアンスを身につけるのは一朝一夕では難しいものです。そこで、現代的な練習方法としてAIを活用したトレーニングを提案したいと思います。 まず、書きたいメールの概要を伝えてAIに文面を書いてもらいましょう。そして、生成された文章をそのまま使うのではなく、なぜそのように書かれているのか、あたかもプログラムのソースコードにコメントをつけるかのように、それぞれのフレーズの意図を自分の頭で考えて書き込んでいきます。この際、正解かどうかを気にする必要はありません。あなたがその表現を読んでどう感じたか、どのような効果を狙っていると思ったか、という自分なりの解釈が重要です。 コメントを書き終えたら、その文章をAIに送り返しましょう。その際に、自分の解釈がAIの意図したものと同じか、あるいは違うのかを判断してほしいと依頼します。 もし解釈が異なっていた場合は、本来はどういう意図だったのか、なぜその特定の表現でその意図を表現できるのかを詳しく教えてもらうように聞きましょう。そうすると、表現に隠された今まで自分の知らなかった世界を教えてくれるものです。 単なるテンプレートを丸暗記するのではなく、言葉の選択の背後にあるロジックを理解することで、より自然で説得力のあるメールが書けるようになります。これは、異文化間のコミュニケーション能力を鍛えるための非常に強力な訓練になります。 AIを活用したメール作成における効率化と注意点 業務の効率化という観点から、AIをメール作成に活用することは現代において非常に有効な手段の一つとして広く推奨されています。 特に英語が母国語ではない私たちにとって、文法的な正確さを担保し、自然なフレーズを瞬時に生成してくれるAIの存在は、精神的なハードルを下げる心強い味方となります。しかし、そこには無視できないいくつかの注意点が存在します。 まず、AIは時に過剰に丁寧すぎたり、逆に文脈を読み違えて不自然に冷淡な表現を選んだりすることがあります。先述したようなイギリス特有の微妙なニュアンスや、特定の相手との間に築かれた固有の信頼関係に基づいた微調整は、最終的には人間にしかできない非常に繊細な作業です。 また、機密性の高い情報や個人情報を安易に入力してしまうことは、セキュリティやプライバシー保護の観点から厳に慎まなければなりません。AIが生成した文章はあくまでも優れた土台として捉え、必ず自分自身の目で見直し、自分の声や相手に対する真摯な思いが最終的な言葉に反映されているかを確認するプロセスを欠かさないことが、効率化と誠実さを両立させるための鍵となります。 AIへ入力するプロンプト(指示文)の工夫 AIを単なる代筆者としてではなく、自分の意図をより正確に伝えるための共創パートナーとして活用するためには、プロンプトの組み立て方に独自の工夫を凝らすことが重要です。 単に「メールを書いてください」と指示するだけでは、どうしても平均的な文章になりがちですが、いくつかの要素を意識的に盛り込むことで、文脈に即した文面を得ることができます。 受信者との関係を詳しく伝える まず、リライトを依頼する際には、送り手である自分と受け手である相手との現在の関係性を具体的にAIに伝えることが欠かせません。さらに、そのメールを送ることで相手にどのような行動をとってほしいのかという最終的なゴールも明示します。 AIに役割を与える プロンプトを工夫する際にもう一つ意識したいのは、役割設定という手法です。 AIに「あなたはイギリスの大学で長年学生指導にあたっているアドバイザーです」といった役割を与えます。その上で「私の下書きを、相手の機嫌を損ねることなく、かつこちらの要望が明確に伝わるようにイギリス風にリライトしてください」と依頼するのです。 また、一度のリライトで満足せず、対話を重ねるプロセスも有効です。生成された文章に対して「もう少し親しみやすさを出してください」といった具体的なフィードバックを返すことで、AIは代替となるフレーズを提案してくれるだけでなく、なぜそのフレーズの方が適切なのかという理由まで説明してくれます。 学業における実践的コミュニケーション 学生として教授や大学のスタッフにメールを送る際は、丁寧さと同時に簡潔さが求められます。彼らは日々膨大な数のメールを受け取っているため、いかに相手の時間を奪わずに要件を伝えるかが重要になります。 件名には必ず、自分の学生番号、氏名、そして用件を明確に記載してください。本文では冒頭で簡潔に要件を伝え、最後には「お忙しいところ恐縮ですが、お手隙の際にお返事をいただけますと幸いです」という謙虚な姿勢を見せます。この構成こそが、相手の手間を最小限にし、かつ自分の誠実さを伝えるための最短ルートです。 また、イギリスでは返信のスピードも信頼関係の一部です。すぐに答えが出せないような複雑な内容であれば、まずはメールを受け取ったことと、現在確認中であることを伝える一報を入れるのが洗練された対応です。 ネイティブの感覚を養うためのリソース ここで、私自身もイギリスでのコミュニケーションを円滑にすることを目的として参照している、おすすめのリソースをいくつか紹介します。 Oxford Learner's Dictionaries 一つ目は、Oxford Learner’s Dictionaries(オックスフォード・ラーナーズ・ディクショナリーズ)という無料のウェブ辞書です。おすすめの理由は三つです。 https://www.oxfordlearnersdictionaries.com 第一に、英英辞典であるということです。英和辞典は対応する日本語を素早く掴みたい時に便利ですが、正確な定義や文脈中におけるニュアンスの理解がしにくくなるという欠点があります。英英辞典はその点を解決します。 第二に、発音が聞けるということです。発音を知っておくことは損ではないと思います。また、イギリス発音と、アメリカ発音の二つが聞けるのも特徴です。 第三に、学習者用の辞書であるということです。日本語の辞書でも、英語の辞書でも経験する問題としては、知りたい言葉の説明の中に自分の知らない単語があるということだと思います。その点、学習者用の辞書では、調べた単語のレベルよりも低いレベルにカテゴライズされた単語のみで説明が出てくるので、上記のようなことは起きにくくなっています。 Hedgingを学べるサイト 二つ目は、Hedgingに関するウェブです。 Hedgingとは、確度を下げて主張を行う技術のことです。例えば、「〜だ」を「〜かもしれない」「〜という可能性もある」というように書くことです。以下の大学提供のサイトに、詳しい説明や例があるので、興味がある方はご覧ください。 UEfAP↓ https://www.uefap.org/writing-features-hedging George Mason University↓ https://writingcenter.gmu.edu/writing-resources/research-based-writing/hedges-softening-claims-in-academic-writing Grammarly 三つ目は、Grammarlyという文法添削サイトです。ニュアンスを理解するというよりは、文法的をチェックすることで正しく伝わるかどうかを見るためのものです。 https://www.grammarly.com 無料版と有料版があり、文法、スペルは無料でチェックできます。有料版は、文法的に誤りではないが、このようにするとより簡潔、よりよい表現であるという提案をしてくれます。 異文化理解という旅の終わり イギリスのメール文化を学ぶことは、単に英語の表現を覚えること以上の意味を持っています。それは、彼らが大切にしている価値観や、他者との接し方を理解することに他なりません。表面的な言葉の裏にある、相手を尊重し、調和を尊ぶ精神を感じ取ることができれば、メールのやり取りはもっと実りあるものになるでしょう。 完璧な英語を目指すよりも、相手を思いやる気持ちを言葉に込める努力を続けることが、最も大切なマナーだと言えるでしょう。今回の記事が、皆さんのイギリスでの円滑なコミュニケーションの一助となれば幸いです。学業も、そしてこうした日常の些細な学びも、すべてが皆さんの滞在生活を形作る大切な要素です。 どうぞ、一通のメールを丁寧にしつらえて、充実した日々を過ごしてください。ところで、今回お話ししたような相手の領域を侵さず、相手に選択権を与えるような丁寧さのあり方は、社会学ではnegative politeness(ネガティヴ・ポライトネス)と呼ばれているそうです。 Ayatoの他の記事↓ https://passporter-media.com/articles/35/

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